君の幸せ、僕の不幸

another.

しかし、予想に反してこの世界のキィはもう一人の自分の出現に喜んだ。

驚きはしたが無邪気に喜んで笑った。
彼は勝手に勘違いをしているようだった。

キィが困っている自分を未来(別世界？ )から助けに来てくれたのだと思っていた。


なんの力もなくて強くも弱くもない。普通のキィ。
殺すのは簡単だ。
それよりもう少しこの世界のことを知るために話を聞いておこう。
その日はいっしょに過ごすことにした。


いきなり毒気を抜かれてしまったキィ。  
それから2人のキィの奇妙な共同生活が始まった。


一見平和でなに不自由なく幸せそうなキィにもいろいろ悩みがあることを知る。 
お互いの存在に心の欠乏を埋めようとする二人。


けれど、キィはずっとこの世界にいることはできないのだ。
元々入れ替わるつもりだったから問題なかったが、同じ世界に同じ二人が存在し続けることは出来ない。


こちらのキィを殺せなくなったキィは、どんな決断をするのか…


相手を殺せば幸せに
殺さなければ泡と消える