上 下
175 / 202
新生活ヤンヤン

175.

しおりを挟む
トイックさんに場所を借りる相談をし、ついでにここで調合してしまうと伝える。
「これだけの量をそんなに直ぐに処理出来るのかい?」
「2時間もあれば終わると思いますよ。但し、使用する部屋には結界を張らせてもらいますね。無闇に他人からの干渉は受けたくないので」
「それだったら隣の会議室を使ったらよいよ。ついでに調合を見学させて貰えないかな?」
「構わないですよ。守秘義務だけはお願いしますね」
マスタールームの隣に移動して、早速調合に取り掛かる事にした。
3人で会議室にはいり、結界を張ろうとしたら外から声が聞こえた。
「ギルマス、来客中にすまん」
マイクさんの後釜のサブマスはいってきた。
「初めまして。サブマスターのネルトといいます。」
「初めまして、ククルです。」
「アイザックだ」
「ククル、良ければ彼も同室させてもらってもよいかな?」
「どうぞ」
トイックさんに促されてネルトさんが入ってきた。

トイックさんが事情を説明し、今から調合をする事を伝えた。
やはりというか自分も見ていたいとの事で申し出を許可する。
「ところで用事はよかったの?」
「そうだった。ギルマス、先程領主の使いが来て、午後から例の話し合いをしたいらしく、参加して欲しいそうだ。14時からで屋敷まで来てくれだとさ」
「了解、時間になったら向かう事にする。お前も参加しろ」
「了解」
「ククル、お待たせしました。お願いしても良いかな」
「はーい、じゃあはじめますね」
麻袋から薬草をだし、平と悪に仕分けていく。
大体半々くらいの量だった。
収納から持ち歩いている調合釜の大きい方をだし、先に平から進めていく。
回復ポーションは正直作り方も簡単なので作業としては直ぐに終わる。
二回に分けて調合し、45本仕上がった。
「調合スピードが無茶苦茶速いな」
「魔力操作がかなり上手ですね。薬師でも目指せますよ。」
「あ、そうか。気にもしてなかったけど、、、実はすでに薬師ギルドに登録してるんです」
「「へっ?」」
「試験受けて合格しちゃいました。」
2人とも唖然とした顔でこちらを見ているけどとりあえずほっといて残りの調合に取り掛かる。
悪は処理が大変なので3回に分ける事にした。

「良い物が見学できました。ありがとうございます」
「どういたしまして」
納品を済ませて依頼の完了手続きをしてもらう。
先程の話だと14時から打ち合わせみたいだしそれまでに帰って準備をしなくてはならない。
「お待たせ、終わりましたよ」
ネルトが手続きをしてくれたのでお礼を伝えて屋敷に戻った。
「アイザック、とりあえずご飯食べようよ。お腹空いた」
手軽に食べれる物を準備してもらい、打ち合わせをしながら食べる事にした。
「とりあえず、休憩所とそこの整備でしょ。馬車を通れる様にして、定期便も走らせたいし、後はどうかな?」
「そうだな。途中の村からの道も整備してもらうほうが良いかな。」
「そうだね。とりあえずまずはそんなとこかな。ギルマスとサブマスも来るみたいだし、定期的に魔物を処理してもらっても良いかもね」
そろそろ打ち合わせの時間になるので会議室に向かう事にする。
中に入ると叔父さんが先に待っていた。
アイザックと先程話した事を伝えて話のすり合わせをしておく。
レオン団長と工事を受け持ってくれる大工の棟梁が一緒にやって来た。
どうやらレオン団長とは幼馴染らしく、紹介してくれたので挨拶する。
後はギルマス達と商業ギルドが来るみたいだ。
「お待たせしました。」
3人揃って部屋に入ってきたので挨拶する。
「あれ?ククルにアイザック?」
「先程ぶりですね」
とりあえず、全員揃ったので改めて自己紹介する事になった。
叔父さんから順番にギルマス、サブマス、商業ギルド、団長、棟梁、アイザックで最後が私だ。
「改めまして、ヤンヤンの代表でククルです。今回はよろしくお願いします」
集まったメンバーも流石に私が代表とは思ってなかったみたいでかなり驚いている。
とりあえず無視して、街道の件について話を進めていく。
「と、言うわけで何か質問はありますか?」
「とりあえず、一度ヤンヤンまで走ってみて確認してから続きの話し合いでも良いのですか?」
「それでしたら明後日、ヤンヤンまで戻るので一緒に向かいますか?」
帰りは団体で通る事になり、詳しくはヤンヤンに到着してからの話し合いとなった。


出発の日の朝、ギルドから同行する人達が集まってくる。
「お世話になりました。」
「ありがとう」
「2人ともまたいつでもきたら良いから」
叔父夫婦に見送られながら大所帯で移動する事になったのだった。
しおりを挟む
感想 125

あなたにおすすめの小説

システムバグで輪廻の輪から外れましたが、便利グッズ詰め合わせ付きで他の星に転生しました。

大国 鹿児
ファンタジー
輪廻転生のシステムのバグで輪廻の輪から外れちゃった! でも神様から便利なチートグッズ(笑)の詰め合わせをもらって、 他の星に転生しました!特に使命も無いなら自由気ままに生きてみよう! 主人公はチート無双するのか!? それともハーレムか!? はたまた、壮大なファンタジーが始まるのか!? いえ、実は単なる趣味全開の主人公です。 色々な秘密がだんだん明らかになりますので、ゆっくりとお楽しみください。 *** 作品について *** この作品は、真面目なチート物ではありません。 コメディーやギャグ要素やネタの多い作品となっております 重厚な世界観や派手な戦闘描写、ざまあ展開などをお求めの方は、 この作品をスルーして下さい。 *カクヨム様,小説家になろう様でも、別PNで先行して投稿しております。

裏の林にダンジョンが出来ました。~異世界からの転生幼女、もふもふペットと共に~

あかる
ファンタジー
私、異世界から転生してきたみたい? とある田舎町にダンジョンが出来、そこに入った美優は、かつて魔法学校で教師をしていた自分を思い出した。 犬と猫、それと鶏のペットと一緒にダンジョンと、世界の謎に挑みます!

魔法が使えない令嬢は住んでいた小屋が燃えたので家出します

怠惰るウェイブ
ファンタジー
グレイの世界は狭く暗く何よりも灰色だった。 本来なら領主令嬢となるはずの彼女は領主邸で住むことを許されず、ボロ小屋で暮らしていた。 彼女はある日、棚から落ちてきた一冊の本によって人生が変わることになる。 世界が色づき始めた頃、ある事件をきっかけに少女は旅をすることにした。 喋ることのできないグレイは旅を通して自身の世界を色付けていく。

(完結)もふもふと幼女の異世界まったり旅

あかる
ファンタジー
死ぬ予定ではなかったのに、死神さんにうっかり魂を狩られてしまった!しかも証拠隠滅の為に捨てられて…捨てる神あれば拾う神あり? 異世界に飛ばされた魂を拾ってもらい、便利なスキルも貰えました! 完結しました。ところで、何位だったのでしょう?途中覗いた時は150~160位くらいでした。応援、ありがとうございました。そのうち新しい物も出す予定です。その時はよろしくお願いします。

一緒に異世界転生した飼い猫のもらったチートがやばすぎた。もしかして、メインは猫の方ですか、女神様!?

たまご
ファンタジー
 アラサーの相田つかさは事故により命を落とす。  最期の瞬間に頭に浮かんだのが「猫達のごはん、これからどうしよう……」だったせいか、飼っていた8匹の猫と共に異世界転生をしてしまう。  だが、つかさが目を覚ます前に女神様からとんでもチートを授かった猫達は新しい世界へと自由に飛び出して行ってしまう。  女神様に泣きつかれ、つかさは猫達を回収するために旅に出た。  猫達が、世界を滅ぼしてしまう前に!! 「私はスローライフ希望なんですけど……」  この作品は「小説家になろう」さん、「エブリスタ」さんで完結済みです。  表紙の写真は、モデルになったうちの猫様です。

異世界召喚失敗から始まるぶらり旅〜自由気ままにしてたら大変なことになった〜

ei_sainome
ファンタジー
クラスメイト全員が異世界に召喚されてしまった! 謁見の間に通され、王様たちから我が国を救って欲しい云々言われるお約束が…始まらない。 教室内が光ったと思えば、気づけば地下に閉じ込められていて、そこには誰もいなかった。 勝手に召喚されたあげく、誰も事情を知らない。未知の世界で、自分たちの力だけでどうやって生きていけというのか。 元の世界に帰るための方法を探し求めて各地を放浪する旅に出るが、似たように見えて全く異なる生態や人の価値観と文化の差に苦悩する。 力を持っていても順応できるかは話が別だった。 クラスメイトたちにはそれぞれ抱える内面や事情もあり…新たな世界で心身共に表面化していく。 ※ご注意※ 初投稿、試作、マイペース進行となります。 作品名は今後改題する可能性があります。 世界観だけプロットがあり、話の方向性はその場で決まります。 旅に出るまで(序章)がすごく長いです。 他サイトでも同作を投稿しています。 更新頻度は1〜3日程度を目標にしています。

全能で楽しく公爵家!!

山椒
ファンタジー
平凡な人生であることを自負し、それを受け入れていた二十四歳の男性が交通事故で若くして死んでしまった。 未練はあれど死を受け入れた男性は、転生できるのであれば二度目の人生も平凡でモブキャラのような人生を送りたいと思ったところ、魔神によって全能の力を与えられてしまう! 転生した先は望んだ地位とは程遠い公爵家の長男、アーサー・ランスロットとして生まれてしまった。 スローライフをしようにも公爵家でできるかどうかも怪しいが、のんびりと全能の力を発揮していく転生者の物語。 ※少しだけ設定を変えているため、書き直し、設定を加えているリメイク版になっています。 ※リメイク前まで投稿しているところまで書き直せたので、二章はかなりの速度で投稿していきます。

王女の夢見た世界への旅路

ライ
ファンタジー
侍女を助けるために幼い王女は、己が全てをかけて回復魔術を使用した。 無茶な魔術の使用による代償で魔力の成長が阻害されるが、代わりに前世の記憶を思い出す。 王族でありながら貴族の中でも少ない魔力しか持てず、王族の中で孤立した王女は、理想と夢をかなえるために行動を起こしていく。 これは、彼女が夢と理想を求めて自由に生きる旅路の物語。 ※小説家になろう様にも投稿しています。

処理中です...