Red Assassin(完結)

まさきち

文字の大きさ
上 下
48 / 76
5章 時間の終

48話 アサシン本部での決戦⑤

しおりを挟む
隠し通路を通り抜け、暖炉の奥にあるフロアへ行く。奥に居たバダグとレシアとナーダ、ブルーは対面した。色々と言葉を交わすが、バダグは既に心を決めている様で止まる事は無かった。



バダグ「ブルー、まさかお前が裏切るとはな。」
ブルー「別にアンタを裏切った訳じゃないわ。」



レシア「邪竜ティアマットだぞ。邪竜なんだぞ。どう考えても、良い様に使われて最終的に捨てられるだけだぞ。」
バダグ「ふん、そう簡単にくたばる様な俺じゃ無いさ。」
レシア「ったく、世話が焼けるヤツだな。それと、お前は知っているな?ダーク・アサシンの事を。」
バダグ「ルーン村の仇か…だいぶ調べている様だな。」

レシア「調べても殆どの事は分かっていないがな。」
バダグ「良い機会だ。ダーク・アサシンの正体を教えてやろう。」
レシア「ほ、本当か!?」
バダグ「今更出し惜しみする事も無いだろう。」

ブルー「バダグ、アンタ…」
バダグ「何も言うな。俺はただレッドと雌雄を決するだけだ。」
ブルー「…良いのかい?今のアンタでは勝ち目は無いかもしれないよ。」
バダグ「ブルー、最早語る事は何も無いだろう。」

ブルー「バカ!こんなん続けてたらたとえ私達に勝ったとしても、すぐに死んじゃうよ。もう止めたらどう?」
バダグ「…心配してくれるのはありがたいが、な。」
レシア「ブルーが許したとしても俺は許さない。お前は村の仇なんだ。」
バダグ「レッド、分かっている。」

レシア「だが、もしお前が謝罪しこんなバカげた事を辞めるというのであれば、今ここで命を絶つ事だけは止めておいてやっても良い。」
バダグ「ふっ、レシアとして生きる様になってから本当に甘い男になったな。」
レシア「何だと?」
バダグ「言っただろう。もう語る事は無いと。さあ来い。」


バダグはセスタスを装着し構えた。


レシア「そうか…ここまでしてもお前は。」


レシアも剣を構えた。ブルーも同時にダガーを構える。まずはブルーが仕掛ける。


ブルー「魔物を召喚している影響でアンタの動きは衰えているわ。今の私にも勝てないんじゃない?」
バダグ「甘く見ない事だな。」


ブルーのダガーをセスタスで弾き、バダグはブルーを蹴り飛ばした。その間にレシアが斬り掛かるが、バダグはそれを回避した。


レシア「やる…が、確かに動きが鈍い様だな?」
バダグ「お前に心配される日が来るとはな。」


バダグはパンチを繰り出してきたが、レシアはそれをかわしながら、腕のセスタスの無い部分を斬った。


レシア「やっぱりそうだ。お前は凄い勢いで衰えている。いや、衰え続けている。」
バダグ「…そうかもしれないな。」
レシア「1週間くらい前のお前だったら、ここまで俺に隙を見せなかったはずだ。」
ブルー「バダグ。今からでも遅くないんじゃない?」
バダグ「ブルー、言ったはずだ。」
ブルー「…そう。」


ブルーはウィンドカッターツヴァイを放った。バダグは両腕で2つのウィンドカッターを弾くが、残る1つのウィンドカッターに腹を斬り裂かれる。


バダグ「ぐほっ…さ、流石はブルーの風魔法だな。」
ブルー「こんなのも避けられない位になってるのよ。私が成長したんじゃないわ。」
レシア「バダグ、もう終わりだ。」
バダグ「まさか。ダメージはあるが、致命傷ではない。」


バダグは拳に魔力を込める。


レシア「バダグが魔法…だと?」
ブルー「恐らくは無属性の魔法ね。魔法に関してはバダグはそんなに強くは無いわ。」
レシア「威力増大位にはなりそうだがな。」
バダグ「全く、好き放題言ってくれるな。否定はしないが。」


レシアもルーンソードの銃部分に魔力を込めた。


バダグ「そう言えば、ガンブレードの銃部分を直したんだな。」
レシア「まあな。使用するつもりは無かったが、まあ良いだろう。」


バダグがレシアに近寄って来た。レシアも剣を構え直す。互いの距離が近付き、拳と剣が交差した。




ブルー「……」
ナーダ「……」

バダグ「…お前はやっぱり強いな。」
レシア「お前程じゃ無いさ。お前が弱っていなければ…」


バダグは倒れた。


レシア「これで全て終わった…村の仇も、レッド・アサシンも…」
バダグ「ぐ…忠告しておいてやろう。アサシン本部は誰かが俺の代わりに本部長になっていくだろう。ハンターも今は壊滅状態。このままではアサシンとハンターの戦争が起こるだろう。」
ブルー「アサシンは私が引き継いであげるわ。」
バダグ「ブルー…そうか。」


バダグは何とか上半身を起こす。


レシア「おい、あまり無理するな。…まあどちらにしろもう助からんだろうが。」
バダグ「やるべき事はやっておかなければな。」
ブルー「バダグ…?」

バダグ「レッド、ブルー。アサシン本部長として最後の指示だ。」
レシア「俺はもうアサシンでは無いんだが…」
バダグ「これで俺達の戦いは終わりだ。レッド・ナーダの殺害依頼は中止。これからはこの世界の為に各々が行動するんだ。」
ブルー「…アンタの言いたい事は分かっているわ。それがアサシンの為にもなるでしょうし。」

レシア「?どういう意味だ?」
ブルー「アンタは気にしなくても良いわ。」
レシア「何だそりゃ…」

ナーダ「でもハンターはどうなるの?」
レシア「ハンターだって馬鹿じゃ無い。きっと、よりベターな道を選んでいくだろうさ。」
バダグ「…後は頼んだ。」


バダグはそう言うと再び倒れる。その表情は穏やかで、まるで憑物でも落ちたかの様だった。


ブルー(バダグ、アンタとの約束は守って見せる。アンタの死は無駄にはしないわ。)


ブルー「さて、今から私がアサシン本部長ね。」
レシア「お前は俺達が憎くは無いのか?」
ブルー「そりゃ、憎い部分はあるわ。でもアンタより大人ってだけよ。」
レシア「…そうか。」




しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

魔法のせいだからって許せるわけがない

ユウユウ
ファンタジー
 私は魅了魔法にかけられ、婚約者を裏切って、婚約破棄を宣言してしまった。同じように魔法にかけられても婚約者を強く愛していた者は魔法に抵抗したらしい。  すべてが明るみになり、魅了がとけた私は婚約者に謝罪してやり直そうと懇願したが、彼女はけして私を許さなかった。

5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?

gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。 そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて 「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」 もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね? 3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。 4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。 1章が書籍になりました。

断る――――前にもそう言ったはずだ

鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」  結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。  周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。  けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。  他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。 (わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)  そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。  ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。  そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?

淫らな蜜に狂わされ

歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。 全体的に性的表現・性行為あり。 他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。 全3話完結済みです。

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

無限に進化を続けて最強に至る

お寿司食べたい
ファンタジー
突然、居眠り運転をしているトラックに轢かれて異世界に転生した春風 宝。そこで女神からもらった特典は「倒したモンスターの力を奪って無限に強くなる」だった。 ※よくある転生ものです。良ければ読んでください。 不定期更新 初作 小説家になろうでも投稿してます。 文章力がないので悪しからず。優しくアドバイスしてください。 改稿したので、しばらくしたら消します

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

悪役令嬢にざまぁされた王子のその後

柚木崎 史乃
ファンタジー
王子アルフレッドは、婚約者である侯爵令嬢レティシアに窃盗の濡れ衣を着せ陥れようとした罪で父王から廃嫡を言い渡され、国外に追放された。 その後、炭鉱の町で鉱夫として働くアルフレッドは反省するどころかレティシアや彼女の味方をした弟への恨みを募らせていく。 そんなある日、アルフレッドは行く当てのない訳ありの少女マリエルを拾う。 マリエルを養子として迎え、共に生活するうちにアルフレッドはやがて自身の過去の過ちを猛省するようになり改心していった。 人生がいい方向に変わったように見えたが……平穏な生活は長く続かず、事態は思わぬ方向へ動き出したのだった。

処理中です...