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1章 時間の路
7話 揺れる心⑤
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シヴァがレッドに近付いてきた。
レッド「くっ…ヤバいな。」
ブルー「そうね。これは相手が悪すぎるわ。」
シヴァ「レッド・アサシン。どうだ?アサシンなんて辞めて、普通の生活を送って行かないか?」
レッド「な、何だと?」
シヴァ「君の事は調べさせて貰っている。君はまだ普通の人間に戻る事が出来る可能性がある。」
ブルー「…何故レッドを?」
シヴァ「とある依頼でね。」
レッド「依頼…だと?」
シヴァ「君の事を探してほしいと頼まれていたんだ。少し時間は掛かったが、見付ける事は出来た。それから暫くは君の様子を見させて貰っていた。まあ今日ここに来るとは思ってもみなかったが。」
レッド「…誰だ?」
シヴァ「それは言えないな。守秘義務というものがある。」
ブルー「それで、私はここで殺すと?」
シヴァ「そうなるな、ブルー・アサシン。お前はもう手遅れだろう?」
ブルー「…そうかもね。」
良くは分からないが、いきなりそんな事を言われて「はい、分かりました」とは言えない。普通に罠の可能性だってある。
レッド「俺は…アサシンを辞めるつもりは無い。ついでに、お前に殺されてやるつもりも無い。」
シヴァ「…殺し屋の道を進み続けると言うのか。仕方が無いな。俺の独断で申し訳ないが、レッド…君には死んで貰う事にしようか。」
シヴァは剣を構える。そのままゆっくりとレッドに近付いて行った。
レッド「このままじゃ…どうする。」
ブルー「させない、ウィンドカッター!」
ブルーの放ったウィンドカッターを剣で切り裂いて、シヴァはボムの魔法を放った。爆発性の魔弾はブルーに向かって行く。ブルーはそれをかわしたが、直後に魔弾が爆発し吹っ飛んでしまう。
レッド「ブルー、無事か!?」
ブルー「く…何とか、ね。」
シヴァ「焦らなくとも、すぐに後を追わせてやる。さて、レッド。最後にもう一度だけ聞こう。アサシンを…」
レッド「くどい!」
シヴァ「…分かった。もう終わりだ。」
レッド「……」
シヴァが剣をレッドへ振り下ろす。
声「やめて!」
先ほどの難民の中に居た少女が、レッドの前へ飛び込んできた。シヴァの剣が止まる。
シヴァ「…ナーダ。」
レッド「え、ナーダ!?」
レッドの視線の先には、昔見た人物が居た。村で暮らしていた人物が。
ナーダ「お願い、レシアを殺さないで!」
シヴァ「……」
ブルー「ナーダ…?レシア…?レッド、一体どういう事なの?」
レッド「依頼をしていたのって、お前だったのか…」
ナーダ「そうよ。やっと見つかったって言うのに。」
シヴァ「…レッド・アサシン。君に考える時間をやろうじゃないか。レッド・アサシンとして生きて行くのか、レシアとして生きて行くのか。」
シヴァは剣を収めた。
シヴァ「ナーダと話し合いして、よく考えて決めるんだな。…テレポート!」
空間が歪み、シヴァは光に包まれる。光が消え失せた頃には誰も居なくなっていた。違う場所へ移動する転移魔法だ。
レッド「………」
ブルー「…取り敢えず、ここを離れましょう。レッドの家に行きましょう。ちゃんと話を聞かせて貰うわ。」
レッド「分かった。…でもその前に。」
ブルー「…?」
レッド「冥福を祈らないと。」
ブルー「あのね……」
ハンターの居なくなったハンター支部を抜け出し、レッド・ブルー・ナーダの3人はレッドの家に向かった。
ブルー「自己紹介がまだだったわね。私はブルー。アサシンよ。」
ナーダ「え…と。ナーダです。」
ブルー「で、レシア…だっけ?それがアンタの本名なの?」
レッド「…そうだ。他のヤツには言うなよ。」
ブルー「それでこのナーダって子は何?」
レッド「ナーダは俺の住んで居た村の住民だ。いわゆる幼馴染ってやつだな。まあ、俺の方が歳は上だけどさ。」
ナーダ「私達はルーン村って場所で暮らしていました。でもある日、村が襲われてしまったんです。私とレシアはたった二人の生き残りになってしまったんです。」
レッド「俺は生き残りがいる事も知らなかった。てっきり全滅したと思っていたからな。」
ナーダ「私だって生き残りがレシアなんて知らなかったわ。この町の酒場でルーン村の生き残りが居るって聞いただけだったし。ハンター支部でレシアを見かけた時は驚いたもん。」
レッド「ナーダ…俺をレシアと呼ぶのは止めてくれ。」
ナーダ「え、レシア?」
レッド「レシアはあの日に死んだんだ。今の俺は、レッドって名前の殺し屋なんだよ。」
ナーダ「レシアはレシアじゃない!そんな事言わないでよ。」
ブルー「…まあ、幼馴染が生きていた事自体は良かったじゃないの。それよりも、これからどうするの?」
レッド「…今更、戻れやしないさ。他にやる事も無いし、色々なヤツの命も奪い過ぎている。誰も俺の事をアサシンとしてしか見ないさ。いつ誰に狙われるかも分からない。」
ブルー「まあ…それはあるかもしれないけど。」
レッド「それに俺は、まだ自分の目的を果たしていない。」
ブルー「目的?」
レッド「村を襲ったアサシンを殺す事さ。」
ブルー「え、アサシンですって!?」
レッド「くっ…ヤバいな。」
ブルー「そうね。これは相手が悪すぎるわ。」
シヴァ「レッド・アサシン。どうだ?アサシンなんて辞めて、普通の生活を送って行かないか?」
レッド「な、何だと?」
シヴァ「君の事は調べさせて貰っている。君はまだ普通の人間に戻る事が出来る可能性がある。」
ブルー「…何故レッドを?」
シヴァ「とある依頼でね。」
レッド「依頼…だと?」
シヴァ「君の事を探してほしいと頼まれていたんだ。少し時間は掛かったが、見付ける事は出来た。それから暫くは君の様子を見させて貰っていた。まあ今日ここに来るとは思ってもみなかったが。」
レッド「…誰だ?」
シヴァ「それは言えないな。守秘義務というものがある。」
ブルー「それで、私はここで殺すと?」
シヴァ「そうなるな、ブルー・アサシン。お前はもう手遅れだろう?」
ブルー「…そうかもね。」
良くは分からないが、いきなりそんな事を言われて「はい、分かりました」とは言えない。普通に罠の可能性だってある。
レッド「俺は…アサシンを辞めるつもりは無い。ついでに、お前に殺されてやるつもりも無い。」
シヴァ「…殺し屋の道を進み続けると言うのか。仕方が無いな。俺の独断で申し訳ないが、レッド…君には死んで貰う事にしようか。」
シヴァは剣を構える。そのままゆっくりとレッドに近付いて行った。
レッド「このままじゃ…どうする。」
ブルー「させない、ウィンドカッター!」
ブルーの放ったウィンドカッターを剣で切り裂いて、シヴァはボムの魔法を放った。爆発性の魔弾はブルーに向かって行く。ブルーはそれをかわしたが、直後に魔弾が爆発し吹っ飛んでしまう。
レッド「ブルー、無事か!?」
ブルー「く…何とか、ね。」
シヴァ「焦らなくとも、すぐに後を追わせてやる。さて、レッド。最後にもう一度だけ聞こう。アサシンを…」
レッド「くどい!」
シヴァ「…分かった。もう終わりだ。」
レッド「……」
シヴァが剣をレッドへ振り下ろす。
声「やめて!」
先ほどの難民の中に居た少女が、レッドの前へ飛び込んできた。シヴァの剣が止まる。
シヴァ「…ナーダ。」
レッド「え、ナーダ!?」
レッドの視線の先には、昔見た人物が居た。村で暮らしていた人物が。
ナーダ「お願い、レシアを殺さないで!」
シヴァ「……」
ブルー「ナーダ…?レシア…?レッド、一体どういう事なの?」
レッド「依頼をしていたのって、お前だったのか…」
ナーダ「そうよ。やっと見つかったって言うのに。」
シヴァ「…レッド・アサシン。君に考える時間をやろうじゃないか。レッド・アサシンとして生きて行くのか、レシアとして生きて行くのか。」
シヴァは剣を収めた。
シヴァ「ナーダと話し合いして、よく考えて決めるんだな。…テレポート!」
空間が歪み、シヴァは光に包まれる。光が消え失せた頃には誰も居なくなっていた。違う場所へ移動する転移魔法だ。
レッド「………」
ブルー「…取り敢えず、ここを離れましょう。レッドの家に行きましょう。ちゃんと話を聞かせて貰うわ。」
レッド「分かった。…でもその前に。」
ブルー「…?」
レッド「冥福を祈らないと。」
ブルー「あのね……」
ハンターの居なくなったハンター支部を抜け出し、レッド・ブルー・ナーダの3人はレッドの家に向かった。
ブルー「自己紹介がまだだったわね。私はブルー。アサシンよ。」
ナーダ「え…と。ナーダです。」
ブルー「で、レシア…だっけ?それがアンタの本名なの?」
レッド「…そうだ。他のヤツには言うなよ。」
ブルー「それでこのナーダって子は何?」
レッド「ナーダは俺の住んで居た村の住民だ。いわゆる幼馴染ってやつだな。まあ、俺の方が歳は上だけどさ。」
ナーダ「私達はルーン村って場所で暮らしていました。でもある日、村が襲われてしまったんです。私とレシアはたった二人の生き残りになってしまったんです。」
レッド「俺は生き残りがいる事も知らなかった。てっきり全滅したと思っていたからな。」
ナーダ「私だって生き残りがレシアなんて知らなかったわ。この町の酒場でルーン村の生き残りが居るって聞いただけだったし。ハンター支部でレシアを見かけた時は驚いたもん。」
レッド「ナーダ…俺をレシアと呼ぶのは止めてくれ。」
ナーダ「え、レシア?」
レッド「レシアはあの日に死んだんだ。今の俺は、レッドって名前の殺し屋なんだよ。」
ナーダ「レシアはレシアじゃない!そんな事言わないでよ。」
ブルー「…まあ、幼馴染が生きていた事自体は良かったじゃないの。それよりも、これからどうするの?」
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ブルー「まあ…それはあるかもしれないけど。」
レッド「それに俺は、まだ自分の目的を果たしていない。」
ブルー「目的?」
レッド「村を襲ったアサシンを殺す事さ。」
ブルー「え、アサシンですって!?」
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