調律師カノン

茜カナコ

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24.注意

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カノンはドアをノックする音で起こされた。
「アランです。カノン、ベンジャミン、起きていますか? 身支度を整えたら職員室に来なさい」
「……はい? ……わかりました」
 カノンはベンジャミンを起こし、職員室に呼ばれたことを伝えた。

「ええ? やっぱり昨日のことで怒られるのかな? 嫌だなあ……」
 ベンジャミンは着替えながらカノンに言った。
「うーん。なるべく早めに行こうよ。これ以上アラン先生の機嫌が悪くなったら困るし……」
 カノンも着替えをしながら、ベンジャミンに返事をした。

「じゃあ、そろそろ行こうか」
「ああ」
 カノンとベンジャミンは、アラン先生の待つ職員室に向かった。

 早朝の職員室には人気が無かった。アラン先生の席のそばに行ったとき、職員室のドアが開いて、アラン先生とアデルが入ってきた。
「おはよう。三人とも、何故呼ばれたのか分かっているかな?」
 アラン先生は厳しい表情でカノンたちに尋ねた。

「あの……」
「昨日の午後、アデルの母親を助けるために森に行ったそうだね」
「なぜそれをご存じなんですか!?」
 カノンが驚いてアラン先生にたずねると、アラン先生は微笑して答えた。
「昨日の夜遅くに、アデルのお母さんが、君たちが森まで助けに来てくれた、叱らないでやってほしいと私に言いに来たんだよ」

 アラン先生は少し困ったような笑顔で、カノンに言った。
「学校を抜け出して森に行くなんて危険な真似を許すわけには行かない。……人助けは素晴らしいことだが、君たちの行ったことはルール違反でもある。……そうだな、罰として一か月、毎朝、寮のトイレと廊下の掃除をしてもらおうかな」

「……はい」
 カノンとアデルとベンジャミンはおとなしく頷いた。
「それじゃあ、掃除をしたら朝食に向かいなさい。私の話は以上です」
「わかりました、アラン先生」

 カノンたちは職員室を出ると、掃除道具を片手に廊下に向かった。
「あーあ。めんどうだな」
 ベンジャミンが口をとがらせている。
「私のせいで……ごめんなさい」
 アデルが下を向いて呟いた。
「……こまったときはお互い様だよ」
 カノンは明るい口調で言った。

 廊下掃除を終えると、アデルは女子トイレを、カノンとベンジャミンは男子トイレの掃除を始めた。
「朝食に間に合うかな?」
「ギリギリだね」

 カノンたちは掃除を終えると、掃除道具を片付けて朝食に向かった。
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