転生テイマー、異世界生活を楽しむ

さっちさん

文字の大きさ
上 下
162 / 202
新たな挑戦へ

162.

しおりを挟む
「アイザック様、少し宜しいでしょうか」
「ククルは寝たか」
「はい、今お休みになられました。先程まで泣いていらしたので少し心配ではありますが」
ハナにあの後の様子を聞くと最初は普通に怒られて泣いていた様だったけどんどん落ち込み出して寝る頃には大分、沈んでいた様だ。
「だろうな、多分明日は熱を出すだろうから頼むよ」
「畏まりました。しかしあそこまでする必要性はあるのですか」
「はぁ、追い込まなくても良いと言えばそこまでだけど連日の行動を見ていると全く自分の体力を顧みてない。あの子は魔力は底がないからついついやり過ぎて後から大変な事になるのも解ってないしな。」
アイザックが一番懸念しているのは体調を崩してからしか気付かないククルの性格についてだ。
一生懸命なのは良いけど倒れて寝込むまでのめり込むし、今回も知り合いと言えどやり過ぎだ。
帰り際、ドルフ殿には注意したが研究者とはそんな物だと理解はしている。
ただやっぱりまだ子供なのだから大人と、同じ様には行かない。
今の感じなら二、三日で回復するだろうからその様に仕向けたのだ。
「とにかく、ククルの体調が整い次第一度王都に戻るから準備しておいてくれ」
「畏まりました」



「、、、アイザック」

「、、、アイザック」
夜中に呼ぶ声がして起き上がり扉を開けると泣き顔のククルが立っていた。
「どうした?まだ夜中だろ?ねれないのかい?」
「、、、アイザック、ごめんなさい、、グズッ」
泣きながらしがみついて謝る姿を見ているとやり過ぎだかなと後悔する。
抱き上げでとりあえず部屋に入る。
「はいはい、反省出来たならもう怒ってないから、こんな寒い夜に薄着でウロウロしてたら風邪ひくだろ」
すっかり体が冷たくなっている。いつからあそこに立っていたのやら。
寒さなのかなんなのか小さく震えているのでとりあえず毛布で包んでやり、一旦、ベットに座らせて温かい飲み物を取りにリビングに降りた。
ホットミルクを持って部屋に戻るとそのままベッドに座るククルがいたのでカップを持たせて飲む様に促した。
「ほら、これ飲んで暖まりなさい」
「、、、はーい」
寒かったのか喉が渇いていたのかふぅふぅしながらもコクコク飲んでいる。
体が少し暖まったのかほんのり頬に赤みが出てきた。
「このまま此処で寝るかい」
しがみついてきたので此処で寝る様だ。
布団の中でも離れないが暫くするとスゥスゥ寝息が聞こえてきた。
そのまま一緒に朝まで眠りについた。


「アイザック様、早朝にすいません」
控えめなハナの声に起こされて顔を上げる。
「何かあったか?」
「ククル様はこちらにこられてますか?お部屋にいらっしゃらなかったので」
「夜中に泣きながら来たから絢してここで寝かせてる。まだ、起きないだろうから起きたら呼ぶよ」
「畏まりました。すいませんおやすみのところ」
ハナが下がったので二度寝をしようとククルをそっと動かして寝位置を決める。
まだまだ起きそうに無いのでそのまま一緒に寝ついた。
「頭痛いよぉ」
隣からの声で目が覚めてククルを覗き込むとあまり顔色が良くない。
「おはよう、どれ、熱がちょっとあるかな」
グズグズしているククルをそのままにハナを呼び、薬と何か食べる物を持ってきて貰う。
その間に身支度を整え、改めてククルの様子を伺う。
「ククル、熱があるから今日は薬を飲んで寝てなさい。果物位なら食べれるか?」
「いらない」
「ダメだ。薬が飲めないだろ」
とりあえず起き上がらせて好きそうな果物を一つ二つ食べさせた。
薬を飲ませて自室まで運ぶ。
「ゆっくりおやすみ」
「はーい」
ベットに入ったらガルが側に寄ったのでククルの事は任せてリビングに降りた。
昨晩の事をハナに説明し、やり過ぎたかと反省する。
ハナ曰く、本人がもっと自覚する迄は仕方がないのではとの事。
この件については2人して諦めた。

ドルフのところを訪ねてククルについて報告する。
正直、周りの人全員で気をつけても足りない位だ。
「すまん、ついつい調子に乗った」
「アイザック殿、ククルさんは大丈夫なのですか」
「まあ、あの子が体調を崩すのは良くある事なので特には問題ないです。ただ、今までからでも急に倒れたり意識が中々戻らなかったりとこちらも肝が冷える経験を何度かしているので気にはかけてやって欲しいです。」
「分かりました」
ドルフ殿よりソルさんの方が恐らく面倒見が良さそうなのでこの件についてはお願いしておいた。
ククルが回復したら王都に戻る予定だと伝え、ドルフ達も戻り次第連絡するとの事。
また、王都でと挨拶し、ギルドを後にした。

翌日にはククルも回復したので王都へと戻る事にした。
今回はガーデンがついて帰るとの事で他のゴーレムズに挨拶し、さっさと影に入った。
スライム達は全員影にはいる。
蜘蛛はこっちに残るとか。モコもここの方が良いとの事。
普段から一緒のガル、ファル、翠、白、それにスライムと伝書鳥で戻る事となったのだ。
しおりを挟む
感想 125

あなたにおすすめの小説

アラヒフおばさんのゆるゆる異世界生活

ゼウママ
ファンタジー
50歳目前、突然異世界生活が始まる事に。原因は良く聞く神様のミス。私の身にこんな事が起こるなんて…。 「ごめんなさい!もう戻る事も出来ないから、この世界で楽しく過ごして下さい。」と、言われたのでゆっくり生活をする事にした。 現役看護婦の私のゆっくりとしたどたばた異世界生活が始まった。 ゆっくり更新です。はじめての投稿です。 誤字、脱字等有りましたらご指摘下さい。

領主にならないとダメかなぁ。冒険者が良いんです本当は。

さっちさん
ファンタジー
アズベリー領のミーナはとある事情により両親と旅をしてきた。 しかし、事故で両親を亡くし、実は領主だった両親の意志を幼いながらに受け継ぐため、一人旅を続ける事に。 7歳になると同時に叔父様を通して王都を拠点に領地の事ととある事情の為に学園に通い、知識と情報を得る様に言われた。 ミーナも仕方なく、王都に向かい、コレからの事を叔父と話をしようと動き出したところから始まります。 ★作品を読んでくださった方ありがとうございます。不定期投稿とはなりますが一生懸命進めていく予定です。 皆様応援よろしくお願いします

(完結)もふもふと幼女の異世界まったり旅

あかる
ファンタジー
死ぬ予定ではなかったのに、死神さんにうっかり魂を狩られてしまった!しかも証拠隠滅の為に捨てられて…捨てる神あれば拾う神あり? 異世界に飛ばされた魂を拾ってもらい、便利なスキルも貰えました! 完結しました。ところで、何位だったのでしょう?途中覗いた時は150~160位くらいでした。応援、ありがとうございました。そのうち新しい物も出す予定です。その時はよろしくお願いします。

転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】

ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった 【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。 累計400万ポイント突破しました。 応援ありがとうございます。】 ツイッター始めました→ゼクト  @VEUu26CiB0OpjtL

異世界でゆるゆるスローライフ!~小さな波乱とチートを添えて~

イノナかノかワズ
ファンタジー
 助けて、刺されて、死亡した主人公。神様に会ったりなんやかんやあったけど、社畜だった前世から一転、ゆるいスローライフを送る……筈であるが、そこは知識チートと能力チートを持った主人公。波乱に巻き込まれたりしそうになるが、そこはのんびり暮らしたいと持っている主人公。波乱に逆らい、世界に名が知れ渡ることはなくなり、知る人ぞ知る感じに収まる。まぁ、それは置いといて、主人公の新たな人生は、温かな家族とのんびりした自然、そしてちょっとした研究生活が彩りを与え、幸せに溢れています。  *話はとてもゆっくりに進みます。また、序盤はややこしい設定が多々あるので、流しても構いません。  *他の小説や漫画、ゲームの影響が見え隠れします。作者の願望も見え隠れします。ご了承下さい。  *頑張って週一で投稿しますが、基本不定期です。  *無断転載、無断翻訳を禁止します。   小説家になろうにて先行公開中です。主にそっちを優先して投稿します。 カクヨムにても公開しています。 更新は不定期です。

チート幼女とSSSランク冒険者

紅 蓮也
ファンタジー
【更新休止中】 三十歳の誕生日に通り魔に刺され人生を終えた小鳥遊葵が 過去にも失敗しまくりの神様から異世界転生を頼まれる。 神様は自分が長々と語っていたからなのに、ある程度は魔法が使える体にしとく、無限収納もあげるといい、時間があまり無いからさっさと転生しちゃおっかと言いだし、転生のため光に包まれ意識が無くなる直前、神様から不安を感じさせる言葉が聞こえたが、どうする事もできない私はそのまま転生された。 目を開けると日本人の男女の顔があった。 転生から四年がたったある日、神様が現れ、異世界じゃなくて地球に転生させちゃったと・・・ 他の人を新たに異世界に転生させるのは無理だからと本来行くはずだった異世界に転移することに・・・ 転移するとそこは森の中でした。見たこともない魔獣に襲われているところを冒険者に助けられる。 そして転移により家族がいない葵は、冒険者になり助けてくれた冒険者たちと冒険したり、しなかったりする物語 ※この作品は小説家になろう様、カクヨム様、ノベルバ様、エブリスタ様でも掲載しています。

30代社畜の私が1ヶ月後に異世界転生するらしい。

ひさまま
ファンタジー
 前世で搾取されまくりだった私。  魂の休養のため、地球に転生したが、地球でも今世も搾取されまくりのため魂の消滅の危機らしい。  とある理由から元の世界に戻るように言われ、マジックバックを自称神様から頂いたよ。  これで地球で買ったものを持ち込めるとのこと。やっぱり夢ではないらしい。  取り敢えず、明日は退職届けを出そう。  目指せ、快適異世界生活。  ぽちぽち更新します。  作者、うっかりなのでこれも買わないと!というのがあれば教えて下さい。  脳内の空想を、つらつら書いているのでお目汚しな際はごめんなさい。

女神の代わりに異世界漫遊  ~ほのぼの・まったり。時々、ざまぁ?~

大福にゃここ
ファンタジー
目の前に、女神を名乗る女性が立っていた。 麗しい彼女の願いは「自分の代わりに世界を見て欲しい」それだけ。 使命も何もなく、ただ、その世界で楽しく生きていくだけでいいらしい。 厳しい異世界で生き抜く為のスキルも色々と貰い、食いしん坊だけど優しくて可愛い従魔も一緒! 忙しくて自由のない女神の代わりに、異世界を楽しんでこよう♪ 13話目くらいから話が動きますので、気長にお付き合いください! 最初はとっつきにくいかもしれませんが、どうか続きを読んでみてくださいね^^ ※お気に入り登録や感想がとても励みになっています。 ありがとうございます!  (なかなかお返事書けなくてごめんなさい) ※小説家になろう様にも投稿しています

処理中です...