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7、数学
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僕がクラスに入り席について五分ほどすると、先生がやって来た。
「おはようございます」
先生の後ろにはユイが立っていた。
「今日から転入生が来ます。伊口さん、自己紹介をして下さい」
「伊口ユイだ。伊口晴人の親戚だ。異国の地からやって来たのでこの世界の常識は分からん。よろしく頼む!」
先生はちょっと困ったような顔で微笑みながら、クラスメート達に話しかけた。男子生徒達は、ユイの可愛さに目を見張っている。
一方、女子達は僕の方を見て言った。
「あんまり晴人君と似てないね。顔が整ってて可愛すぎるけど、ほんとに親戚?」
女子達……ちょっと酷い。
「伊口さんは違う国で育ったので、ちょっと変わっているかも知れませんが、仲良くするように」
先生の言葉にクラス全員が答える。
「はーい!」
脳天気なクラスで良かった。
「じゃあユイさんは、窓際の後ろの席に座って下さい」
先生は空いている席を指さしながら言った。
「了解した」
ユイが席に着くと、隣に座っている女子が声をかけた。
「よろしくね。伊口さん」
「ユイと呼んでくれ」
「ユイさん、よろしくね。私は葉山(はやま)さくら」
ユイは葉山さんの隣の席になった。いいなあ、と僕は思った。だって葉山さんはお嬢様でちょっとおっとりしていて、傍に居るとなんだか心が温かくなるから。つまり、僕は葉山さんが気に入っている。
ユイの紹介が終わると、担任はすぐにクラスを出て行ってしまった。
みんながざわざわとしていると、数学の先生が入ってきた。
「それでは授業を開始します」
「あ、山田先生は厳しいから気をつけてね」
葉山さんがユイにそっと教えた。
「分かった」
ユイが頷くと同時に、山田先生がユイを見て言った。
「伊口ユイさんでしたね。では、この問題を解いて見て下さい」
そこには習ったばかりの数式が書かれている。
「ユイさん、大丈夫?」
「まかせておけ!」
ユイはツカツカと黒板に向かっていった。
チョークを手に取り、すらすらと解法を書いていく。
「これは、この前教えたのとは違う解き方ですが、シンプルで美しいですね」
めずらしく山田先生が答えを褒めた。
ユイは不思議そうな顔をして答えた。
「そうか?」
「……ちょっと、ユイ、言葉遣い!!」
僕は思わずユイに声をかけてしまった。
「失礼した。……席に戻っても問題ないですか?」
「ええ、どうぞ」
山田先生に怒られることもなく、ユイは悠然と自分の席に戻っていった。
「ユイさん、凄い」
「あの数式なら小学生の知識でも解けるぞ?」
「……」
ユイは葉山さんと何か話している。僕の所からは聞こえないけれど、友達になったのなら良かったと僕は思った。
次は体育だ。
ユイは並外れた身体能力を持っているから何か事件を起こさないか、僕は心配だった。
「おはようございます」
先生の後ろにはユイが立っていた。
「今日から転入生が来ます。伊口さん、自己紹介をして下さい」
「伊口ユイだ。伊口晴人の親戚だ。異国の地からやって来たのでこの世界の常識は分からん。よろしく頼む!」
先生はちょっと困ったような顔で微笑みながら、クラスメート達に話しかけた。男子生徒達は、ユイの可愛さに目を見張っている。
一方、女子達は僕の方を見て言った。
「あんまり晴人君と似てないね。顔が整ってて可愛すぎるけど、ほんとに親戚?」
女子達……ちょっと酷い。
「伊口さんは違う国で育ったので、ちょっと変わっているかも知れませんが、仲良くするように」
先生の言葉にクラス全員が答える。
「はーい!」
脳天気なクラスで良かった。
「じゃあユイさんは、窓際の後ろの席に座って下さい」
先生は空いている席を指さしながら言った。
「了解した」
ユイが席に着くと、隣に座っている女子が声をかけた。
「よろしくね。伊口さん」
「ユイと呼んでくれ」
「ユイさん、よろしくね。私は葉山(はやま)さくら」
ユイは葉山さんの隣の席になった。いいなあ、と僕は思った。だって葉山さんはお嬢様でちょっとおっとりしていて、傍に居るとなんだか心が温かくなるから。つまり、僕は葉山さんが気に入っている。
ユイの紹介が終わると、担任はすぐにクラスを出て行ってしまった。
みんながざわざわとしていると、数学の先生が入ってきた。
「それでは授業を開始します」
「あ、山田先生は厳しいから気をつけてね」
葉山さんがユイにそっと教えた。
「分かった」
ユイが頷くと同時に、山田先生がユイを見て言った。
「伊口ユイさんでしたね。では、この問題を解いて見て下さい」
そこには習ったばかりの数式が書かれている。
「ユイさん、大丈夫?」
「まかせておけ!」
ユイはツカツカと黒板に向かっていった。
チョークを手に取り、すらすらと解法を書いていく。
「これは、この前教えたのとは違う解き方ですが、シンプルで美しいですね」
めずらしく山田先生が答えを褒めた。
ユイは不思議そうな顔をして答えた。
「そうか?」
「……ちょっと、ユイ、言葉遣い!!」
僕は思わずユイに声をかけてしまった。
「失礼した。……席に戻っても問題ないですか?」
「ええ、どうぞ」
山田先生に怒られることもなく、ユイは悠然と自分の席に戻っていった。
「ユイさん、凄い」
「あの数式なら小学生の知識でも解けるぞ?」
「……」
ユイは葉山さんと何か話している。僕の所からは聞こえないけれど、友達になったのなら良かったと僕は思った。
次は体育だ。
ユイは並外れた身体能力を持っているから何か事件を起こさないか、僕は心配だった。
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