上 下
4 / 10

4.

しおりを挟む
「で、さっきのはどう言う事だ?その前に自己紹介だな。俺はここの店主でダンだ。そもそもは冒険者だったんだがカミさんの親からこの店を任されてな。今は店の仕事が本業さ」
「私はビビ。昨日この街に来たところ。一応、冒険者だよ」
「私はダンの連れ合いのミリアルよ。」
「実はなコイツの親がいた頃は普通の魔道具店だったんだ。一昨年亡くなってからはちゃんとした鑑定が出来なくてな、ギルドに鑑定書を発行してもらった物は店で販売してるんだけど費用面もあって全てがそうできる訳でもない。本格的に収入がヤバくなりそうな時にさっきのお嬢の話だ。ついついくらいついてしまったって訳だ」
「成る程ね。さっきの話だけど一つ提案もあるんだ。私、鑑定もだけど特殊スキルで魔道具の整備が出来るんだ。詳しくは言えないけど良かったら取引しない?鑑定書なら発行出来るよ。」
「その年でか?こっちから声かけて疑うのもなんだけど、何か証明出来る物はあるか?」
「まあ、そうなるよね。普通の反応だと思うよ。そうね、鑑定書のある魔道具を1つ持ってきてもらってもよい?私がこの場で鑑定書作るから元の物と見比べてくれたらどうかな?」
「そうだな、ちょっと待ってろ」
おじさんは店の方に魔道具を取りに行った。
「コレで試して貰えるか」
「オッケー、ちょっと借りるね」
私はその魔道具をテーブルに置き、とりあえずは鑑定する。
「鑑定」
ほうほう、コレはダンジョン産の水筒だ。魔石が切れなければ水が常に一定量出てくる仕組みになっている。
「発行」
手元が光り、紙が一枚現れる。
『鑑定書・水の魔道具』
ダンジョン産・水の魔石 魔石レベル4
自動的に水が溜まる水筒。
使用制限有り
魔石充電、交換可
価格 5000G
「はい、鑑定書。比べてみて」
「お、おう」
鑑定書を受け取り元の紙と内容を見比べている。
「お嬢の方が詳しいな」
「あらそう?まあ、魔石レベルまでは中々書いてないからね。今回はワザと分かる様にしたんだよ」
「コレは凄いな。疑って悪かった。ホントに取引してくれるのか?そう言えば街に来たところだとさっき言ったよな?冒険者なら他のパーティーメンバーと相談とかしなくて大丈夫なのか?そもそもまだ未成年だろ?保証人にも相談がいるんじゃないのか?」
あー、童顔って嫌だ。
渋々説明する。
「一応、成人してるよ。この街に住むつもりで移動してきたし私はソロだから相談とかは大丈夫かな。ギルドの向こう側に住む予定だから落ち着いたら取引は出来るよ。」
「な、成人してるのか。悪い悪い。笑笑」
「とりあえず詳しい内容は追々として、今は単発で依頼受けようか?」
そこから料金設定について話し合った。
基本は価格の1割で鑑定、鑑定書はそこから2割アップ。
元々引き取りや状態にもよるけど価格の2.5割らしいので儲けが4.5割になる設定となった。
ギルドでの発行だと2割2割の4割取られてそこから修理や整備となると全く儲けが出ないとか。
4.5割から修理、整備は要相談となり私が居住を落ち着けてから改めて話し合う事になった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

魔法が使えない令嬢は住んでいた小屋が燃えたので家出します

怠惰るウェイブ
ファンタジー
グレイの世界は狭く暗く何よりも灰色だった。 本来なら領主令嬢となるはずの彼女は領主邸で住むことを許されず、ボロ小屋で暮らしていた。 彼女はある日、棚から落ちてきた一冊の本によって人生が変わることになる。 世界が色づき始めた頃、ある事件をきっかけに少女は旅をすることにした。 喋ることのできないグレイは旅を通して自身の世界を色付けていく。

【完結】貧乏令嬢の野草による領地改革

うみの渚
ファンタジー
八歳の時に木から落ちて頭を打った衝撃で、前世の記憶が蘇った主人公。 優しい家族に恵まれたが、家はとても貧乏だった。 家族のためにと、前世の記憶を頼りに寂れた領地を皆に支えられて徐々に発展させていく。 主人公は、魔法・知識チートは持っていません。 加筆修正しました。 お手に取って頂けたら嬉しいです。

せっかく転生したのに得たスキルは「料理」と「空間厨房」。どちらも外れだそうですが、私は今も生きています。

リーゼロッタ
ファンタジー
享年、30歳。どこにでもいるしがないOLのミライは、学校の成績も平凡、社内成績も平凡。 そんな彼女は、予告なしに突っ込んできた車によって死亡。 そして予告なしに転生。 ついた先は、料理レベルが低すぎるルネイモンド大陸にある「光の森」。 そしてやって来た謎の獣人によってわけの分からん事を言われ、、、 赤い鳥を仲間にし、、、 冒険系ゲームの世界につきもののスキルは外れだった!? スキルが何でも料理に没頭します! 超・謎の世界観とイタリア語由来の名前・品名が特徴です。 合成語多いかも 話の単位は「食」 3月18日 投稿(一食目、二食目) 3月19日 え?なんかこっちのほうが24h.ポイントが多い、、、まあ嬉しいです!

令嬢に転生してよかった!〜婚約者を取られても強く生きます。〜

三月べに
ファンタジー
 令嬢に転生してよかった〜!!!  素朴な令嬢に婚約者である王子を取られたショックで学園を飛び出したが、前世の記憶を思い出す。  少女漫画や小説大好き人間だった前世。  転生先は、魔法溢れるファンタジーな世界だった。リディーは十分すぎるほど愛されて育ったことに喜ぶも、婚約破棄の事実を知った家族の反応と、貴族内の自分の立場の危うさを恐れる。  そして家出を決意。そのまま旅をしながら、冒険者になるリディーだったのだが? 【連載再開しました! 二章 冒険編。】

今さら帰ってこいなんて言われても。~森に移住した追放聖女は快適で優雅に暮らす~

ケンノジ
ファンタジー
「もうお前は要らない女だ!」 聖女として国に奉仕し続けてきたシルヴィは、第一王子ヴィンセントに婚約破棄と国外追放を言い渡される。 その理由は、シルヴィより強い力を持つ公爵家のご令嬢が現れたからだという。 ヴィンセントは態度を一変させシルヴィを蔑んだ。 王子で婚約者だから、と態度も物言いも目に余るすべてに耐えてきたが、シルヴィは我慢の限界に達した。 「では、そう仰るならそう致しましょう」 だが、真の聖女不在の国に一大事が起きるとは誰も知るよしもなかった……。 言われた通り国外に追放されたシルヴィは、聖女の力を駆使し、 森の奥で出会った魔物や動物たちと静かで快適な移住生活を送りはじめる。 これは虐げられた聖女が移住先の森の奥で楽しく幸せな生活を送る物語。

ぬいぐるみばかり作っていたら実家を追い出された件〜だけど作ったぬいぐるみが意志を持ったので何も不自由してません〜

望月かれん
ファンタジー
 中流貴族シーラ・カロンは、ある日勘当された。理由はぬいぐるみ作りしかしないから。 戸惑いながらも少量の荷物と作りかけのぬいぐるみ1つを持って家を出たシーラは1番近い町を目指すが、その日のうちに辿り着けず野宿をすることに。 暇だったので、ぬいぐるみを完成させようと意気込み、ついに夜更けに完成させる。  疲れから眠りこけていると聞き慣れない低い声。 なんと、ぬいぐるみが喋っていた。 しかもぬいぐるみには帰りたい場所があるようで……。     天真爛漫娘✕ワケアリぬいぐるみのドタバタ冒険ファンタジー。  ※この作品は小説家になろう・ノベルアップ+にも掲載しています。

【長編・完結】私、12歳で死んだ。赤ちゃん還り?水魔法で救済じゃなくて、給水しますよー。

BBやっこ
ファンタジー
死因の毒殺は、意外とは言い切れない。だって貴族の後継者扱いだったから。けど、私はこの家の子ではないかもしれない。そこをつけいられて、親族と名乗る人達に好き勝手されていた。 辺境の地で魔物からの脅威に領地を守りながら、過ごした12年間。その生が終わった筈だったけど…雨。その日に辺境伯が連れて来た赤ん坊。「セリュートとでも名付けておけ」暫定後継者になった瞬間にいた、私は赤ちゃん?? 私が、もう一度自分の人生を歩み始める物語。給水係と呼ばれる水魔法でお悩み解決?

聖女の力を隠して塩対応していたら追放されたので冒険者になろうと思います

登龍乃月
ファンタジー
「フィリア! お前のような卑怯な女はいらん! 即刻国から出てゆくがいい!」 「え? いいんですか?」  聖女候補の一人である私、フィリアは王国の皇太子の嫁候補の一人でもあった。  聖女となった者が皇太子の妻となる。  そんな話が持ち上がり、私が嫁兼聖女候補に入ったと知らされた時は絶望だった。  皇太子はデブだし臭いし歯磨きもしない見てくれ最悪のニキビ顔、性格は傲慢でわがまま厚顔無恥の最悪を極める、そのくせプライド高いナルシスト。  私の一番嫌いなタイプだった。  ある日聖女の力に目覚めてしまった私、しかし皇太子の嫁になるなんて死んでも嫌だったので一生懸命その力を隠し、皇太子から嫌われるよう塩対応を続けていた。  そんなある日、冤罪をかけられた私はなんと国外追放。  やった!   これで最悪な責務から解放された!  隣の国に流れ着いた私はたまたま出会った冒険者バルトにスカウトされ、冒険者として新たな人生のスタートを切る事になった。  そして真の聖女たるフィリアが消えたことにより、彼女が無自覚に張っていた退魔の結界が消え、皇太子や城に様々な災厄が降りかかっていくのであった。

処理中です...