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1章 時間の路
5話 揺れる心③
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酒場でご飯を食べる。全員酒は飲まないので、お茶で乾杯する。
バダグ「さっきのヤツら、どう思う?」
レッド「いやに戦い慣れている雰囲気があった。俺には敵わないが、あれは訓練を受けた者の戦い方だ。アサシンやハンターの可能性があるな。」
ブルー「アサシンにアンタを狙う命知らずが居るかしら?」
バダグ「レッドの剣は一流だからね。」
レッド「一流じゃない、超一流だ。他には…国防機関の可能性もある。政府にもアサシンを嫌っているヤツは多いだろう。勿論、兵士崩れのただの泥棒って可能性もあるが。」
バダグ「一応、調べてはみるけどね。全滅させちゃったから期待はしないように。」
レッド「確かに…な。」
ブルー「それにしても、あのガンブレードを結構使いこなして無かった?」
レッド「そうだな。思ったより使い勝手が良いかもしれない。昔に長剣を使った時は全然ダメだったんだけどな。」
バダグ「レッドの地力が上がってる証拠だよ。」
レッド「そうなのかもな。まあ、暫く使い続けても良いかもしれない。」
ブルー「じゃあ銃の部分も直さないとね。」
レッド「別にそれは良いよ。」
ブルー「銃を直さないとガンブレードの魅力は半減よ?」
レッド「そんなもん、ただの鐘と一緒だって。」
バダグ「まあ、レッドがそう言うのならそれで良いんじゃない?」
レッド「さて、飯も食ったし。掃除も終わっているだろう。ぼちぼち帰るわ。」
ブルー「そうね。今日はもう寝ましょう。」
バダグ「じゃあ俺も帰ろうか。みんなおやすみ。」
レッド「ああ、じゃあな。」
バダグ「また依頼が入ったら連絡するよ。」
そう言って、その場は解散。レッドも家に戻って行った。
家は何事も無かった様に綺麗になっていた。アサシン御用達ってだけはあって、こういう掃除にも慣れているのだろうか。匂いも全くしなかった。
レッド「ふう…一件落着だな。さて、寝るか。」
今日は特に何もない。昔の夢も見ないだろう。布団に入り目を閉じる。すぐに眠気が襲って来た。何だかんだ、ロックをこなし修行もした。変な侵入者とも戦った。疲れは溜まっていたようだ。
どれくらいの時間が経ったのか。ふとレッドは目を覚ます。真っ暗な部屋の中に何者かの気配がする。レッドは動かずにその気配を探る。
今までに感じた事のある気がする。…この気は……
何者かが武器を振りかざして来た。ベッドに立ててあった剣で迎え撃つ。
ザシュッ!
相手の武器は抵抗少なく切れてしまった。やけに柔らか過ぎる。レッドは剣を構えて相手に詰め寄った。
何者か「ちょ、待って。」
レッド「…この声は…」
ため息を吐いてレッドは部屋の電気を点けた。そこには切れたネギを持ったバダグが立っていた。
レッド「何やってんだ、お前は。」
バダグ「ちょっと驚かそうとしただけだって。」
レッド「何の用だ?お前の事だ、ただ遊びに来たってだけじゃないんだろう?」
バダグ「え、何?レッドってもしかしてエスパーなの?」
レッド「馬鹿垂れ。さっさと要件を言え。」
バダグ「実は新しい仕事を入れちゃった。」
レッド「はあ?そんなもん明日で良いだろう。…でいつだ?」
バダグ「今から。」
レッド「え?」
バダグ「今から。」
レッド「はい?」
バダグ「今か……」
レッド「なめとんかワレーーー!」
レッド「くそ…こんな夜中に。」
バダグ「大丈夫だって、俺も途中まで一緒に行くし。」
レッド「場所くらいは教えろ。」
バダグ「行けば分かるよ。」
レッド「…この野郎。」
着いた場所は…ハンター支部だった。裏手でブルーと落ち合う。
ブルー「来たわね。」
レッド「おい、場所がハンター支部だなんて聞いてないぞ。」
ブルー「私は聞いていたわ。」
レッド「ターゲットがハンター支部長だなんて聞いてないぞ。」
ブルー「私は聞いていたわ。」
レッド「…普段の仕返しのつもりか。」
ブルー「まあ、そんな所ね。仕事の話に入るわよ。」
レッド「どうぞ。」
ブルー「知っての通りターゲットはここのハンター支部長。名前はバラム・オーシャス。今夜、ここでハンター長との定時連絡会議を行っているわ。」
レッド「ハンター長もいるのか?ってかこんな夜中に会議かよ。」
ブルー「ハンター長はターゲットに入っていないわ。スルーね。」
レッド「スルー出来るのか?でもまあその方が良いだろうな。アイツはバケモン過ぎる。」
ブルー「知っているの?」
レッド「そんなには知らないよ。でも以前に遠目で見た事があるんだ。たまたまだったけど、強盗と戦ってた。」
ブルー「へえ…アンタがそう言うのなら、相当な強さかもね。」
レッド「ハンター長は間違いなく阻止しに来るだろう。その前にロックを決めて逃げなきゃな。」
どうやら出入り口は正面の一か所のみ。裏口もあるんだろうが、表からは見えない様になっている。正面には門番が2人。夜中ではあるが、ハンター長も来ているのであれば中にもハンターたちが居るだろう。
レッド「まさかハンター支部長が出て来るのを待つ、って訳じゃ無いよな?」
ブルー「そうね。出て来るなら、ハンター長も一緒に出て来る可能性は充分あるし。その上で護衛共を一斉に相手するのは無理があるわ。」
レッド「つまり気付かれずに侵入し、ターゲットをロックするって事だろ?内情も分からないのに…気軽に言ってくれる。」
ブルー「ハンターに袋叩きにされるより良いと思わない?」
レッド「確かにな。…行くぞ。」
バダグ「さっきのヤツら、どう思う?」
レッド「いやに戦い慣れている雰囲気があった。俺には敵わないが、あれは訓練を受けた者の戦い方だ。アサシンやハンターの可能性があるな。」
ブルー「アサシンにアンタを狙う命知らずが居るかしら?」
バダグ「レッドの剣は一流だからね。」
レッド「一流じゃない、超一流だ。他には…国防機関の可能性もある。政府にもアサシンを嫌っているヤツは多いだろう。勿論、兵士崩れのただの泥棒って可能性もあるが。」
バダグ「一応、調べてはみるけどね。全滅させちゃったから期待はしないように。」
レッド「確かに…な。」
ブルー「それにしても、あのガンブレードを結構使いこなして無かった?」
レッド「そうだな。思ったより使い勝手が良いかもしれない。昔に長剣を使った時は全然ダメだったんだけどな。」
バダグ「レッドの地力が上がってる証拠だよ。」
レッド「そうなのかもな。まあ、暫く使い続けても良いかもしれない。」
ブルー「じゃあ銃の部分も直さないとね。」
レッド「別にそれは良いよ。」
ブルー「銃を直さないとガンブレードの魅力は半減よ?」
レッド「そんなもん、ただの鐘と一緒だって。」
バダグ「まあ、レッドがそう言うのならそれで良いんじゃない?」
レッド「さて、飯も食ったし。掃除も終わっているだろう。ぼちぼち帰るわ。」
ブルー「そうね。今日はもう寝ましょう。」
バダグ「じゃあ俺も帰ろうか。みんなおやすみ。」
レッド「ああ、じゃあな。」
バダグ「また依頼が入ったら連絡するよ。」
そう言って、その場は解散。レッドも家に戻って行った。
家は何事も無かった様に綺麗になっていた。アサシン御用達ってだけはあって、こういう掃除にも慣れているのだろうか。匂いも全くしなかった。
レッド「ふう…一件落着だな。さて、寝るか。」
今日は特に何もない。昔の夢も見ないだろう。布団に入り目を閉じる。すぐに眠気が襲って来た。何だかんだ、ロックをこなし修行もした。変な侵入者とも戦った。疲れは溜まっていたようだ。
どれくらいの時間が経ったのか。ふとレッドは目を覚ます。真っ暗な部屋の中に何者かの気配がする。レッドは動かずにその気配を探る。
今までに感じた事のある気がする。…この気は……
何者かが武器を振りかざして来た。ベッドに立ててあった剣で迎え撃つ。
ザシュッ!
相手の武器は抵抗少なく切れてしまった。やけに柔らか過ぎる。レッドは剣を構えて相手に詰め寄った。
何者か「ちょ、待って。」
レッド「…この声は…」
ため息を吐いてレッドは部屋の電気を点けた。そこには切れたネギを持ったバダグが立っていた。
レッド「何やってんだ、お前は。」
バダグ「ちょっと驚かそうとしただけだって。」
レッド「何の用だ?お前の事だ、ただ遊びに来たってだけじゃないんだろう?」
バダグ「え、何?レッドってもしかしてエスパーなの?」
レッド「馬鹿垂れ。さっさと要件を言え。」
バダグ「実は新しい仕事を入れちゃった。」
レッド「はあ?そんなもん明日で良いだろう。…でいつだ?」
バダグ「今から。」
レッド「え?」
バダグ「今から。」
レッド「はい?」
バダグ「今か……」
レッド「なめとんかワレーーー!」
レッド「くそ…こんな夜中に。」
バダグ「大丈夫だって、俺も途中まで一緒に行くし。」
レッド「場所くらいは教えろ。」
バダグ「行けば分かるよ。」
レッド「…この野郎。」
着いた場所は…ハンター支部だった。裏手でブルーと落ち合う。
ブルー「来たわね。」
レッド「おい、場所がハンター支部だなんて聞いてないぞ。」
ブルー「私は聞いていたわ。」
レッド「ターゲットがハンター支部長だなんて聞いてないぞ。」
ブルー「私は聞いていたわ。」
レッド「…普段の仕返しのつもりか。」
ブルー「まあ、そんな所ね。仕事の話に入るわよ。」
レッド「どうぞ。」
ブルー「知っての通りターゲットはここのハンター支部長。名前はバラム・オーシャス。今夜、ここでハンター長との定時連絡会議を行っているわ。」
レッド「ハンター長もいるのか?ってかこんな夜中に会議かよ。」
ブルー「ハンター長はターゲットに入っていないわ。スルーね。」
レッド「スルー出来るのか?でもまあその方が良いだろうな。アイツはバケモン過ぎる。」
ブルー「知っているの?」
レッド「そんなには知らないよ。でも以前に遠目で見た事があるんだ。たまたまだったけど、強盗と戦ってた。」
ブルー「へえ…アンタがそう言うのなら、相当な強さかもね。」
レッド「ハンター長は間違いなく阻止しに来るだろう。その前にロックを決めて逃げなきゃな。」
どうやら出入り口は正面の一か所のみ。裏口もあるんだろうが、表からは見えない様になっている。正面には門番が2人。夜中ではあるが、ハンター長も来ているのであれば中にもハンターたちが居るだろう。
レッド「まさかハンター支部長が出て来るのを待つ、って訳じゃ無いよな?」
ブルー「そうね。出て来るなら、ハンター長も一緒に出て来る可能性は充分あるし。その上で護衛共を一斉に相手するのは無理があるわ。」
レッド「つまり気付かれずに侵入し、ターゲットをロックするって事だろ?内情も分からないのに…気軽に言ってくれる。」
ブルー「ハンターに袋叩きにされるより良いと思わない?」
レッド「確かにな。…行くぞ。」
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