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10.舞踏会
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王宮には多くの人が集まっていた。
「ミスティア、顔色が悪いようだが大丈夫かい?」
「……少し緊張しているだけですわ、お父様」
「お姉さま、手をつないだほうがよろしいですか?」
「大丈夫です、リリア」
ミスティア達ノーム家は馬車を降り、舞踏会の会場に向かった。
宮殿の中は華やかに飾られ、シャンデリアや女神の像などが美しく輝いていた。
「……すごい……」
ミスティアが思わずつぶやくと、リリアが笑った。
「お姉さまは舞踏会に来るのは初めてでしょう? 驚きましたか?」
「ええ……」
ミスティアは大きな包みを抱えて、色とりどりのドレスをまとった令嬢たちを眺めていた。
「さあ、王に挨拶に行くぞ」
「はい、お父様」
王たちに挨拶するための列に並び、ノーム家は順番を待った。
「さあ、次は私たちだ」
ミスティアの父のライズ・ノーム子爵が王に挨拶をした。
「お目にかかれて光栄です、陛下」
「うむ」
国王のわきにいたアレン王子がミスティアを見つけ、声をかけた。
「ミスティア様、来てくださったのですね。あの時はありがとうございました」
「……いえ……あの……こ、これ……」
ミスティアは真っ赤になり、両手で抱えていた包みをアレス王子に渡そうと震える手を伸ばした。
「これは?」
アレス王子は包みを受け取り、不思議そうにそれを眺めた。
「……あの日から、作っていたものです。……アレス王子は人形作りを……熱心に見ていらっしゃったので……」
「開けても良いですか?」
ミスティアは赤い顔で小さく頷いた。
包みを開けたアレス王子は「ああ」と、感嘆の声をあげた。
「これは……私の人形ですか?」
「……はい。あの、勝手に……申し訳ありません」
ミスティアは人形を渡したことを後悔した。
「すばらしいです。父上、美しい人形でしょう? ミスティア様は人形作りが上手なんですよ」
「ほう、服の細工まで丁寧に作られているな」
ミスティアは恐縮して小さくなっている。
「私の部屋にかざることにしましょう。ありがとうございます、ミスティア様」
「いえ、恐れ多いです……」
ノーム家は王への挨拶を終え、広間に戻った。
「……ご迷惑をおかけしてしまったかしら」
ミスティアが呟くと、父親のライズが言った。
「王も王子もほめてくださったじゃないか。大丈夫だ、ミスティア」
「やあ、ノーム子爵じゃないか」
「ごぶさたしております」
ライズがどこかの貴族に話しかけられ、母と一緒に立ち話を始めた。
「……私、飲み物をとってきます……」
「私も行きますわ、お姉さま」
ミスティアとリリアは飲み物を取るため、父と母と別れた。
ご馳走の並んだテーブルのわきで、ミスティアとリリアが飲み物を飲んでいると、知らない令嬢に話しかけられた。
「あなた、あんな気持ちの悪い人形を王子にプレゼントするなんて、センス無いわね。あれでアレス王子の気を引けるとでも思ったの?」
ミスティアは青い顔をして、令嬢を見つめた。
「あなたは……誰ですか?」
「私を知らないの? ブリュー子爵の娘、アビス・ブリューよ」
「アビス……様……?」
ミスティアとリリアは、アビスの前で立ち尽くしていた。
「ミスティア、顔色が悪いようだが大丈夫かい?」
「……少し緊張しているだけですわ、お父様」
「お姉さま、手をつないだほうがよろしいですか?」
「大丈夫です、リリア」
ミスティア達ノーム家は馬車を降り、舞踏会の会場に向かった。
宮殿の中は華やかに飾られ、シャンデリアや女神の像などが美しく輝いていた。
「……すごい……」
ミスティアが思わずつぶやくと、リリアが笑った。
「お姉さまは舞踏会に来るのは初めてでしょう? 驚きましたか?」
「ええ……」
ミスティアは大きな包みを抱えて、色とりどりのドレスをまとった令嬢たちを眺めていた。
「さあ、王に挨拶に行くぞ」
「はい、お父様」
王たちに挨拶するための列に並び、ノーム家は順番を待った。
「さあ、次は私たちだ」
ミスティアの父のライズ・ノーム子爵が王に挨拶をした。
「お目にかかれて光栄です、陛下」
「うむ」
国王のわきにいたアレン王子がミスティアを見つけ、声をかけた。
「ミスティア様、来てくださったのですね。あの時はありがとうございました」
「……いえ……あの……こ、これ……」
ミスティアは真っ赤になり、両手で抱えていた包みをアレス王子に渡そうと震える手を伸ばした。
「これは?」
アレス王子は包みを受け取り、不思議そうにそれを眺めた。
「……あの日から、作っていたものです。……アレス王子は人形作りを……熱心に見ていらっしゃったので……」
「開けても良いですか?」
ミスティアは赤い顔で小さく頷いた。
包みを開けたアレス王子は「ああ」と、感嘆の声をあげた。
「これは……私の人形ですか?」
「……はい。あの、勝手に……申し訳ありません」
ミスティアは人形を渡したことを後悔した。
「すばらしいです。父上、美しい人形でしょう? ミスティア様は人形作りが上手なんですよ」
「ほう、服の細工まで丁寧に作られているな」
ミスティアは恐縮して小さくなっている。
「私の部屋にかざることにしましょう。ありがとうございます、ミスティア様」
「いえ、恐れ多いです……」
ノーム家は王への挨拶を終え、広間に戻った。
「……ご迷惑をおかけしてしまったかしら」
ミスティアが呟くと、父親のライズが言った。
「王も王子もほめてくださったじゃないか。大丈夫だ、ミスティア」
「やあ、ノーム子爵じゃないか」
「ごぶさたしております」
ライズがどこかの貴族に話しかけられ、母と一緒に立ち話を始めた。
「……私、飲み物をとってきます……」
「私も行きますわ、お姉さま」
ミスティアとリリアは飲み物を取るため、父と母と別れた。
ご馳走の並んだテーブルのわきで、ミスティアとリリアが飲み物を飲んでいると、知らない令嬢に話しかけられた。
「あなた、あんな気持ちの悪い人形を王子にプレゼントするなんて、センス無いわね。あれでアレス王子の気を引けるとでも思ったの?」
ミスティアは青い顔をして、令嬢を見つめた。
「あなたは……誰ですか?」
「私を知らないの? ブリュー子爵の娘、アビス・ブリューよ」
「アビス……様……?」
ミスティアとリリアは、アビスの前で立ち尽くしていた。
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