Red Assassin(完結)

まさきち

文字の大きさ
上 下
13 / 76
1章 時間の路

13話 任務③

しおりを挟む
チャード「…なんだこれは?」



森を抜けた先には洋館が建っていた。綺麗では無いが、そこまで年月も経っていない感じだ。


チャード「いつの間にか村が洋館になってる。」
ブルー「ここに間違いは無いのね?」
チャード「自分の村の場所を間違えたりするかよ。」
レッド「それもそうだ。見た感じそんなに古さも感じない。クラスタが建てたとみて間違い無いだろう。」


入口のドアは鍵が掛かっていたが、チャードは構わずに魔法銃で破壊した。出来れば静かに侵入したかったが、チャードの気持ちも分からなくは無い。



一つ一つ部屋を開けて回る。時々、侵入者用だろうか?罠があり、天井が降りた来たり針が飛んできたりもした。



レッド「なんて面倒な屋敷なんだ。」
チャード「クラスタは何処に居るんだろう?」
ブルー「さあ。でもこういう屋敷って奥の方に主人の部屋みたいなのがあるものじゃ無いの?」
レッド「可能性はあるが…」




奥の部屋に隠してあったボタンを押すと、部屋の真ん中に階段がせり上がって来た。どうしてわざわざ、こんな面倒な仕掛けを行うのだろうか。


レッド「上の部屋に行けそうだな。」
ブルー「この先にクラスタが居そうね。」



階段の先には、小さな小部屋があった。その部屋のドアを開けると短い廊下。その先には大きなフロアがあった。奥に人の姿が見える。


レッド「あれが…クラスタなのか?」
ブルー「恐らくそうね。だって一人しか居ないんだし。」
チャード「いよいよ決戦だな。」


3人は奥へ進む。後ろを向いていた人物は、ゆっくりと振り返る。見た事の無い顔ではあったが、とてつもない圧力を感じる。


男「来たか。ほう、お前がレッド・アサシンか。」
レッド「俺を知っているだと?」
男「俺はクラスタ。俺の空けた穴を上手く埋めてくれていたんだろう。」
ブルー「…もう話は良いでしょう。さっさとロックするわよ。」

クラスタ「くっくっく。1対3とは分が悪い。これではいかなる手練れとて、生き残る事は叶わぬだろうな。」
レッド「こいつ、何でこんなに?」


レッドは剣を構えて一歩前へ出る。続いてチャードとブルーも前へ出る。…出て行く。



レッド「え…出すぎじゃないのか?」


その呟きを無視するかの様に、2人はどんどん前へ出て行った。そしてクラスタの目の前まで行く。



クラスタ「終わりだな。」
チャード「そういう事だな。」
ブルー「さあ、覚悟しなさい。」


チャードとブルーがこっちを振り向く。


レッド「…な、何が起こっている?どういう事だ?」



チャードはニヤニヤしている。ブルーは無表情だ。


チャード「1対3の1、レッドだがな。」
ブルー「今から裏切り者のロックを開始する。」
クラスタ「くっくっく。どうだね、レッド・アサシン。突然の裏切りに会い、絶望の淵に立たされた気分は?」


意味が分からなかった。分かるのは、3人がこっちを向いて武器を構えた事。




チャードが魔法銃を発射する。茫然としていたレッドはそれをまともに食らってしまう。


レッド「うわっ!?」
ブルー「まだよ。」


ブルーが斬り掛かってきた。それを剣で受け止めると、後ろへ回り込んできたクラスタがレッドの背中を斬る。


レッド「く…何で?」
クラスタ「戦いの最中に私語はいかんな。」


3人は一斉に攻撃を仕掛けてきた。





レッドは全身に傷を負い、血塗れになりながら倒れる。流石に分が悪すぎたのだ。


チャード「終わったな。」
レッド「はあはあ…な、何でだ?」
ブルー「悪いわね。でもアサシンはこれ以上、アンタを信用する事は出来ないの。」
チャード「だから俺達3人は、バダグの依頼によりお前を殺す事になったんだ。」

レッド「俺は…ただ、村の…」
ブルー「馬鹿ね。その所為でアンタは死ぬ事になったのよ。」
レッド「…な…なん……」


最早、喋る力も残っていない様だった。段々と薄れゆく意識の中、3人の声が聞こえて来る。



クラスタ「しかし、高純度のルーンがある村か。一度は行ってみたいものだ。」
ブルー「私が連れてってあげましょうか?3年前にも行った村ですし。」
チャード「え、何?ルーンの村を襲ったのはお前なの?」
ブルー「さあ、どうかしらね。」


クラスタはルーンを襲ってすらいなかったのか…そしてブルー、お前が村の…?



レッド「……」


まともに前も見えなくなってきているレッドに、怒りの感情がこもる。そうなっても指一本動かせない。


レッド「……」


ナーダの死はなんだったんだ…俺は良い様にやられていただけだったんだ…許せない…許したく…ない……





その時、不思議な事が起こった。



レッドの首に下がっていた紅い宝石が眩く光り輝く。フッと身体が楽になり、レッドは訳も分からないまま光に包まれていった。


レッド「眩しい…一体何が起こっているって言うんだ!?」


身体が急降下する感覚がレッドを襲う。景色の全てが白く染まり、ブルー達の姿も完全に見えなくなった。





光が収まった後には、見た事の無い場所に倒れていた。傷は見当たらず、痛みも何もない。レッドはゆっくりと起き上がる。


レッド「ここは…ここは何処なんだ?」




しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

魔法のせいだからって許せるわけがない

ユウユウ
ファンタジー
 私は魅了魔法にかけられ、婚約者を裏切って、婚約破棄を宣言してしまった。同じように魔法にかけられても婚約者を強く愛していた者は魔法に抵抗したらしい。  すべてが明るみになり、魅了がとけた私は婚約者に謝罪してやり直そうと懇願したが、彼女はけして私を許さなかった。

5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?

gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。 そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて 「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」 もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね? 3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。 4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。 1章が書籍になりました。

断る――――前にもそう言ったはずだ

鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」  結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。  周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。  けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。  他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。 (わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)  そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。  ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。  そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?

淫らな蜜に狂わされ

歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。 全体的に性的表現・性行為あり。 他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。 全3話完結済みです。

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

五歳の時から、側にいた

田尾風香
恋愛
五歳。グレースは初めて国王の長男のグリフィンと出会った。 それからというもの、お互いにいがみ合いながらもグレースはグリフィンの側にいた。十六歳に婚約し、十九歳で結婚した。 グリフィンは、初めてグレースと会ってからずっとその姿を追い続けた。十九歳で結婚し、三十二歳で亡くして初めて、グリフィンはグレースへの想いに気付く。 前編グレース視点、後編グリフィン視点です。全二話。後編は来週木曜31日に投稿します。

悪役令嬢にざまぁされた王子のその後

柚木崎 史乃
ファンタジー
王子アルフレッドは、婚約者である侯爵令嬢レティシアに窃盗の濡れ衣を着せ陥れようとした罪で父王から廃嫡を言い渡され、国外に追放された。 その後、炭鉱の町で鉱夫として働くアルフレッドは反省するどころかレティシアや彼女の味方をした弟への恨みを募らせていく。 そんなある日、アルフレッドは行く当てのない訳ありの少女マリエルを拾う。 マリエルを養子として迎え、共に生活するうちにアルフレッドはやがて自身の過去の過ちを猛省するようになり改心していった。 人生がいい方向に変わったように見えたが……平穏な生活は長く続かず、事態は思わぬ方向へ動き出したのだった。

処理中です...