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10.企みの代償
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「ブラッド、国王を狙った男はどうなりましたか?」
夕食の時間に、私はブラッド様に尋ねてみた。
「詳しくは言えないが、公爵家の中に国王を狙うものがいるようだ」
ブラッド様の表情が暗い。
「まあ! やっかいな相手なのですか?」
私はスープを飲みながら聞いた。
「そこまでではないが……」
ブラッド様の手が止まった。
「なにかあるのですか?」
「……ローラと一緒にいられる時間が減るかもしれない」
この世の終わりだというような表情でブラッド様が言った。
「国王を狙うとは……ベック公爵も何を考えているのか……」
ブラッド様のつぶやきに、私が表情を曇らせるとブラッド様は慌てて言った。
「ああ、すまない。二人でいる時に仕事の話をしてはいけないな」
「いいえ。私も力になれれば良いのですが」
「ローラ……君がいてくれるだけで私は満足だ。気にしないでくれ」
ブラッド様はうっとりとした目で私を見つめている。
「ブラッド、スープが冷めてしまいますよ?」
「ああ」
食事を終えるとブラッド様は私の手を取り、自分の部屋に連れて行った。
「ブラッド?」
「少し疲れた。膝を貸してくれ」
「え?」
ブラッド様は自分のベッドに私を座らせると、ベッドに寝転がり私のももの上に頭を乗せた。
ブラッド様の短い黒髪は思ったよりも柔らかく、ももにあたるとくすぐったい。
「王宮では気をはりつめているのですね」
「まあ、気は抜けないな」
私はブラッド様の頭を優しくなでた。
「……ありがとう」
ブラッド様は目を閉じた。
夕食の時間に、私はブラッド様に尋ねてみた。
「詳しくは言えないが、公爵家の中に国王を狙うものがいるようだ」
ブラッド様の表情が暗い。
「まあ! やっかいな相手なのですか?」
私はスープを飲みながら聞いた。
「そこまでではないが……」
ブラッド様の手が止まった。
「なにかあるのですか?」
「……ローラと一緒にいられる時間が減るかもしれない」
この世の終わりだというような表情でブラッド様が言った。
「国王を狙うとは……ベック公爵も何を考えているのか……」
ブラッド様のつぶやきに、私が表情を曇らせるとブラッド様は慌てて言った。
「ああ、すまない。二人でいる時に仕事の話をしてはいけないな」
「いいえ。私も力になれれば良いのですが」
「ローラ……君がいてくれるだけで私は満足だ。気にしないでくれ」
ブラッド様はうっとりとした目で私を見つめている。
「ブラッド、スープが冷めてしまいますよ?」
「ああ」
食事を終えるとブラッド様は私の手を取り、自分の部屋に連れて行った。
「ブラッド?」
「少し疲れた。膝を貸してくれ」
「え?」
ブラッド様は自分のベッドに私を座らせると、ベッドに寝転がり私のももの上に頭を乗せた。
ブラッド様の短い黒髪は思ったよりも柔らかく、ももにあたるとくすぐったい。
「王宮では気をはりつめているのですね」
「まあ、気は抜けないな」
私はブラッド様の頭を優しくなでた。
「……ありがとう」
ブラッド様は目を閉じた。
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