Red Assassin(完結)

まさきち

文字の大きさ
上 下
41 / 76
4章 疑惑

41話 ライトビル①

しおりを挟む
ナーダ「ここがブラックさんの住んで居るビルなの?」
レシア「ああ、ライトビルだ。ブラックがライトビルに住んで居るなんて笑わせてくれるがな。」
ナーダ「ホワイトビルだったらもっと良かったのにね。」
レシア「確かに。」


ホワイトビルと言っても信用出来そうな位に白い外壁のビルへ忍び込んだ。


レシア「ブラックは最上階の特別室に住んで居る。行こう。」
ナーダ「わあ、お金持ち。」


一気に階段を昇り始める。途中でナーダが息切れし、3回休憩を挟んだ。その間でも誰が襲って来る訳でも無かった。特に警備は配置されていない様だ。


レシア「この感じだと、ブラックは俺の現状を知らされて居ないのかもしれないな。」
ナーダ「引っ越ししてたりして。」
レシア「それは勘弁願いたいが…」


最上階に辿り着く。この上は屋上があるだけだ。意を決してドアをノックする。


声「はーい。」


呑気な声がして一人の男がドアを開ける。間違いなく元アサシン本部長のブラックだった。


レシア「ブラック、久し振りだな。」
ブラック「ん~?ああ、レッド・アサシンじゃないか。久し振りだな。」


ブラックは警戒もせずにレシア達を招き入れた。部屋のソファーに座って寛ぐ。


ブラック「だいぶ活躍してるんだって?引退した俺にも名声が聞こえて来るよ。しかしこんな所にどうした?引退した俺では何の役にも立てないと思うが。」
レシア「ブラック、俺の事は何も聞いていないのか?」
ブラック「レッド・アサシンの事?活躍以外に?分からないが…別に俺をロックしに来た訳じゃないだろ?」
レシア「まあ、そうでは無い。でもちょっと聞きたい事がある。ってかそもそも、俺はもうアサシンを辞めたんだ。」

ブラック「そうなのか?退職の挨拶?それともその横に居る女の子と結婚でもするから挨拶に来た?」
レシア「ナーダは関係ない…なくは無いが…」
ブラック「可愛い子じゃないか。」
ナーダ「え…ど、どうも。」

ブラック「聞きたい事があるってのは?」
レシア「…ダーク・アサシンに関してだ。」
ブラック「ダーク・アサシン…どこでその名前を聞いた?」
ナーダ「レシア…ブラックさん急に…」
レシア「ああ、表情が変わったな。ダーク・アサシンについて知っているんだろ?」

ブラック「それを聞いてどうするつもりなんだ?」
レシア「ダーク・アサシンこそ、俺が探し続けていたヤツなんだ。故郷のルーン村を襲ったアサシンなんだ。」
ブラック「…そうか。お前はあの村の者だったのか。それを知っていれば、とうの昔に殺していたものを。」
レシア「喋って貰うぞ。例え拷問にかけてでもな。」


ブラックは何も言わずに手元の剣を拾い、レシアに斬り掛かってきた。レシアは剣を叩き落とし、ルーンソードをブラックの首に宛がった。


ブラック「く…流石に現役の者には敵わないか。」
レシア「ダーク・アサシンってのはそこまでして庇うべき相手なのか?」
ブラック「俺は俺の命以上に大切な者は存在しない。」
レシア「じゃあ喋ってくれるな?」


暫くの静寂の後、上の方から音が聞こえた。


ナーダ「なに、この音は?」
レシア「この音…飛行船のプロペラの音か?」
ブラック「やっと来たか!」
レシア「!?」


ブラックは隙を見付け、何かを床に叩きつけた。その何かが鋭い光を放ちながら爆発した。


レシア「これは…何だ!?」
ナーダ「眩しくて何も見えない…」
ブラック「ヤツの事を話せば俺は殺されるかもしれん。行っただろ?俺の命以上に大切な者は無いと!」


足音が遠ざかっていく。光が収まるとブラックの姿は消えていた。


レシア「逃げられた…いや、屋上なのか?」
ナーダ「分からないけど追いかけましょう。
レシア「そうだな。」


ブラックが屋上に行ったのか確信は無かったが、取り敢えず屋上へ向かった。





屋上の中央には思った通り、飛行船があった。飛行船はそのまま動いて行ってしまった。


レシア「そんな、ここまで来て逃げられるなんて…」
声「そう、それは残念だったわね。」
ナーダ「あ…ブルーさん。」


屋上にはブルーだけが残った。


レシア「お前が来たのか。」
ブルー「そうね。ビルのセキュリティが働いて侵入者を知らせてきたの。まさかアンタ達だとは思わなかったけど。」
ナーダ「それで飛行船を?」
ブルー「ええ。さっき着いたところよ。」
レシア「ブラックは何処へ向かった?」

ブルー「私は知らないわよ。ブラックが決めるでしょう。それより、これ以上は知らない方が良いわ。村の事は諦めなさい。」
レシア「よく言う。散々付け狙っておいて。それにもう手遅れだろう?」
ブルー「そうかもね。それにしてもナーダと再会してから情熱的になったわね。そっちが本当のアンタかしら?」
レシア「どっちも本当の俺だ。」

ブルー「そうなの。まあ良いわ。さて、どうしましょうか?」
レシア「見逃す気は無いんだろう?」
ブルー「新しい必殺技の威力を試してみたくもあるけど、実は他の任務へ向かう途中なの。」
レシア「そうか。だったらさっさと行っちまいな。」

ブルー「一応、ナーダもロックのターゲットとして残ってるのよ?見逃す事は難しいわね。だから、アンタ達の相手はコイツに任せるわ。」
レシア「コイツ?」


声「ふふふ…俺を呼んだかね?」
レシア「この声は…クラスタ?」


奥の方で霧の中からクラスタが現れた。




しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

魔法のせいだからって許せるわけがない

ユウユウ
ファンタジー
 私は魅了魔法にかけられ、婚約者を裏切って、婚約破棄を宣言してしまった。同じように魔法にかけられても婚約者を強く愛していた者は魔法に抵抗したらしい。  すべてが明るみになり、魅了がとけた私は婚約者に謝罪してやり直そうと懇願したが、彼女はけして私を許さなかった。

ユーヤのお気楽異世界転移

暇野無学
ファンタジー
 死因は神様の当て逃げです!  地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。

5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?

gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。 そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて 「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」 もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね? 3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。 4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。 1章が書籍になりました。

断る――――前にもそう言ったはずだ

鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」  結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。  周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。  けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。  他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。 (わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)  そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。  ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。  そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?

城で侍女をしているマリアンネと申します。お給金の良いお仕事ありませんか?

甘寧
ファンタジー
「武闘家貴族」「脳筋貴族」と呼ばれていた元子爵令嬢のマリアンネ。 友人に騙され多額の借金を作った脳筋父のせいで、屋敷、領土を差し押さえられ事実上の没落となり、その借金を返済する為、城で侍女の仕事をしつつ得意な武力を活かし副業で「便利屋」を掛け持ちしながら借金返済の為、奮闘する毎日。 マリアンネに執着するオネエ王子やマリアンネを取り巻く人達と様々な試練を越えていく。借金返済の為に…… そんなある日、便利屋の上司ゴリさんからの指令で幽霊屋敷を調査する事になり…… 武闘家令嬢と呼ばれいたマリアンネの、借金返済までを綴った物語

淫らな蜜に狂わされ

歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。 全体的に性的表現・性行為あり。 他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。 全3話完結済みです。

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

悪役令嬢にざまぁされた王子のその後

柚木崎 史乃
ファンタジー
王子アルフレッドは、婚約者である侯爵令嬢レティシアに窃盗の濡れ衣を着せ陥れようとした罪で父王から廃嫡を言い渡され、国外に追放された。 その後、炭鉱の町で鉱夫として働くアルフレッドは反省するどころかレティシアや彼女の味方をした弟への恨みを募らせていく。 そんなある日、アルフレッドは行く当てのない訳ありの少女マリエルを拾う。 マリエルを養子として迎え、共に生活するうちにアルフレッドはやがて自身の過去の過ちを猛省するようになり改心していった。 人生がいい方向に変わったように見えたが……平穏な生活は長く続かず、事態は思わぬ方向へ動き出したのだった。

処理中です...