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4章 疑惑
35話 転機②
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今まで生きてきて銃を使用した事は無かった。使い方もいつ覚えたのか分からない。それでも自然な動きでルーンソードに魔力を込めた。細かい所まで狙う時間は無い。とにかく命中さえさせられれば良い。
レシアはアイスをかわして気弾を発射した。ナーダに詰め寄っていたブルーは気弾に気付かずに直撃し、横に吹っ飛んだ。その間にレシアはナーダの前に立つ。
レシア「ナーダ、大丈夫か?」
ナーダ「レシア…有難う。」
ブルーはゆっくりと立ち上がる。どうやら気弾は肩に命中した様で、武器を利き腕で無い方で持っている。
ブルー「レッド、やるわね。そんな攻撃見た事無いわよ。」
レシア「初披露だ。有難く思え。」
ブルー「さっきの気弾はガンブレードね。いつの間に銃の部分を直したの?」
レシア「さあな。いつの間にか直ってた。鍛冶ケッツに直して貰ったかもしれない。」
ブルー「ケッツ?ああ、アサシンを辞めて鍛冶屋に転身したらしいわね。」
そう言いながらブルーはダガーを構える。レシアも剣を構えた。
レシア「まあでも、アレをやらなきゃナーダが殺られてしまていたからな。」
ブルー「甘いわ。まだ終わっていないのよ。」
レシア「心配するな。もうすぐ終わる。」
ブルーはダガーで斬り掛かって来る。絶妙な間合いの攻撃で、凌ぐ事は難しく無いが反撃をする事も難しい。
レシア「流石はブルーだな。上手い事距離を作ってるじゃないか。」
ブルー「利き腕がダメージ受けちゃったから、せっかくの奥義が使えないわ。」
レシア「なに、そんなのを用意してたのか?それは残念だったな。」
ブルー「そうね、その分しっかり返して貰うわ。」
レシア「ああ、やってみな。」
ダガーとソードの間合いの違いもある。片腕しか使えない物と両腕使える者の違いもある。それに元々の実力の違いもある。現状、その全てでレシアが優位に立っていた。
レシア「貰った。」
ブルー「!?」
ダガーを弾き飛ばしてブルーに斬り掛かる。あまり深くは切れなかったが、ダメージを与えた。ブルーは後ろへ下がり跪く。
ブルー「…くっ。」
レシア「もう最終通告は過ぎている。覚悟して貰おうか。」
ブルー「どうやら、どっちのロックも失敗したみたいね。でも簡単に殺されてうやる訳にはいかないわ。」
レシア「逃げられると思っているのか?」
ブルー「逃げるだけならそんなに難しくは無いわね。こうやって!」
レシア「なっ!?」
ナーダ「えっ?」
ブルーはダガーをナーダに向かって投げつけた。ロックを意識した投げで無いのは気付いたが、運が悪ければ怪我をしてしまう。流石に放置は出来なかった。レシアは何とかダガーを気弾で撃ち落とす。
ナーダ「あ、有難う。」
レシア「いや、構わない…が。」
ブルーは遠くに行っていた。
ブルー「今回は退いてあげるわ。レッド、ナーダ。また会いましょう。」
レシア「…ああ。」
ブルーが完全に姿を消して、森は普段通りの静寂を迎える。ナーダは安心したのか膝を付く。
ナーダ「レシア…怖かったよ。」
レシア「そうだな。でも無事で良かった。」
ナーダ「うん。」
ナーダが無事だった事に不意に涙が出そうになった。理由は分からない。
レシア「しかし…何で俺はこんな武器を持っているんだろう。」
ナーダ「再開した時からその武器だったよ。」
レシア「そうなんだけどな。」
ナーダ「鍛冶屋さんに直して貰ったって、さっき言ってたよ。」
レシア「いや、それは嘘だ。ケッツに会っても居ないし、鍛冶屋自体も行っていない。」
ナーダ「え…何かホラー。」
レシア「全くだな。しかもちゃんと使いこなせているし。」
そう言えば、この森でブルーと再会する時にも何かがあった様な気がする。違和感だけが残っている。
レシア「まあ良いか。ナーダ、隠れ家に戻ろう。」
ナーダ「うん。」
隠れ家に戻るまでに特に誰かが襲って来る事も無かった。バダグは本当にブルー1人で元レッド・アサシンを殺せると思っているのだろうか。
だとしたら、とんだ思い違いだ。レシアを過小評価しているのかブルーを過大評価しているのかは分からないが、どちらにしても人を見る目が無いって事だ。
レシア「ふう…しかし本当に何も手掛かりが無かったな。シヴァの調査を待つしか無いか。」
ナーダ「手掛かりが無かった、って事が分かったじゃない。」
レシア「何か…前向きじゃないか。でも確信には至らないな。」
ナーダ「どういう事?」
レシア「採掘場にあったルーン鉱石は無事だった。でもそれは、たまたま入り口を見付けられなかっただけかもしれない。他には…村長の家に大きな鉱石があったけど、今の村の状態では俺達でも探し出す事が出来なかった。瓦礫に埋まっているのか、持ち去られているかも分からない。」
ナーダ「つまり、犯人の目的は分からないって事?」
レシア「そうだな。」
あり得ない事を消去していけば…なんて言葉はあるが、正直分からない事ばかりでどうしようもない。今はシヴァの調査結果待ちをするしか無いな。そもそもそれで仇が判明さえすれば何も問題も無いんだし。
レシアはアイスをかわして気弾を発射した。ナーダに詰め寄っていたブルーは気弾に気付かずに直撃し、横に吹っ飛んだ。その間にレシアはナーダの前に立つ。
レシア「ナーダ、大丈夫か?」
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ブルーはゆっくりと立ち上がる。どうやら気弾は肩に命中した様で、武器を利き腕で無い方で持っている。
ブルー「レッド、やるわね。そんな攻撃見た事無いわよ。」
レシア「初披露だ。有難く思え。」
ブルー「さっきの気弾はガンブレードね。いつの間に銃の部分を直したの?」
レシア「さあな。いつの間にか直ってた。鍛冶ケッツに直して貰ったかもしれない。」
ブルー「ケッツ?ああ、アサシンを辞めて鍛冶屋に転身したらしいわね。」
そう言いながらブルーはダガーを構える。レシアも剣を構えた。
レシア「まあでも、アレをやらなきゃナーダが殺られてしまていたからな。」
ブルー「甘いわ。まだ終わっていないのよ。」
レシア「心配するな。もうすぐ終わる。」
ブルーはダガーで斬り掛かって来る。絶妙な間合いの攻撃で、凌ぐ事は難しく無いが反撃をする事も難しい。
レシア「流石はブルーだな。上手い事距離を作ってるじゃないか。」
ブルー「利き腕がダメージ受けちゃったから、せっかくの奥義が使えないわ。」
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レシア「ああ、やってみな。」
ダガーとソードの間合いの違いもある。片腕しか使えない物と両腕使える者の違いもある。それに元々の実力の違いもある。現状、その全てでレシアが優位に立っていた。
レシア「貰った。」
ブルー「!?」
ダガーを弾き飛ばしてブルーに斬り掛かる。あまり深くは切れなかったが、ダメージを与えた。ブルーは後ろへ下がり跪く。
ブルー「…くっ。」
レシア「もう最終通告は過ぎている。覚悟して貰おうか。」
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レシア「逃げられると思っているのか?」
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レシア「なっ!?」
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ブルーはダガーをナーダに向かって投げつけた。ロックを意識した投げで無いのは気付いたが、運が悪ければ怪我をしてしまう。流石に放置は出来なかった。レシアは何とかダガーを気弾で撃ち落とす。
ナーダ「あ、有難う。」
レシア「いや、構わない…が。」
ブルーは遠くに行っていた。
ブルー「今回は退いてあげるわ。レッド、ナーダ。また会いましょう。」
レシア「…ああ。」
ブルーが完全に姿を消して、森は普段通りの静寂を迎える。ナーダは安心したのか膝を付く。
ナーダ「レシア…怖かったよ。」
レシア「そうだな。でも無事で良かった。」
ナーダ「うん。」
ナーダが無事だった事に不意に涙が出そうになった。理由は分からない。
レシア「しかし…何で俺はこんな武器を持っているんだろう。」
ナーダ「再開した時からその武器だったよ。」
レシア「そうなんだけどな。」
ナーダ「鍛冶屋さんに直して貰ったって、さっき言ってたよ。」
レシア「いや、それは嘘だ。ケッツに会っても居ないし、鍛冶屋自体も行っていない。」
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そう言えば、この森でブルーと再会する時にも何かがあった様な気がする。違和感だけが残っている。
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ナーダ「うん。」
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だとしたら、とんだ思い違いだ。レシアを過小評価しているのかブルーを過大評価しているのかは分からないが、どちらにしても人を見る目が無いって事だ。
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