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8、アルフレッド

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「ダグラス伯爵、ようこそ神殿にいらっしゃいました」
「ごぶさたしております、クリフ様、カイル様」
 アルフレッドは神殿の応接室に案内された。

「それにしても、珍しいですな。ダグラス伯爵がこちらにおみえになるとは」
 クリフ神官長がそう言うと、アルフレッドは笑いながら答えた。
「神を信じておりませんからね」
 アルフレッドの言葉に、クリフ神官長とカイルの表情がこわばった。
「では何故、こちらにいらっしゃったのですか?」
 クリフ神官長の問いかけに、アルフレッドは言った。

「実は、こちらの神子様を、私の屋敷で雇いたいと思いまして」
「それは……許されません。神に選ばれた神子ですから、外へ出すのは神の意志に背く行為です」
 アルフレッドはつまらなそうな表情で言った。
「でも、神子様も神を信じていないのでしょう?」
 クリフ神官長がひるんだ。

「レイス、神子様を呼びなさい」
「はい、神官長」
 フローラはレイスに呼ばれ、話し合いの場所に顔を出した。
「やあ、神子様」
「アルフレッド様!? どうしてここに!?」
 フローラとアルフレッドのやりとりを見て、クリフ神官長は言った。

「二人は知り合いでしたか……?」
「……はい、少しだけですが……」
 アルフレッドは改めてフローラに挨拶をした。
「こんにちは、神子様。今日は貴方を引き取りに来ました」
「……え?」
 フローラは訳が分からず、ただソファーの近くに立っていた。
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