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ふたたび王都へ3
100.
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今日は王との謁見の日。
とりあえずルーズベルト邸にて着替えを済ませて馬車で王城に向かった。
控室に到着すると既にマーサスとマリアント様が部屋にいた。
「おはようございます。マリアント様、マーサス」
「あら、ククルおはようございます。そうやっていると可愛らしい令嬢なのにね」
「おぅ、見違えるな」
マーサスの脛をとりあえず蹴り上げといた。
用意されたお茶を呑みつつ暫く雑談していると近衛騎士が呼びにきたので謁見の間に向かう。
煌びやかな扉の前で一度足を止め、中から呼ばれたのでマリアント様とマーサスに続いて中に入った。
中央で足を止め、カーテシーをする。
「面を上げよ」
陛下の声と共に前を向いた。
宰相が事を進める。
「今回、新たな古代薬を復元できたとの報告があった。薬師ギルド長、説明を」
「はっ」
そこからはマリアント様がどの様に再現したかを説明する。
流れとしては間違いないがやはり細かなところは秘匿する様で端折りながらの説明だ。
「此方がそのポーションになります」
マリアント様が宰相に渡すと宮廷魔術士が鑑定する。
その後、鑑定書の発行できる魔道具に乗せられ概要が明らかになった。
「おお、これは中々だな」
鑑定書を読みつつ陛下も感心する。
「ふむ、でギルド長よこのポーションは生産出来るのか」
「正直に申しますと私でも1日に1本が限界で続けての製作となると失敗するのが目に見えています。」
陛下はポーションを眺め暫く考えている。
「安定してポーションの支給ができないのでは仕方が無いな。ギルド長、引き続き復元に励んでくれ」
これにて謁見は終了した。
陛下が退出し、マリアント様とマーサスもギルドに行く様だ。
「ククル、ありがとうございます。今回の報酬が出たらお知らせしますね」
「はい、ありがとうございます。」
未知の薬やポーションを復元出来ると国から報酬が払われる。
今回はピコの助言があっての事だったので私にも支払われるそうだ。
城を出る前にちょっとお花摘み。
マリアント様達とは扉の前で別れてアイザックには待っててもらう。
「お待たせ、アイザック帰ろう」
「あぁ、ククルそれなんだかな、お呼びの様でもう少し時間大丈夫か。」
「はい、はぁやっぱりか」
騎士に連れられて陛下の執務室にお邪魔した。
「失礼いたします」
「おう、来たか。とりあえず座れや」
アイザックと二人並んでソファに腰を掛け向かいに陛下が座った。
メイドがお茶の準備をし、部屋から退出する。
陛下が騎士にも扉の外で警備すり様伝えたみたいで退出していった。
「とりあえず防音の魔道具を使うぞ」
魔道具の起動をし、改めて此方に向き直る。
「ククル、あれを作成したのはお前だな。違うかい」
「陛下は何故その様にお考えですか」
「ダックだ」
「む、ダック様は何故その様にお考えですか」
「他人行儀に話すな。寂しいじゃないか」
「はぁ、ダック、ククルが困ってるからやめてやれ」
「あはは、悪い。ついな」
「うー、意地悪」
私は不貞腐れてアイザックにしがみついた。
「すまんすまん。で、実際にはどうなんだ。正直に教えてくれないか」
アイザックの方を除き込むと苦笑いながら頷いたのでダックに向き直り説明した。
「ほう、成る程な。作り方は簡単だが魔力量が途轍もなく必要なのと時間がかなりかかるのか。ククルはもう一度調合するのは可能か」
「ダック、答える前に一つ約束して。私の事は他言しない、利用しないと。だったら出来る範囲は協力するよ。それが約束出来ないなら答えないし協力もしない。無理強いするなら国から出て行くだけだから」
部屋に緊迫した空気ぐ流れる。
こうなるのは最初から予測していてアイザックとも話をし出方次第では隣国に渡るつもりをしていた。
「成る程な、わかった。ククル、6歳だと侮った俺が悪かったな。よし、まずは魔法契約をしよう。ちょっと待ってろ」
ダックは机に向かい何やら書類を準備する。
「これを先に交わそうか」
内容を確認すると先程の私の言い分が書かれている。
アイザックに見せて内容を確認してもらったら問題無いとの事だ。
「わかった。どうしたら良いの?」
下には既にダックが署名を済ませている。そこに私とアイザック、ダック側の証人を一名のサインで契約が成立するとか。
「ダック、良いのかこんな格式の高い契約で。」
「あぉ、大丈夫だ。それ程国にとっても重大な事だからな。そのかわりお願いと言ってはなんだが此方で古代薬の資料を準備するから復元に協力して欲しいのだがどうだろうか」
この国は周辺国に比べてポーションや薬の種類が少なく今は輸入に頼っているとか。
自国での生産に力を入れたいが研究が思う様に進まず、ギルドに依頼するも思った成果が得られてない。
「そうですね、私はあくまでも冒険者です。今は研究中心の生活をする気は無いし、自分のペースで良いのなら引き受けますがあくまでも私の存在は表に出さないで下さい。功績や勲章なんて興味が無いので。アイザックよいかな?」
「ククルはまだ子供なんだし好きにしたら良い。俺は正直仕事をしなくても細々となら生活出来るだけの蓄えがあるから。この先、必要なら素材採取にも付き合うよ。ダック、俺はククルに命を救ってもらった身だ。この子に危険が及ぶのなら相手が誰でも容赦しない。ただ、囲い込んで守る様な事をするつもりもないしこの子に協力するだけだ。」
「わかった。それでも構わん。ただ、報酬を受け取っては貰いたいから古代薬の研究室長には紹介させてくれ。何かと隠れ蓑にも使えるだろ」
「わかりました」
どうやら室長が4人目のサインをしてくれる人との事で今から呼んでくれるらしい。
とりあえずお茶とお菓子を頂きながら待つ事にした。
とりあえずルーズベルト邸にて着替えを済ませて馬車で王城に向かった。
控室に到着すると既にマーサスとマリアント様が部屋にいた。
「おはようございます。マリアント様、マーサス」
「あら、ククルおはようございます。そうやっていると可愛らしい令嬢なのにね」
「おぅ、見違えるな」
マーサスの脛をとりあえず蹴り上げといた。
用意されたお茶を呑みつつ暫く雑談していると近衛騎士が呼びにきたので謁見の間に向かう。
煌びやかな扉の前で一度足を止め、中から呼ばれたのでマリアント様とマーサスに続いて中に入った。
中央で足を止め、カーテシーをする。
「面を上げよ」
陛下の声と共に前を向いた。
宰相が事を進める。
「今回、新たな古代薬を復元できたとの報告があった。薬師ギルド長、説明を」
「はっ」
そこからはマリアント様がどの様に再現したかを説明する。
流れとしては間違いないがやはり細かなところは秘匿する様で端折りながらの説明だ。
「此方がそのポーションになります」
マリアント様が宰相に渡すと宮廷魔術士が鑑定する。
その後、鑑定書の発行できる魔道具に乗せられ概要が明らかになった。
「おお、これは中々だな」
鑑定書を読みつつ陛下も感心する。
「ふむ、でギルド長よこのポーションは生産出来るのか」
「正直に申しますと私でも1日に1本が限界で続けての製作となると失敗するのが目に見えています。」
陛下はポーションを眺め暫く考えている。
「安定してポーションの支給ができないのでは仕方が無いな。ギルド長、引き続き復元に励んでくれ」
これにて謁見は終了した。
陛下が退出し、マリアント様とマーサスもギルドに行く様だ。
「ククル、ありがとうございます。今回の報酬が出たらお知らせしますね」
「はい、ありがとうございます。」
未知の薬やポーションを復元出来ると国から報酬が払われる。
今回はピコの助言があっての事だったので私にも支払われるそうだ。
城を出る前にちょっとお花摘み。
マリアント様達とは扉の前で別れてアイザックには待っててもらう。
「お待たせ、アイザック帰ろう」
「あぁ、ククルそれなんだかな、お呼びの様でもう少し時間大丈夫か。」
「はい、はぁやっぱりか」
騎士に連れられて陛下の執務室にお邪魔した。
「失礼いたします」
「おう、来たか。とりあえず座れや」
アイザックと二人並んでソファに腰を掛け向かいに陛下が座った。
メイドがお茶の準備をし、部屋から退出する。
陛下が騎士にも扉の外で警備すり様伝えたみたいで退出していった。
「とりあえず防音の魔道具を使うぞ」
魔道具の起動をし、改めて此方に向き直る。
「ククル、あれを作成したのはお前だな。違うかい」
「陛下は何故その様にお考えですか」
「ダックだ」
「む、ダック様は何故その様にお考えですか」
「他人行儀に話すな。寂しいじゃないか」
「はぁ、ダック、ククルが困ってるからやめてやれ」
「あはは、悪い。ついな」
「うー、意地悪」
私は不貞腐れてアイザックにしがみついた。
「すまんすまん。で、実際にはどうなんだ。正直に教えてくれないか」
アイザックの方を除き込むと苦笑いながら頷いたのでダックに向き直り説明した。
「ほう、成る程な。作り方は簡単だが魔力量が途轍もなく必要なのと時間がかなりかかるのか。ククルはもう一度調合するのは可能か」
「ダック、答える前に一つ約束して。私の事は他言しない、利用しないと。だったら出来る範囲は協力するよ。それが約束出来ないなら答えないし協力もしない。無理強いするなら国から出て行くだけだから」
部屋に緊迫した空気ぐ流れる。
こうなるのは最初から予測していてアイザックとも話をし出方次第では隣国に渡るつもりをしていた。
「成る程な、わかった。ククル、6歳だと侮った俺が悪かったな。よし、まずは魔法契約をしよう。ちょっと待ってろ」
ダックは机に向かい何やら書類を準備する。
「これを先に交わそうか」
内容を確認すると先程の私の言い分が書かれている。
アイザックに見せて内容を確認してもらったら問題無いとの事だ。
「わかった。どうしたら良いの?」
下には既にダックが署名を済ませている。そこに私とアイザック、ダック側の証人を一名のサインで契約が成立するとか。
「ダック、良いのかこんな格式の高い契約で。」
「あぉ、大丈夫だ。それ程国にとっても重大な事だからな。そのかわりお願いと言ってはなんだが此方で古代薬の資料を準備するから復元に協力して欲しいのだがどうだろうか」
この国は周辺国に比べてポーションや薬の種類が少なく今は輸入に頼っているとか。
自国での生産に力を入れたいが研究が思う様に進まず、ギルドに依頼するも思った成果が得られてない。
「そうですね、私はあくまでも冒険者です。今は研究中心の生活をする気は無いし、自分のペースで良いのなら引き受けますがあくまでも私の存在は表に出さないで下さい。功績や勲章なんて興味が無いので。アイザックよいかな?」
「ククルはまだ子供なんだし好きにしたら良い。俺は正直仕事をしなくても細々となら生活出来るだけの蓄えがあるから。この先、必要なら素材採取にも付き合うよ。ダック、俺はククルに命を救ってもらった身だ。この子に危険が及ぶのなら相手が誰でも容赦しない。ただ、囲い込んで守る様な事をするつもりもないしこの子に協力するだけだ。」
「わかった。それでも構わん。ただ、報酬を受け取っては貰いたいから古代薬の研究室長には紹介させてくれ。何かと隠れ蓑にも使えるだろ」
「わかりました」
どうやら室長が4人目のサインをしてくれる人との事で今から呼んでくれるらしい。
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