11 / 20
11.お墓
しおりを挟む
「そういえば……みんなの亡骸はどこにあるのかしら?」
私はふと気になってウォルター王子に尋ねた。
「ペアデ国王たちのお墓は……どうなったのですか?」
「……共同墓地に埋められたと聞いている。父はペアデ王たちを町の外に打ち捨てたらしいが、ペアデ国の国民たちが亡骸を集め、共同墓地の一番いい場所に埋葬したらしい」
「……そうですか」
私は唇をかみしめて、悔し涙をこらえた。
「墓に行くか?」
「……はい」
私たちは共同墓地に向かった。
「ここか」
「はい」
共同墓地には新しい墓がたくさん増えていた。
その一番日当たりのよい場所に、お父様とお母さま、私の墓がたっていた。中には父たちと私の代わりに殺されたメイドのリディが葬られているのだろう。私とウォルター王子はペアデ国王たちに祈りをささげた。
「おいおい、何してんだ? ……ここは立ち入り禁止だぜ?」
墓のそばから、兵士が二人現れた。鎧の形から見て、ペアデ国の兵士ではない。いや、鎧を見るまでもなくペアデ国の兵士はもう……いないだろう。
「また、殴られに来たのか? 死んだ王のために。馬鹿な国民だな」
「民を愚弄するのですか!?」
私は思わず言い返してしまった。
「なんだ? このお嬢ちゃんは。俺たちの相手をしたいのか? まあ、見られない顔ではないから相手をしてやってもいいぜ?」
「まて、お前たちはフォルツァ国の評価を落としたいのか?」
「あ? お前は……」
ウォルター王子が兵士たちを睨んだ。兵士たちがこそこそとお互いに話しているのが聞こえる。
「おい、なんでウォルター王子がこんなところにいるんだよ?」
「知らねえよ。王子がこんな場所にいるわけないだろ?」
「じゃあ、偽物か?」
ウォルター王子が剣に手をかけた。
「お前たち、無力な人民に暴力をふるっているのか?」
「俺たちは……ただ、治安を守ろうと……」
兵士たちはじりじりと、ウォルター王子から距離を取った。
「……失せろ」
ウォルター王子の言葉を聞き、兵士たちは逃げて行った。
「すまない、リネ。この調子では、この国の治安は……ひどいことになっていると思う」
「そうですね」
私は父たちの眠る墓地を見た。
「城に入ったら、兵士たちの教育から始める。手伝ってくれるか? リネ」
「……私にできることなら」
平和で美しかったペアデ国の変わり果てた姿を見た私は、胸が重く、痛むのを感じた。
私はふと気になってウォルター王子に尋ねた。
「ペアデ国王たちのお墓は……どうなったのですか?」
「……共同墓地に埋められたと聞いている。父はペアデ王たちを町の外に打ち捨てたらしいが、ペアデ国の国民たちが亡骸を集め、共同墓地の一番いい場所に埋葬したらしい」
「……そうですか」
私は唇をかみしめて、悔し涙をこらえた。
「墓に行くか?」
「……はい」
私たちは共同墓地に向かった。
「ここか」
「はい」
共同墓地には新しい墓がたくさん増えていた。
その一番日当たりのよい場所に、お父様とお母さま、私の墓がたっていた。中には父たちと私の代わりに殺されたメイドのリディが葬られているのだろう。私とウォルター王子はペアデ国王たちに祈りをささげた。
「おいおい、何してんだ? ……ここは立ち入り禁止だぜ?」
墓のそばから、兵士が二人現れた。鎧の形から見て、ペアデ国の兵士ではない。いや、鎧を見るまでもなくペアデ国の兵士はもう……いないだろう。
「また、殴られに来たのか? 死んだ王のために。馬鹿な国民だな」
「民を愚弄するのですか!?」
私は思わず言い返してしまった。
「なんだ? このお嬢ちゃんは。俺たちの相手をしたいのか? まあ、見られない顔ではないから相手をしてやってもいいぜ?」
「まて、お前たちはフォルツァ国の評価を落としたいのか?」
「あ? お前は……」
ウォルター王子が兵士たちを睨んだ。兵士たちがこそこそとお互いに話しているのが聞こえる。
「おい、なんでウォルター王子がこんなところにいるんだよ?」
「知らねえよ。王子がこんな場所にいるわけないだろ?」
「じゃあ、偽物か?」
ウォルター王子が剣に手をかけた。
「お前たち、無力な人民に暴力をふるっているのか?」
「俺たちは……ただ、治安を守ろうと……」
兵士たちはじりじりと、ウォルター王子から距離を取った。
「……失せろ」
ウォルター王子の言葉を聞き、兵士たちは逃げて行った。
「すまない、リネ。この調子では、この国の治安は……ひどいことになっていると思う」
「そうですね」
私は父たちの眠る墓地を見た。
「城に入ったら、兵士たちの教育から始める。手伝ってくれるか? リネ」
「……私にできることなら」
平和で美しかったペアデ国の変わり果てた姿を見た私は、胸が重く、痛むのを感じた。
10
お気に入りに追加
23
あなたにおすすめの小説

【完結】6人目の娘として生まれました。目立たない伯爵令嬢なのに、なぜかイケメン公爵が離れない
朝日みらい
恋愛
エリーナは、伯爵家の6人目の娘として生まれましたが、幸せではありませんでした。彼女は両親からも兄姉からも無視されていました。それに才能も兄姉と比べると特に特別なところがなかったのです。そんな孤独な彼女の前に現れたのが、公爵家のヴィクトールでした。彼女のそばに支えて励ましてくれるのです。エリーナはヴィクトールに何かとほめられながら、自分の力を信じて幸せをつかむ物語です。
【完結】小麦姫は熊隊長に毎日プロポーズする[スピラリニ王国3]
宇水涼麻
恋愛
ビアータに毎朝プロポーズされるアルフレードは、プロポーズされることに違和感があり戸惑っている。
しかし、そんなことも三月も続けば、戸惑いはなくとも、疑問は残る。
ビアータは本気でプロポーズしているのか?
アルフレードは悩みながらも強くは拒否できないでいた。
そして、夏休みを迎える。
中世ヨーロッパ風学園ラブストーリーです。
『虐げられたご令嬢はお隣さんと幸せになる』と同時代同学園でのお話になります。
でも、ほぼ被りませんので、そちらを読んでいないことは問題ありません。
毎日午前中に更新予定です。

あなたと出会えたから 〜タイムリープ後は幸せになります!〜
風見ゆうみ
恋愛
ミアシス伯爵家の長女である私、リリーは、出席したお茶会で公爵令嬢に毒を盛ったという冤罪を着せられて投獄されてしまう。数十日後の夜、私の目の前に現れた元婚約者と元親友から、明日には私が処刑されることや、毒をいれたのは自分だと告げられる。
2人が立ち去ったあと、隣の独房に入れられている青年、リュカから「過去に戻れたら自分と一緒に戦ってくれるか」と尋ねられる。私はその願いを承諾し、再会する約束を交わす。
その後、眠りについた私が目を覚ますと、独房の中ではなく自分の部屋にいた――
※2/26日に完結予定です。
※史実とは関係なく、設定もゆるゆるのご都合主義です。
処刑された王女は隣国に転生して聖女となる
空飛ぶひよこ
恋愛
旧題:魔女として処刑された王女は、隣国に転生し聖女となる
生まれ持った「癒し」の力を、民の為に惜しみなく使って来た王女アシュリナ。
しかし、その人気を妬む腹違いの兄ルイスに疎まれ、彼が連れてきたアシュリナと同じ「癒し」の力を持つ聖女ユーリアの謀略により、魔女のレッテルを貼られ処刑されてしまう。
同じ力を持ったまま、隣国にディアナという名で転生した彼女は、6歳の頃に全てを思い出す。
「ーーこの力を、誰にも知られてはいけない」
しかし、森で倒れている王子を見過ごせずに、力を使って助けたことにより、ディアナの人生は一変する。
「どうか、この国で聖女になってくれませんか。貴女の力が必要なんです」
これは、理不尽に生涯を終わらされた一人の少女が、生まれ変わって幸福を掴む物語。

【完結】ただあなたを守りたかった
冬馬亮
恋愛
ビウンデルム王国の第三王子ベネディクトは、十二歳の時の初めてのお茶会で出会った令嬢のことがずっと忘れられずにいる。
ひと目見て惹かれた。だがその令嬢は、それから間もなく、体調を崩したとかで領地に戻ってしまった。以来、王都には来ていない。
ベネディクトは、出来ることならその令嬢を婚約者にしたいと思う。
両親や兄たちは、ベネディクトは第三王子だから好きな相手を選んでいいと言ってくれた。
その令嬢にとって王族の責務が重圧になるなら、臣籍降下をすればいい。
与える爵位も公爵位から伯爵位までなら選んでいいと。
令嬢は、ライツェンバーグ侯爵家の長女、ティターリエ。
ベネディクトは心を決め、父である国王を通してライツェンバーグ侯爵家に婚約の打診をする。
だが、程なくして衝撃の知らせが王城に届く。
領地にいたティターリエが拐われたというのだ。
どうしてだ。なぜティターリエ嬢が。
婚約はまだ成立しておらず、打診をしただけの状態。
表立って動ける立場にない状況で、ベネディクトは周囲の協力者らの手を借り、密かに調査を進める。
ただティターリエの身を案じて。
そうして明らかになっていく真実とはーーー
王国の女王即位を巡るレイラとカンナの双子王女姉妹バトル
ヒロワークス
ファンタジー
豊かな大国アピル国の国王は、自らの跡継ぎに悩んでいた。長男がおらず、2人の双子姉妹しかいないからだ。
しかも、その双子姉妹レイラとカンナは、2人とも王妃の美貌を引き継ぎ、学問にも武術にも優れている。
甲乙つけがたい実力を持つ2人に、国王は、相談してどちらが女王になるか決めるよう命じる。
2人の相談は決裂し、体を使った激しいバトルで決着を図ろうとするのだった。
とまどいの花嫁は、夫から逃げられない
椎名さえら
恋愛
エラは、親が決めた婚約者からずっと冷淡に扱われ
初夜、夫は愛人の家へと行った。
戦争が起こり、夫は戦地へと赴いた。
「無事に戻ってきたら、お前とは離婚する」
と言い置いて。
やっと戦争が終わった後、エラのもとへ戻ってきた夫に
彼女は強い違和感を感じる。
夫はすっかり改心し、エラとは離婚しないと言い張り
突然彼女を溺愛し始めたからだ
______________________
✴︎舞台のイメージはイギリス近代(ゆるゆる設定)
✴︎誤字脱字は優しくスルーしていただけると幸いです
✴︎なろうさんにも投稿しています
私の勝手なBGMは、懐かしすぎるけど鬼束ちひろ『月光』←名曲すぎ

【12話完結】私はイジメられた側ですが。国のため、貴方のために王妃修行に努めていたら、婚約破棄を告げられ、友人に裏切られました。
西東友一
恋愛
国のため、貴方のため。
私は厳しい王妃修行に努めてまいりました。
それなのに第一王子である貴方が開いた舞踏会で、「この俺、次期国王である第一王子エドワード・ヴィクトールは伯爵令嬢のメリー・アナラシアと婚約破棄する」
と宣言されるなんて・・・
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる