転生テイマー、異世界生活を楽しむ

さっちさん

文字の大きさ
上 下
111 / 202
王都

111.

しおりを挟む
家に着いたので早速アイザックに先程の石の件を伝える。
聞いたアイザックも流石にビックリした様で無言で石を眺めていた。
「んーどうやったら孵る?」
私は真剣にスライムを孵らせる方法に悩んでいるのにアイザックは段々呆れ模様になってきた。
「普通、スライムは卵からは産まれないぞ」
そうなのだ。だから悩んで居るんだがアイザックはスライムが産まれるとは思ってない様だ。
「誰かスライムに詳しい人居ないかなぁ」
うんうん悩んでいたらふと思い出した。
「そうだ、パヨが生まれた所の薬師なら知ってるかな?あの人たしかスライムに詳しかったよね?」
「あぁ、キマキマのたしかサックスとか言ったかな?どうする?手紙でも書いてみるかい?」
「んーそうだね。とりあえずギルド経由で手紙でも出してみるよ」


今日は研究室にお邪魔する日だ。
とりあえず昨日用意したお土産を持ってドルフさんを訪ねた。

「ククルさん、ようこそ。まぁ、座って」
応接室に通されてドルフさんに挨拶する。
お土産を渡し、こちらはこないだの古代薬の報酬を頂いた。

早速、研究の成果の話になった。
「あれから何回か挑戦して漸く一回だけ調合に成功したんだけどあれは大変だね。安定供給なんて夢のまた夢だよ」
成功するだけでも凄いと思うのに安定供給を考えてるなんて流石は王城務めだ。

今後の研究についてどの様に進めるか相談しようと思っていた事を伝える。
研究室で既に進めている薬もあったのでそれはそのままお願いして手付かずの物に挑戦する事になった。

研究室で在庫している素材については譲ってもらえる事になり、私の在庫の素材は買取扱いをしてもらえる。
その他掛かった費用については申請さえすれば支払いしてもらえるとか。

「他の研究者に紹介したいんだが良いかな?」
「あまり気乗りしないです。」
「俺も賛成出来ないな。子供のククルがまともに相手してもらえるとも思えないし下手に妬みを買うだけなら面倒なだけだ。」
「わかった。では今後、ククルについては僕が責任を持って対応するよ。」

正直助かったかな。
あまり大人の事情に巻き込まれたくない。
対応出来ない事は無いと思うけど面倒くさく。
黙ってお任せしておこう。

結構な時間話をしていてそろそろお暇しようかと席をだったとき、扉をノックする音がした。

「会談中に失礼します。近衛騎士の方がこちらにお越しのアイザック様に急ぎの取り継ぎをと来られました。」
研究室の受付らしき人に連れられて騎士がそこに立っていた。
「失礼致します。アイザック様、こちらの要件が終わりましたらお時間を頂戴いただきたいのですが」
恐らくダックからのお呼び出しだろう。
「あぁ、そろそろ帰るつもりだったから今からでもかまわないか」
「はい、よろしくお願い致します」

そのまま騎士に連れられてダックの執務室に向かった。
「失礼致します。アイザック様、ククル様お連れいたしました」
促されて中に入るとダックがデスクに向かっていた。
「急に悪いな」
顔を上げこちらを確認すると手を止めてあるソファへやってきた。
座る事を進められ大人しく腰を下ろす。
と言うか高くて座れないのでアイザックに座らせて貰った。

「アイザック、今日従魔はつれているか」
「居るぞ。なんだ?」
「俺の奴がお前のに会いたいらしい。構わんか」
なんだ、ホワイトウルフのお願いだったのね。
そこから従魔の何処に案内してもらい影からクロイスが出てくる。
2匹が並んで奥へと走っていった。
今日、ガル達はゴーレムズとお留守番だ。
ガル見たさのダックはガッカリしているが仕方がない。
暫く3人で話をしていたが慣れない事に疲れたのか眠たくなってきた。
「そろそろククルが限界みたいだな」
「あぁ、呼び戻して帰る事にするか」
クロイスが近づいてきたところまでは覚えているがそのままコックリ寝入ってしまった。
元々今日は馬車で来ていたこともありアイザックがククルを抱き上げて外へとむかった。
ダックからはまた来いよと言われたが面倒なので適当にあしらった。


ハナから買い物を頼まれていたので市場の馬車止めに行き、寝ているククルを起こすのも可哀想なので御者にお願いしてククルを見ていてもらう事にした。

数件、買い物を済ませて馬車止めに向かう。
時間にしたら30分程度の事だったが戻って見ると大変な事が起こっていた。

「オラ」
御者が図体のデカい男に蹴られ地面に蹲っている。
別の男が2人、馬車の中から出てきた。
そのうちの1人が大きな麻袋を抱えている。
側にいた馬に跨ると物凄い勢いでかけていった。
「何してる」
そちらに向かって叫んだが男達は走り去っいく。
間違いなくククルが連れて行かれた。
クロイスを呼ぼうとして舌打ちした。
実はダックの従魔といるのが楽しいのか帰ると言うと随分寂しそうに返事するものだから好きな時に帰っておいでと置いてきたのだ。
御者に駆けつけてると気がついたのか慌てて起きあがろうとするのでその場に座らせ、馬車から馬を外しながら状況を確認すると急に御者台から引きずり下ろされ蹴られたとか。
男達はどうやらククルの事を商品と言っていた様だ。
「ちっ、違法売買か」
緊急用の魔道具でマーサスとハナに連絡を飛ばし、男が逃げた方へ馬を走らせた。
しおりを挟む
感想 125

あなたにおすすめの小説

(完結)もふもふと幼女の異世界まったり旅

あかる
ファンタジー
死ぬ予定ではなかったのに、死神さんにうっかり魂を狩られてしまった!しかも証拠隠滅の為に捨てられて…捨てる神あれば拾う神あり? 異世界に飛ばされた魂を拾ってもらい、便利なスキルも貰えました! 完結しました。ところで、何位だったのでしょう?途中覗いた時は150~160位くらいでした。応援、ありがとうございました。そのうち新しい物も出す予定です。その時はよろしくお願いします。

アラヒフおばさんのゆるゆる異世界生活

ゼウママ
ファンタジー
50歳目前、突然異世界生活が始まる事に。原因は良く聞く神様のミス。私の身にこんな事が起こるなんて…。 「ごめんなさい!もう戻る事も出来ないから、この世界で楽しく過ごして下さい。」と、言われたのでゆっくり生活をする事にした。 現役看護婦の私のゆっくりとしたどたばた異世界生活が始まった。 ゆっくり更新です。はじめての投稿です。 誤字、脱字等有りましたらご指摘下さい。

領主にならないとダメかなぁ。冒険者が良いんです本当は。

さっちさん
ファンタジー
アズベリー領のミーナはとある事情により両親と旅をしてきた。 しかし、事故で両親を亡くし、実は領主だった両親の意志を幼いながらに受け継ぐため、一人旅を続ける事に。 7歳になると同時に叔父様を通して王都を拠点に領地の事ととある事情の為に学園に通い、知識と情報を得る様に言われた。 ミーナも仕方なく、王都に向かい、コレからの事を叔父と話をしようと動き出したところから始まります。 ★作品を読んでくださった方ありがとうございます。不定期投稿とはなりますが一生懸命進めていく予定です。 皆様応援よろしくお願いします

没落した建築系お嬢様の優雅なスローライフ~地方でモフモフと楽しい仲間とのんびり楽しく生きます~

土偶の友
ファンタジー
優雅な貴族令嬢を目指していたクレア・フィレイア。 しかし、15歳の誕生日を前に両親から没落を宣言されてしまう。 そのショックで日本の知識を思いだし、ブラック企業で働いていた記憶からスローライフをしたいと気付いた。 両親に勧められた場所に逃げ、そこで楽しいモフモフの仲間と家を建てる。 女の子たちと出会い仲良くなって一緒に住む、のんびり緩い異世界生活。

魔法が使えない令嬢は住んでいた小屋が燃えたので家出します

怠惰るウェイブ
ファンタジー
グレイの世界は狭く暗く何よりも灰色だった。 本来なら領主令嬢となるはずの彼女は領主邸で住むことを許されず、ボロ小屋で暮らしていた。 彼女はある日、棚から落ちてきた一冊の本によって人生が変わることになる。 世界が色づき始めた頃、ある事件をきっかけに少女は旅をすることにした。 喋ることのできないグレイは旅を通して自身の世界を色付けていく。

裏の林にダンジョンが出来ました。~異世界からの転生幼女、もふもふペットと共に~

あかる
ファンタジー
私、異世界から転生してきたみたい? とある田舎町にダンジョンが出来、そこに入った美優は、かつて魔法学校で教師をしていた自分を思い出した。 犬と猫、それと鶏のペットと一緒にダンジョンと、世界の謎に挑みます!

10歳で記憶喪失になったけど、チート従魔たちと異世界ライフを楽しみます(リメイク版)

犬社護
ファンタジー
10歳の咲耶(さや)は家族とのキャンプ旅行で就寝中、豪雨の影響で発生した土石流に巻き込まれてしまう。 意識が浮上して目覚めると、そこは森の中。 彼女は10歳の見知らぬ少女となっており、その子の記憶も喪失していたことで、自分が異世界に転生していることにも気づかず、何故深い森の中にいるのかもわからないまま途方に暮れてしまう。 そんな状況の中、森で知り合った冒険者ベイツと霊鳥ルウリと出会ったことで、彼女は徐々に自分の置かれている状況を把握していく。持ち前の明るくてのほほんとしたマイペースな性格もあって、咲耶は前世の知識を駆使して、徐々に異世界にも慣れていくのだが、そんな彼女に転機が訪れる。それ以降、これまで不明だった咲耶自身の力も解放され、様々な人々や精霊、魔物たちと出会い愛されていく。 これは、ちょっぴり天然な《咲耶》とチート従魔たちとのまったり異世界物語。 ○○○ 旧版を基に再編集しています。 第二章(16話付近)以降、完全オリジナルとなります。 旧版に関しては、8月1日に削除予定なのでご注意ください。 この作品は、ノベルアップ+にも投稿しています。

女神の代わりに異世界漫遊  ~ほのぼの・まったり。時々、ざまぁ?~

大福にゃここ
ファンタジー
目の前に、女神を名乗る女性が立っていた。 麗しい彼女の願いは「自分の代わりに世界を見て欲しい」それだけ。 使命も何もなく、ただ、その世界で楽しく生きていくだけでいいらしい。 厳しい異世界で生き抜く為のスキルも色々と貰い、食いしん坊だけど優しくて可愛い従魔も一緒! 忙しくて自由のない女神の代わりに、異世界を楽しんでこよう♪ 13話目くらいから話が動きますので、気長にお付き合いください! 最初はとっつきにくいかもしれませんが、どうか続きを読んでみてくださいね^^ ※お気に入り登録や感想がとても励みになっています。 ありがとうございます!  (なかなかお返事書けなくてごめんなさい) ※小説家になろう様にも投稿しています

処理中です...