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王都

116.

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ようやく体調が戻ったものの暫く寝込んでいたので今日はお家でゆっくり過ごす事にした。
数日したら体力も回復するだろうとアイザックも言っている。

お昼過ぎマリアント様がお見舞いに来てくれた。
「マリアント様、こないだはありがとうございました。アイザックから聞きました。わざわざ診て頂いたと」
「あら元気になったようね。良かったわ。子供なんだから気遣いは不要よ」

それからこないだ研究室に行った話をしながらお茶をした。
マリアント様の話では魔力量が多いのなら毎日しっかり使った方が良いと言われたのでもう少し体力が回復したら古代薬の復元に手を着けようと思う。

夕方、アイザックがユミンを連れて帰ってきた。
「あっおかえり」
「ククル様、ただいま戻りました。お身体は大丈夫ですか?」
ちょっと辿々しいながらもしっかり言葉使いを覚えてきた様で感心する。
「もう大丈夫よ。それよりも凄いね。数日で見違える様だよ」
一応、学校に行くときは様付けも可笑しいからとそこは使い分けて貰う事にした。

熱が下がってから3日たち、アイザックからようやく外出の許可を貰ったので今日は久しぶりに外にでる。

「とりあえず教会に行ってネル様にお礼を伝えてそのあとギルドにポーション卸しにいくね」
アイザックとシッコクに跨りまずは教会へ。
貴族の礼拝堂でネル様とお会いする。
「ククルさん、こんにちは。身体は大丈夫ですか」
「ネル様こんにちは。こないだはありがとうございます。すっかり回復しました」
「そう、それは良かったですね。また、何かありましたらいつでもいらしてください」
「はい、そうさせてもらいます」
次に赤のギルドに向かう。
受付でポーションの買取をお願いすると小部屋に案内された。
「本日はどの位買取希望ですか」
「合計で120本お願いします」
「畏まりました。では貯蔵庫にご案内しますね」
こないだの魔道具がここにもあり棚にポーションを置いた。
数分で鑑定が終わり結果が映し出された。
それぞれのカードにお金を入れてもらい今度はギルド内のショップに向かう。
「何か欲しいものがあるのか?」
「研究に使用する素材の在庫があったら買って帰ろうかと思って」
良さそうな物を数点買う。
そろそろ帰ろうかと思い扉に向かうと先程の受付の人に呼び止められた。
「お手紙が届いております。お受け取りください」
受け取りの手続きをして手紙をもらう。
どうやらサックスからのようだ。
その場で中身を確認すると王都まで来る様で連絡手段をギルドに伝えて欲しいとの事。
もう一度受付に行き、サックスへの伝言をお願いして帰宅した。

「おかえりなさいませ」
「ハナ、ただいま」
今日の夕食当番はユミンとの事でハナが出迎えてくれた。
サックスからギルド経由で連絡がある事を伝え夕食までの時間を調合室で過ごす。
とりあえずポーションを何回か調合し、作業が終わったら古代薬の資料を読み漁る。

夕食が出来たと呼ばれたのでリビングまで行き、4人で食事する。

ハナがさっき言っていたが明日、こないだ助けた兄妹の迎えが到着するらしく直接お礼がしたいので場所と時間を指定して欲しいとか。
とりあえず、兄妹が寝起きしている詰所まで向かうので場所の提供をお願いする。
話しているうちにだんだん目蓋が落ちていく。
「ククルがそろそろ限界だな」
「うー」
アイザックは手慣れた手付きでククルを抱き上げ彼女の部屋まで運んだ。
「ほら、久しぶりに外出して疲れてるんだ。そのまま寝てしまいな」
「ふぁい。おやすみなさい」
眠りについた。

翌朝、快適に起き出す。
今日は詰所にアイザックと向かう予定だ。
約束の時間はお昼前、シッコクに跨り向かう事にした。


「この度は子供達を助けて頂きありがとうございます」

兄妹の両親に深々と頭を下げられお礼を言われた。
偶々運が良かっただけだととりあえず頭を上げてもらい改めて挨拶をする。

第三領にある小さな村の村長らしく、お礼にと村の特産品を頂いた。
染め布が有名らしく、シンプルな物から可愛らしい物まで数点頂ける様だ。
今日にでも村に向かって出発すると聞いていたので途中のおやつに焼き菓子を渡す。
「機会がありましたら一度村に遊びにいらしてください。」
「わかりました。ありがとうございます」
親子とお別れの挨拶をし、家路に着こうと詰所の出口にむかう。

「すいません。団長がお話があるとの事でして少しお時間頂けますか」
「わかりました」
アイザックと一緒について行くと団長のいる部屋に案内された。

「はじめまして。ここの団長でナナク・オルバイタンといいます。この度は犯人の捕獲にご協力頂きありがとうございました」
「あ、えっとククルです。どういたしまして?」
「ククルの付き添いでアイザックだ」
「わざわざすいません。どうぞお掛けください」
とりあえずアイザックと並んでソファに腰を下ろした。

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