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8、束縛の魔法

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ミクルと司は、シラヌイの街に戻った。
「私は用事があるから」
そう言ってミクルは去って行った。

一人残された司は、街の様子を見ることにした。
やはり、人が多い。
武器屋に入ってみた。
司に渡された剣は、10000ギルの値札がつけられていた。
店の中でも高級品だ。

司は一通り店の中を見て、外へ出た。
少し歩くとパン屋があった。
なんとなく覗いてみると、昨日の夜出されたパンが店の隅に山積みになっていた。
一袋10ギル。
パンの切れ端と同じ値段だった。売れ残りなのかも知れない。

「俺、育成係なんて務まるのかな?」
司は肩を落とした。
金銭も渡されていないから、ウインドーショッピングしか出来ない。

司はしばらく街を歩いたが、だんだん空しくなって、部屋へ帰ることにした。
しかし、部屋へ帰ってもすることがなかった。

司は図書館へ移動した。
そして、片っ端から魔道書を手に取ってみた。
すると、一冊の本が司に反応した。

「・・・・・・解除の魔法!?」
司は驚いた。
「これで、ミクルの束縛の魔法を解除できる!?」
司は図書館を出て、人通りの少ない小道に出た。
そして、イメージした。
司の左手から、魔方陣がほどけて消えるイメージだ。
司の口から不思議な旋律が流れ出る。

結果は、成功だった。
「これで、ミクルの束縛から自由になったぞ!」

司は小さくガッツポーズをとった。

司が部屋に戻ると、ミクルがやって来た。
「入って良いぞ」
「何よ、その言葉使いは!?」
ミクルは束縛の魔法を唱えた。
しかし、司は平然としている。

「ど、どうして!?」
「魔道書をよんだんだよ、解除魔法の」
司は笑みを浮かべた。
「なんですって!?」
ミクルは唇をかみしめて、司を睨み付けた。

「じゃあ、どんな仕返しをするの!?」
「仕返しなんてしないさ。ただ、待遇を改善して欲しい」
ミクルは渋々頷いた。
「まず、食事を普通の物にしてくれ、まずくてかなわない」
司は本来の口調でミクルに依頼した。
「分かったわよ」

「ありがとう、助かるよ」
「ふん」
ミクルは顔を背けた。
「解除の魔法を覚えたからと言って、私の魔法を破るなんて。司の方が魔力が強いというの?」
ミクルは小さく呟いた。
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