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6ジェラシック

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「はい!ドゥミ。ドゥミ グラン・プリエ 背中落とさない!まっすぐ首筋立てろ!」
MDデッキからモーツアルトのレッスン曲が流れる。
「ストゥニュー回って右手バーで同じ」

学科が終わった後の午後のバーレッスンの時間が始まった。

三方が鏡張りで壁にはバーが取り付けられ生徒達が15人ずらりと並んでレッスンを受けていた。
その天井に近いところの大きな長方形の窓から曇り空の鈍い光が射している。
精鋭クラスのバーレッスンだった。


大勢のバレエガール達の熱気で室内は蒸している。

「ターン・アウト甘い!なんだ!集中絶やさない。バーを怠れば何もかも崩れぞ。軸脚開いて」


いっ!やっ

通りしなに教師の、
ヒュンと伸びる差し棒の先で背中を軽く叩かれ、スっと先端がそのまま尻の割れ目をなぞった。
必死に声を殺す玲於奈の真ん前には樹里が左手バーで位置している。
樹里は太腿を突かれ一瞬棒の先が股間も突いた。
背中が崩れると更に棒が樹里の股間を前後に素早く動く。

ああ。この子いつも、腕カンブレでタンジュのつま先潰してるんだよね。

背中も額も汗の玉ができていた。
バーだけなのにいつもはここまで汗をかかない。
いやらしいことされるのには慣れている。そんな事が原因じゃない。
おかしい。
自分の躰が自分のものでない妙な錯覚に陥る。

大きくお辞儀をしてバーが終わるとシューカバーを履いてトイレに急いだ。
アレがきてるかも。
個室に入って確かめる。
まだだ。良かった。一応タンポンは入れてきた。
便座に座って長い吐息をつく。

人が入ってくる気配。

みんないなくなってから出よう。

「ねえ。みまして?」
「綾部様。しっ。誰かきいてるかわからなくてよ」
「だって。Sランク・クラスのバーから外して頂きたいわ。あの二人」
「そうね」
「どうしてそう思われるの?」
「時々。大崩れするでしょ。たかがバーで」
「変よね。確かに。小学生でもしないわ」


玲於奈は便座に座ったまま歯ぎしりした。
『自称元公家三羽烏』だ。本来は禁止の化粧を直しにきたのだ。
綾部と河上。それに不知火。見下せる相手を探してはこれだ。

自分や立場の弱い生徒達は
痴漢に遭いながらレッスン受けてるなんて想像もできないだろう。
未華子と同じ部類だ。
特別扱い。

いや未華子は違うか。
あの子は少なくとも人を馬鹿にしたりしなかった。

三人ともまだ、アーチストだ。
私より二つも下の癖に。

不知火偕子が「ねえ。皆さま。玲於奈さんの踊りは如何思召す?」
ーーーおぼしめすって、平安かよ。吹きそうになる。
ここまで『お嬢様』を前面に出す生徒は少ない。
「最初は好きだったわ。でも段々無駄な動きがあるっていうのかしら。そうねえ。あなたは?」
「アイリは品が無いと思う。手の振り方が『ボリショイ的』?というの?
大雑把。指の間が離れすぎ。それに柔軟もね」
「そう。そう。私しもそう思ってたの」
「皆様。可哀想よ。町教室の癖が抜けないだけ。
もう少し大きな目でみて差し上げなくては」
「優しいのね」
河上アイリが「そうは思ってもーーークララがあの方なのよ。アイリ不満。お父様にいいつけたわ。
いえ。いいつけたっていうのは一人の生徒としての分を弁えないとこよ。
西園寺翔様と馴れ馴れしいでしょ。きっとご迷惑してるんだわ。
育ちの違う者同士は上手くいかないって。ねえやが教えてくれたのよ」と続ける。

急に優しい口調になった不知火は、
「可哀想というのは、実力以上の役を割り当てられたその事実よ。
本当に可哀想だわ。翔様はねえ婚約者がいることだしーーー」
「まあ!お相手は?誰?誰?どなたか知ってるんでしょう?教えて頂戴な」
「ふふ」
「ああ。あやしいわ。あやしい。アイリ、結構。翔様好きだったのに。偕子様と?」
「それなら仕方ないわ。偕子様には勝てないもの。
ロイアルい在籍中よね?なのに一年間ここを手伝ってくださるって。わくわくする。王子役ぴったりですもん」
実際のヒエラルキーを登れないこの連中は自分たちだけの『身分制度』を敷いているのだ。



玲於奈は自分を『可哀想』という不知火が一番自分を嫌っていると知っていた。私も不知火大嫌いだし。
腹が立って今すぐ個室のドアを開けて怒鳴ってやりたい。

『お金』と『お嬢様芸』しか無いでくの坊が!!

それにその西園寺翔が何時だったか漏らしてたのをそのまま教えてやりたい衝動にかられた。
「おば様は、身分がどうとか血統とかにコップレックスが強いんだ。校長という立場もあるけど。行き過ぎたよ。
自分が養女だっただけにね。西園寺家の直径は僕の父だけだよ。ああ。僕もその先の直径になるか」

偕子の一言が矢になって玲於奈の白く秀でた額を貫いた。
「クララは最初未華子さんだったのよ。それを。ご辞退されたんですって。あの方」
「まあ。信じられない。何故かしら?」
「自信がないって」


去ってゆくのをじっと待った。
握りしめたこぶしが冷たい。

ドアを開けると、下村鞠がいつの間にか鏡の前でシニヨンを崩して肩まである髪をブラして梳いていた。
鞠は玲於奈の瞳を鏡越しにしっかと見詰め「髪。そのまま?」
あ。そうだ。
次は公演のリハーサルだから髪型もクララにしなくちゃ。
化粧ポーチを寮の部屋に丸ごと忘れて来てしまった。
戸惑った玲於奈の様子に、
「なに?ないの?」
「うん」
「どうぞ。これでよかったら」大きなコームとゴム紐。
それに白いリボンまで入った水色のビニール製ポーチをそのまま玲於奈の鏡の前にぽんと置いた。
多分百円ショップのだ。
「ありがと」
「がんばろ」
「え?」驚いて鞠の横顔を見遣る。
「がんばりましょうよ」
「あ。あなた友人役よね」
「ううん。違う」
「え?」
「裏公演のこと。がんばろ。アイツらに負けたくない」
「アイツらってーーー」
「違う。偕子達じゃない。葛西とか勅使河原とか。あと中務未華子」
「へえ。意外。あんたたち仲いいかと思ってた」
「誰か来る。偕子は自分でするのが好きみたい。じゃ」
「え?」
ーーー自分で?ああ。アレね。

鞠のお陰で髪型を直し終えたのと入れ替わりに生徒が二人入って来て玲於奈も出た。
腕時計を見るとヤバい。
遅刻!
別棟にあるリハの大レッスン室まで全力で走った。

ーーーーーー下村鞠はそんな嫌な子じゃないな。私って単純?


そだ。
未華子が居なくなって校医の早乙女から催促が来てたんだわ。
自分が行くしかないと思っていたけどーーーまあ。
未華子からもらったお金もあるし。指輪は売れるだろう。
当分お金に困らない。

オモシロいかも!
悪戯してやろ。いいコト考えた。

第三スタジオで裏公演のレッスン中、振り付けを変更しろと葛西と西園寺が延々喧嘩している間に、西園寺のバックからはみ出ていたスマホをそっと取り出した。
お坊ちゃまってちょろい。
ロックもかかってない。
『今晩11時に第三スタジオ。翔』という、あの三人でやる裏公演の
練習予定のメールの「第三スタジオ」だけ「校医室ベッド」に書き換えて不知火偕子のショートメールに送った。
校医の早乙女には自分のスマホから『今晩11時 校医室 秘密子』と送っておいた。

本当に西園寺翔と偕子が許嫁の仲なのかは定かでない。
そんなのはどうでもいい。
普段ラインでやりとりしてるならダメかーーー
まあ。
こんな穴だらけの手にひっかかる率2パーかな?
いや無理でしょ。


その夜。12時半を回って玲於奈は一応と、医務室を覗いた。
うそーーーーー
校医室に忍び込んで机の間から覗いた。
軋むパイプベッドの上で四つん這いになった不知火偕子が膝立ちの早乙女医師の肉棒を咥えて紅潮した顔をこちらに向けていたのを目撃した。
信じられない。淫売宿の「娼婦」だった。
あ。そうか『マノン』を地でいってるわけかーーーそれにしても。
蕩け虚けた瞳で早乙女の謂うがままに従っている。
「うまういぞ!秘密子ちゃん!!最高だ!おまえのアソコはガバガバだが上の口は確かだ!」
偕子は自分の両手を使って猛った肉棒を大事そうに触っている。
早乙女はパンパン偕子の尻を叩いている。
嫌でも偕子の膝が落ちる。背中は反ったまま、両手をシーツに着いて後ろ脚は八の字に広がった。
普通だったら咥えたモノも吐き出すだろうが、こんな態勢も難が無い。

早乙女医師の両手は偕子の背中をさすり尻を摩った。
片手は偕子の恥骨とシーツの下へと滑り込ませて襞奥へと伸び、もう片手は尻の割れ目をなぞってそのまま指を挿入した。

うぐっぅ。ううう。ぐぐぐ。ううううーーーーー

下と上から同時に秘所の弱いところを嬲られた。
ショーツを詰め込まれてはいても強烈な快楽の刺激に苦し気な声が漏れる。
首を振って暴れ出した偕子の頭をくるみ割りのハサミの様に男はしっかと掴んで固定する。
「歯をたてるな。吸い上げろ。あああーーいいね。いい子だ。秘密子ちゃん。いいよ。イキそう。もう出る」
処女地の乳房の両方の先端にはピンクのローターが医療用の絆創膏で止めてあった。
コガネムシの機械音。
口の端から涎が伝う。
決して「助けて」という顔ではない。
ーーーーすっかり愉しんでる。

これが、公家のお嬢の正体!?
どちらかというと市松人形や藤娘の日本人形寄りの顔立ちだ。
口も目も半開きでやられている。


なんかうまく行き過ぎの感も。

あああーーーー早乙女の鬼。
ジュースに混ぜて飲ませるのうまいんだよね。
いつものビデオを回している三脚の近くにジンの瓶が転がってい酒の臭いが立ち込めていた。
でなければこうまではーーーーまあ。いいわ。
玲於奈もスマホで何枚も写メを撮った。

ふふ。













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