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1章 時間の路
9話 揺れる心⑦
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レッド「で、今日は依頼は入っていないのか?」
バダグ「あるよ。元々、お前たちの為に取っておいた仕事だ。でもブルーが居ないんじゃ…ちょっと厳しいかもしれない。」
レッド「俺がそう簡単にしくじると思うのか?」
バダグ「…分かった。取り敢えず、話だけでも聞いてみるか?」
レッド「ああ。」
バダグ「ターゲットはナスナ・クール。元ハンターだ。」
レッド「ナスナ…聞いた事があるな。」
バダグ「そうだろう。横領事件を起こしてハンターから解雇された男だ。」
レッド「確かに強敵だな。元々名の知れていたハンターだったし。」
バダグ「うん。こいつに殺されたアサシンも相当な数に及んでいる。今までだって、何人ものアサシンが依頼でこいつを狙った。でも帰って来た者は居なかったからな。」
確かにナスナの強さは噂でも聞いている。実際の強さは分からないが、実際に名のあるアサシンも返り討ちにあっているのは事実だ。
バダグ「お前を失うのはこちらもキツい。今回はスルーしても良いんじゃないか?」
レッド「…いや、やるよ。」
バダグ「そうか…分かった。ナスナの件はレッドに任せるよ。これ、ナスナの写真ね。」
レッド「サンキュー。」
レッド「しかしこの数日、ハンター絡みの依頼が多すぎるな。2日連続で珍しがってたくらいなのに。」
バダグ「確かにこの系統の依頼が多いな。でもその理由までは分からないな。」
レッド「それで、コイツは何処ら辺に居るんだ?」
バダグ「最近はよくスラム街で目撃されているね。」
レッド「分かった。数日中にケリをつけよう。」
バダグ「気を付けろよ。こいつはマジの手練れだからな。」
レッド「ああ。」
家に帰ると良い匂いがした。ナーダがご飯を作ってくれていたのだ。
ナーダ「あ、レシア。お帰り。」
レッド「ああ、ただいま。家に帰ってご飯が出来ているのも新鮮だな。…て焼肉じゃないか。」
ナーダ「ちょっと匂いが付くかもだけど、大丈夫だよね。」
レッド「全く、まあ良いけどさ。」
昨日呼んだ掃除屋は、焼肉の匂いも消してくれるのだろうか?そんな事を思いながら椅子に座る。
レッド「おっ、美味いじゃん。」
ナーダ「そうでしょ。もうこの焼肉のタレが絶品で。」
レッド「既製品かよ。でも美味い。」
ナーダ「ご飯が済んだらハンター支部に行ってくるね。」
レッド「ハンター支部?」
ナーダ「レシアを見付けてくれた依頼の報酬をまだ払って無いし。」
レッド「そうか。でもよくハンターに依頼する金なんてあったな。」
ナーダ「家に残っていた無事そうな物を売ったりしたの。それに今は教会でお掃除や洗濯のアルバイトをしてるのよ。」
レッド「そうか、偉いんだな。」
ナーダ「レシアにも紹介しようか?」
レッド「俺に家事は向いてない。」
ナーダ「そうね。村でも狩猟専門だったもんね。」
あの頃は幸せだった…と思う。ゆっくりのんびり狩りをして、肉や毛皮を売ったり食べたりして生活出来ていた。どうしても厳しい時でも、村の特産品を売って生活出来ていた。
ナーダ「あ、もうこんな時間。先に行くね。」
レッド「ああ。洗いモンくらいはやっておくよ。」
ナーダ「あんまり危ない事をしちゃ駄目なんだよ。」
レッド「早く行け。」
ナーダは急ぎ足で出て行った。急に家が静かになってしまった。
レッド「ナスナ…今日会えるだろうか?」
例え難しい相手だったとしても、勝たなければならない。今はアサシンとしてアサシンの仕事をこなす。仕事を頑張っている振りをして、色々情報を調べて行かないと。
レッド「ハンター長はいつ出て来る?今の俺ではアイツには勝てない。俺の寿命はあとどれくらいだろう?」
それでも今は、自分に出来る事をしていくしかない。もしかすると思っているより時間は無いのかもしれないのだ。
レッド「夜になったらスラム街に行ってみよう。」
夜のスラム街は相変わらず賑わっている。しかし大通りを外れてしまえば、人気も無く閑散としている。
レッド「…見つけるのに苦労はしなかったな。普通に街を歩いてやがった。」
写真と本人を感度も見比べる。間違いは許されないからだ。ナスナ本人であるという確信を得た後に、前へ移動する。
レッド「ナスナ・クールだな。」
ナスナ「…ほう。レッド・アサシンの登場ですか。」
レッド「俺を知っているのか?」
ナスナ「有名なアサシンの事くらいは分かりますよ。貴方ほどのアサシンが来るなんて、アサシン側も本気になってきたって事ですか。」
レッド「たまたまだよ。」
レッドは剣を構える。ナスナも腰に掛けていた槍を構えた。
ナスナ「私と殺り合いますか?」
レッド「それが仕事だ。悪く思うな。」
ナスナ「私は別に構いません。誰が来ようと結果は同じだ!」
レッド「お前には少し聞きたい事もある。拘束させて貰おう。」
ナスナは槍で素早く突いてきた。それを剣で受け止める。思ったより重い攻撃だ。
レッド「やる…アサシンダガーだったら駄目だったかもしれない。」
ナスナ「この槍で何人ものアサシンを葬って来た。レッド・アサシン、貴方もその1人になるのだ。」
レッド「それは出来ないよ。俺が勝つ。」
次のナスナの攻撃がレッドの腕に掠った。腕から血が流れる。
バダグ「あるよ。元々、お前たちの為に取っておいた仕事だ。でもブルーが居ないんじゃ…ちょっと厳しいかもしれない。」
レッド「俺がそう簡単にしくじると思うのか?」
バダグ「…分かった。取り敢えず、話だけでも聞いてみるか?」
レッド「ああ。」
バダグ「ターゲットはナスナ・クール。元ハンターだ。」
レッド「ナスナ…聞いた事があるな。」
バダグ「そうだろう。横領事件を起こしてハンターから解雇された男だ。」
レッド「確かに強敵だな。元々名の知れていたハンターだったし。」
バダグ「うん。こいつに殺されたアサシンも相当な数に及んでいる。今までだって、何人ものアサシンが依頼でこいつを狙った。でも帰って来た者は居なかったからな。」
確かにナスナの強さは噂でも聞いている。実際の強さは分からないが、実際に名のあるアサシンも返り討ちにあっているのは事実だ。
バダグ「お前を失うのはこちらもキツい。今回はスルーしても良いんじゃないか?」
レッド「…いや、やるよ。」
バダグ「そうか…分かった。ナスナの件はレッドに任せるよ。これ、ナスナの写真ね。」
レッド「サンキュー。」
レッド「しかしこの数日、ハンター絡みの依頼が多すぎるな。2日連続で珍しがってたくらいなのに。」
バダグ「確かにこの系統の依頼が多いな。でもその理由までは分からないな。」
レッド「それで、コイツは何処ら辺に居るんだ?」
バダグ「最近はよくスラム街で目撃されているね。」
レッド「分かった。数日中にケリをつけよう。」
バダグ「気を付けろよ。こいつはマジの手練れだからな。」
レッド「ああ。」
家に帰ると良い匂いがした。ナーダがご飯を作ってくれていたのだ。
ナーダ「あ、レシア。お帰り。」
レッド「ああ、ただいま。家に帰ってご飯が出来ているのも新鮮だな。…て焼肉じゃないか。」
ナーダ「ちょっと匂いが付くかもだけど、大丈夫だよね。」
レッド「全く、まあ良いけどさ。」
昨日呼んだ掃除屋は、焼肉の匂いも消してくれるのだろうか?そんな事を思いながら椅子に座る。
レッド「おっ、美味いじゃん。」
ナーダ「そうでしょ。もうこの焼肉のタレが絶品で。」
レッド「既製品かよ。でも美味い。」
ナーダ「ご飯が済んだらハンター支部に行ってくるね。」
レッド「ハンター支部?」
ナーダ「レシアを見付けてくれた依頼の報酬をまだ払って無いし。」
レッド「そうか。でもよくハンターに依頼する金なんてあったな。」
ナーダ「家に残っていた無事そうな物を売ったりしたの。それに今は教会でお掃除や洗濯のアルバイトをしてるのよ。」
レッド「そうか、偉いんだな。」
ナーダ「レシアにも紹介しようか?」
レッド「俺に家事は向いてない。」
ナーダ「そうね。村でも狩猟専門だったもんね。」
あの頃は幸せだった…と思う。ゆっくりのんびり狩りをして、肉や毛皮を売ったり食べたりして生活出来ていた。どうしても厳しい時でも、村の特産品を売って生活出来ていた。
ナーダ「あ、もうこんな時間。先に行くね。」
レッド「ああ。洗いモンくらいはやっておくよ。」
ナーダ「あんまり危ない事をしちゃ駄目なんだよ。」
レッド「早く行け。」
ナーダは急ぎ足で出て行った。急に家が静かになってしまった。
レッド「ナスナ…今日会えるだろうか?」
例え難しい相手だったとしても、勝たなければならない。今はアサシンとしてアサシンの仕事をこなす。仕事を頑張っている振りをして、色々情報を調べて行かないと。
レッド「ハンター長はいつ出て来る?今の俺ではアイツには勝てない。俺の寿命はあとどれくらいだろう?」
それでも今は、自分に出来る事をしていくしかない。もしかすると思っているより時間は無いのかもしれないのだ。
レッド「夜になったらスラム街に行ってみよう。」
夜のスラム街は相変わらず賑わっている。しかし大通りを外れてしまえば、人気も無く閑散としている。
レッド「…見つけるのに苦労はしなかったな。普通に街を歩いてやがった。」
写真と本人を感度も見比べる。間違いは許されないからだ。ナスナ本人であるという確信を得た後に、前へ移動する。
レッド「ナスナ・クールだな。」
ナスナ「…ほう。レッド・アサシンの登場ですか。」
レッド「俺を知っているのか?」
ナスナ「有名なアサシンの事くらいは分かりますよ。貴方ほどのアサシンが来るなんて、アサシン側も本気になってきたって事ですか。」
レッド「たまたまだよ。」
レッドは剣を構える。ナスナも腰に掛けていた槍を構えた。
ナスナ「私と殺り合いますか?」
レッド「それが仕事だ。悪く思うな。」
ナスナ「私は別に構いません。誰が来ようと結果は同じだ!」
レッド「お前には少し聞きたい事もある。拘束させて貰おう。」
ナスナは槍で素早く突いてきた。それを剣で受け止める。思ったより重い攻撃だ。
レッド「やる…アサシンダガーだったら駄目だったかもしれない。」
ナスナ「この槍で何人ものアサシンを葬って来た。レッド・アサシン、貴方もその1人になるのだ。」
レッド「それは出来ないよ。俺が勝つ。」
次のナスナの攻撃がレッドの腕に掠った。腕から血が流れる。
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