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3.探索
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気が付いてから四日目。ベッドに寝かされていたけれど、もう熱もなく食欲もあるということで、やっと家の中を歩き回れるようになった。
「ああ、寝すぎて頭が痛い……」
私は壁に手を当てながら、ゆっくりと歩いた。
家の中の詳しい様子はゲームには出てこない。私は知らない家を探索している状態だ。ここは何があるだろう? と一部屋ずつ覗いてみる。
大体は使っていないゲストルームで、ベッドと机と棚があるだけだった。
歩いて行くと、一階の隅に大きな扉があった。
「ここは何の部屋かしら?」
重い扉をゆっくり開けると少しかび臭い。中に入って納得した。
「すごい量の本……。図書室だったのね」
一番近くにあった本を手に取り、広げてみる。見たことのない文字のはずなのに、内容が分かる。
「どんな本があるのかしら?」
私は図書室の隅から、本の背表紙を一つずつ眺めながら歩いて行った。
「アルコバレーノの歴史……か。確か、『ユニコーンの乙女』の舞台もアルコバレーノの国だったわよね……」
中には歴代の王の名前や、大きな戦、聖人なんかの話が書いてあった。
「ふうん。こんな設定……じゃなくて、歴史なんだ……」
私は本を斜め読みして閉じた。
「なんだか疲れちゃった」
私は自分の部屋に戻り、ベッドに入った。
ドアがノックされた。
「はい、どうぞ」
メイドのアンナがドアを開けて入ってきた。
「リーズ様、お手紙が届いています」
「ありがとう」
私は受け取った手紙の差出人を確認する。
「レミ・ブレイク?」
そういえば、クライブの妹がレミと言ったような気がする。
私は手紙を開けた。
<リーズ様、お元気になられたでしょうか。また、勉強会でお会いできることを楽しみにしております。お体ご自愛くださいませ。レミ・ブレイク>
「勉強会?」
私は詳しいことを思い出せない。部屋を出て行こうとするアンナに声をかけ、たずねた。
「アンナ、定例の勉強会があるの?」
「リーズ様、覚えていらっしゃらないのですか? 月に二回くらい、ブレイク子爵の家で勉強会が開かれていて、お招きくださっていたのですが」
「ああ、そうだったわね」
私は思い出せなかったけれど、にっこりと笑った。
「いつも勉強会の後はパール様のことやレミ様のことを話されていらっしゃいましたよね」
「え!? あ、パール様も来ているのね」
「そう聞いておりますが?」
「もう下がっていいわ。ありがとう、アンナ」
私はアンナが部屋を出て扉を閉めると枕に顔をうずめて叫んだ。
「パールたんと勉強会!! これは行かなきゃ!!」
ベッドに転がりにやけているとまたドアがノックされた。私はすました声で返事をする。
「何か?」
ドアを少し開けてアンナが私に言った。
「リーズ様、たびたび申し訳ありません。本日の夕食はお部屋で食べられますか? それとも食堂で皆様と一緒にお食べになりますか?」
そういえば、私は体調が落ち着くまで一人でいたいとアンナに言っていたことを忘れていた。少し考えてから、私は答える。
「今日から私もみんなと食事をするわ」
いままでと違う態度や口調を指摘されるかもしれないけれど、いつまでも家族と会わないわけにもいかない。
私は覚悟を決めた。
「ああ、寝すぎて頭が痛い……」
私は壁に手を当てながら、ゆっくりと歩いた。
家の中の詳しい様子はゲームには出てこない。私は知らない家を探索している状態だ。ここは何があるだろう? と一部屋ずつ覗いてみる。
大体は使っていないゲストルームで、ベッドと机と棚があるだけだった。
歩いて行くと、一階の隅に大きな扉があった。
「ここは何の部屋かしら?」
重い扉をゆっくり開けると少しかび臭い。中に入って納得した。
「すごい量の本……。図書室だったのね」
一番近くにあった本を手に取り、広げてみる。見たことのない文字のはずなのに、内容が分かる。
「どんな本があるのかしら?」
私は図書室の隅から、本の背表紙を一つずつ眺めながら歩いて行った。
「アルコバレーノの歴史……か。確か、『ユニコーンの乙女』の舞台もアルコバレーノの国だったわよね……」
中には歴代の王の名前や、大きな戦、聖人なんかの話が書いてあった。
「ふうん。こんな設定……じゃなくて、歴史なんだ……」
私は本を斜め読みして閉じた。
「なんだか疲れちゃった」
私は自分の部屋に戻り、ベッドに入った。
ドアがノックされた。
「はい、どうぞ」
メイドのアンナがドアを開けて入ってきた。
「リーズ様、お手紙が届いています」
「ありがとう」
私は受け取った手紙の差出人を確認する。
「レミ・ブレイク?」
そういえば、クライブの妹がレミと言ったような気がする。
私は手紙を開けた。
<リーズ様、お元気になられたでしょうか。また、勉強会でお会いできることを楽しみにしております。お体ご自愛くださいませ。レミ・ブレイク>
「勉強会?」
私は詳しいことを思い出せない。部屋を出て行こうとするアンナに声をかけ、たずねた。
「アンナ、定例の勉強会があるの?」
「リーズ様、覚えていらっしゃらないのですか? 月に二回くらい、ブレイク子爵の家で勉強会が開かれていて、お招きくださっていたのですが」
「ああ、そうだったわね」
私は思い出せなかったけれど、にっこりと笑った。
「いつも勉強会の後はパール様のことやレミ様のことを話されていらっしゃいましたよね」
「え!? あ、パール様も来ているのね」
「そう聞いておりますが?」
「もう下がっていいわ。ありがとう、アンナ」
私はアンナが部屋を出て扉を閉めると枕に顔をうずめて叫んだ。
「パールたんと勉強会!! これは行かなきゃ!!」
ベッドに転がりにやけているとまたドアがノックされた。私はすました声で返事をする。
「何か?」
ドアを少し開けてアンナが私に言った。
「リーズ様、たびたび申し訳ありません。本日の夕食はお部屋で食べられますか? それとも食堂で皆様と一緒にお食べになりますか?」
そういえば、私は体調が落ち着くまで一人でいたいとアンナに言っていたことを忘れていた。少し考えてから、私は答える。
「今日から私もみんなと食事をするわ」
いままでと違う態度や口調を指摘されるかもしれないけれど、いつまでも家族と会わないわけにもいかない。
私は覚悟を決めた。
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