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5章 時間の終
49話 アサシン本部での決戦の果て
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ブルー「レッド。アサシンに戻るつもりは無い?」
レシア「なんだ、藪から棒に?」
ブルー「この戦いでアサシンも結構ダメージがあるのよ。バダグもチャードもバダグの側近も死んじゃったからね。」
レシア「殆どを殺したの…俺じゃないか。」
ブルー「アンタだって色々私に言いたい事もあるでしょうが…」
レシア「そうだな。でもまあ良い。」
ブルー「そう?」
レシア「ついでに、アサシンに戻る事も無い。」
ナーダ「レシア。」
ブルー「そう…まあそうよね。アンタにとってアサシンは村の仇を見付ける手段でしかなかったんだもんね。」
レシア「そういう事だ。元々、俺はアサシンには向いていない。」
ブルー「そうかしら?なかなかのアサシンっぷりだったけど。確かに個性は強かったけどね。」
レシア「バダグが村の仇だった。そして村の仇を討てた。それで俺は充分だ。理由はあれど、今までアサシンとして色々な人を殺して来た。これ以上は何も望まないさ。」
ナーダ「レシア…村へ帰る?」
レシア「…そうだな。取り敢えずはルーン村へ戻ろう。ブルー、俺達は村に居る。何かあれば言って来い。」
ブルー「…分かったわ。」
レシアはナーダと共に故郷であるルーン村へ戻った。幸いアサシン時代の貯金もあったし、村での自給自足生活に大した問題は無いだろう。
ブルーはアサシン本部長としてレシアやナーダへの攻撃を完全に禁止した。その情報伝達は早く、もう2人がアサシンに襲われる事は無いだろう。
レシア「…さて、村に戻ったし。どうするか?」
ナーダ「取り敢えず、村の皆の墓を作ろうよ。」
レシア「そうだな。一応はあの日に皆埋めては来たが、墓を建てる余裕は無かったもんな。」
ナーダ「どこに埋めたの?」
レシア「採掘場の近くの広場だ。細かい場所は忘れたが。」
言っている内容は穏やかでは無いかもしれないが、今の生活は穏やかだ。こうやってゆっくりと生活出来て行けばそれでも良いのかもしれない。
その時、不思議な事が起こった。
レシアの首に下がっていた紅い宝石が眩く光り輝く。フッと身体が楽になり、レシアは光に包まれていった。
レシア「これは…思い出した。時間の路への…でも何で?これ以上ない流れのはずなのに?」
光がよりいっそう強くなり、世界を包み込む。光が消え去った後は最早見慣れた光景が映っていた。
レシア「…時間の路。また戻って来てしまったのか。」
ルーン「ここは時間の路。レシア、貴方の思う未来にはなりましたか?」
レシア「ルーン…俺はどうして此処に戻って来てしまったんだ?村の仇も取ったし、ナーダも無事だ。ブルーがアサシン本部長になってダーク・アサシンを抑えて行くハズなんだろ?それに俺が死んだりもしていないのに?」
ルーン「それは私には分かりません。」
レシア「これ以上ないエンディングだと思うんだけど…」
ルーン「もしかすると、ここが今回のルーンナーとしての力を及ぼせる限界なのかもしれません。」
レシア「どういう事だ?」
ルーン「ルーンナーは時間を遡り、出来事を変える事が出来ます。そして今回の場合、河川敷からこの村へ戻るまでの間に貴方の心が定めた変化させるべき出来事が並んでいるのです。」
レシア「ちょっと分からないんだが…」
ルーン「この間で起こる全ての出来事、そしてそれらの結末や未来。それらの中で貴方が出来事を変化させるしか無いのです。」
レシア「何かよく分からないが、そんな制限なんてあったのか?」
ルーン「時間を操れると言っても神になれる訳ではありません。今までのルーンナー達もどこかで妥協して来ています。そして貴方も殆ど全ての道を通って来たはずです。この中で1つだけの未来を決定しなくてはならない。」
レシア「決定…?」
ルーン「どう進んでもある地点に辿り着くとこの時間の路へ戻る様になっています。この地点の事を時間の終(ときのつい)と呼びます。」
レシア「時間の終…」
ルーン「貴方はルーンナーとして、何回もこの時間の路へ戻ってきました。それはある一定の時間の流れフィックスした証でもあります。時間の流れは他の可能性もあるでしょう。」
レシア「他の可能性って?」
ルーン「例えば、河川敷での戦闘で貴方が死んでしまう可能性もある。アサシンの依頼を拒否して幼馴染に出会わない可能性もある。時間の終までの中であれば可能性は無限大なのです。」
レシア「他にも出来る事はあったかもしれない…って事か。」
ルーン「もちろん、今まで通った時間の流れで一番納得できる物を選ぶ事も出来ます。そして今はもうその段階に来ていると考えても良いでしょう。」
レシア「…今までの中だったら、やっぱり今回の流れが一番だと思っている。」
ルーン「そうかもしれませんね。まあ判断する材料はまだあると思いますよ。」
レシア「材料だって?そんなの…あ。」
ルーン「分かりましたか?貴方はルーンナー。未来を垣間見る事も可能なのです。」
レシア「…横話の間で今の時間の流れの未来を、俺はまだ見ていない。」
レシア「なんだ、藪から棒に?」
ブルー「この戦いでアサシンも結構ダメージがあるのよ。バダグもチャードもバダグの側近も死んじゃったからね。」
レシア「殆どを殺したの…俺じゃないか。」
ブルー「アンタだって色々私に言いたい事もあるでしょうが…」
レシア「そうだな。でもまあ良い。」
ブルー「そう?」
レシア「ついでに、アサシンに戻る事も無い。」
ナーダ「レシア。」
ブルー「そう…まあそうよね。アンタにとってアサシンは村の仇を見付ける手段でしかなかったんだもんね。」
レシア「そういう事だ。元々、俺はアサシンには向いていない。」
ブルー「そうかしら?なかなかのアサシンっぷりだったけど。確かに個性は強かったけどね。」
レシア「バダグが村の仇だった。そして村の仇を討てた。それで俺は充分だ。理由はあれど、今までアサシンとして色々な人を殺して来た。これ以上は何も望まないさ。」
ナーダ「レシア…村へ帰る?」
レシア「…そうだな。取り敢えずはルーン村へ戻ろう。ブルー、俺達は村に居る。何かあれば言って来い。」
ブルー「…分かったわ。」
レシアはナーダと共に故郷であるルーン村へ戻った。幸いアサシン時代の貯金もあったし、村での自給自足生活に大した問題は無いだろう。
ブルーはアサシン本部長としてレシアやナーダへの攻撃を完全に禁止した。その情報伝達は早く、もう2人がアサシンに襲われる事は無いだろう。
レシア「…さて、村に戻ったし。どうするか?」
ナーダ「取り敢えず、村の皆の墓を作ろうよ。」
レシア「そうだな。一応はあの日に皆埋めては来たが、墓を建てる余裕は無かったもんな。」
ナーダ「どこに埋めたの?」
レシア「採掘場の近くの広場だ。細かい場所は忘れたが。」
言っている内容は穏やかでは無いかもしれないが、今の生活は穏やかだ。こうやってゆっくりと生活出来て行けばそれでも良いのかもしれない。
その時、不思議な事が起こった。
レシアの首に下がっていた紅い宝石が眩く光り輝く。フッと身体が楽になり、レシアは光に包まれていった。
レシア「これは…思い出した。時間の路への…でも何で?これ以上ない流れのはずなのに?」
光がよりいっそう強くなり、世界を包み込む。光が消え去った後は最早見慣れた光景が映っていた。
レシア「…時間の路。また戻って来てしまったのか。」
ルーン「ここは時間の路。レシア、貴方の思う未来にはなりましたか?」
レシア「ルーン…俺はどうして此処に戻って来てしまったんだ?村の仇も取ったし、ナーダも無事だ。ブルーがアサシン本部長になってダーク・アサシンを抑えて行くハズなんだろ?それに俺が死んだりもしていないのに?」
ルーン「それは私には分かりません。」
レシア「これ以上ないエンディングだと思うんだけど…」
ルーン「もしかすると、ここが今回のルーンナーとしての力を及ぼせる限界なのかもしれません。」
レシア「どういう事だ?」
ルーン「ルーンナーは時間を遡り、出来事を変える事が出来ます。そして今回の場合、河川敷からこの村へ戻るまでの間に貴方の心が定めた変化させるべき出来事が並んでいるのです。」
レシア「ちょっと分からないんだが…」
ルーン「この間で起こる全ての出来事、そしてそれらの結末や未来。それらの中で貴方が出来事を変化させるしか無いのです。」
レシア「何かよく分からないが、そんな制限なんてあったのか?」
ルーン「時間を操れると言っても神になれる訳ではありません。今までのルーンナー達もどこかで妥協して来ています。そして貴方も殆ど全ての道を通って来たはずです。この中で1つだけの未来を決定しなくてはならない。」
レシア「決定…?」
ルーン「どう進んでもある地点に辿り着くとこの時間の路へ戻る様になっています。この地点の事を時間の終(ときのつい)と呼びます。」
レシア「時間の終…」
ルーン「貴方はルーンナーとして、何回もこの時間の路へ戻ってきました。それはある一定の時間の流れフィックスした証でもあります。時間の流れは他の可能性もあるでしょう。」
レシア「他の可能性って?」
ルーン「例えば、河川敷での戦闘で貴方が死んでしまう可能性もある。アサシンの依頼を拒否して幼馴染に出会わない可能性もある。時間の終までの中であれば可能性は無限大なのです。」
レシア「他にも出来る事はあったかもしれない…って事か。」
ルーン「もちろん、今まで通った時間の流れで一番納得できる物を選ぶ事も出来ます。そして今はもうその段階に来ていると考えても良いでしょう。」
レシア「…今までの中だったら、やっぱり今回の流れが一番だと思っている。」
ルーン「そうかもしれませんね。まあ判断する材料はまだあると思いますよ。」
レシア「材料だって?そんなの…あ。」
ルーン「分かりましたか?貴方はルーンナー。未来を垣間見る事も可能なのです。」
レシア「…横話の間で今の時間の流れの未来を、俺はまだ見ていない。」
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