上 下
91 / 202
大型ダンジョン第三領、第四領

91.

しおりを挟む
王都に帰ってきて10日程たった。
体調もすっかり戻り、そろそろまたダンジョンに向かいたいところだ。

今回はユイユイまで行き、第三領と第四領の大型ダンジョンに潜る予定。
妖精さんに会える確率がかなりたかい。
今は黄色と緑色、黄緑色と三色の精霊石がはまっているペンダントを眺める。

「ククル、体調はどうだい?」
「すっかり元通りだよ。」
「数日後にまた、出発するか」

私の体調が戻ったので出発日が決まった。
3日後先ずはユイユイに向かう。
そこから先に第三領側にある大型ダンジョンを攻略する。
このダンジョンは大型の中でも比較的攻略が優しくドロップアイテムもランダムで出るらしい。
腕試しにもよく使われているみたいで他に比べたら冒険者の数も多いとか。

出発の朝、ハナがお弁当を持たせてくれたのでお礼を言い、帰る前に連絡すると約束し、旅立った。


シルバー達に跨りユイユイまで馬を走らせる。

野営を挟みつつ街に到着した。

「明日は街で休養して明後日からダンジョンに行くか」

宿で食事を済ませてお風呂に入る。
明日は街をブラブラする予定。
「アイザック、明日ねギルドに行きたいな。」
「構わないぞ。ポーションの買取りか」
「違うよ。ウィンが行きたいって」
今回はウィンが旅のお供なのだが何故かギルドに連れて行けと言う。
「?そうなのか。まあ、行けばわかるか」

そんなこんなで翌日、先ずはギルドに向かった。
流石に肩に座ってると目立つので鞄から顔を覗かせている。

#ククル、あっちあっち#

ウィンに促されて売店に行くと何やら植物の種子が置いてあった。
「こんにちは、これは売り物ですか」
「ん、坊主?お使いか。あぁ、それはな非常食用だ。色んな木の実や食用の種が入ってるぞ。」
どうやらナッツの詰め合わせみたいになっている様で簡単に摘めて安いからと駆け出しの冒険者には人気とか。
ウィンが言うにはノイスから聞いて欲しくなったらしい。
勿論栽培するために。
「アイザック、これ買ってもよい?」
「好きにしたら良いぞ」
幾つ欲しいかウィンに聞くと我が家に二つ、マリアント様のところに一つらしい。
言われた通りに購入し、とりあえず鞄に仕舞った。
その後は市場に行って食料を調達。
色々見て回りながら宿に帰った。

翌日からはダンジョンに向かう。
昼頃には第三領の大型ダンジョンに到着し、中に入った。
他に比べて冒険者もチラホラ見かける。

邪魔をしない様に次の階に向かった。
そのまま夕方までに7階まで進み今日はここで野営する事にした。
安全地帯には何組かの冒険者が居たが他とは距離をとりテントを張った。

外で食事をすると色々面倒そうなのでテント内で過ごす。

「アイザック、ここは最終層まで人が多いのかな?」
「そうだな。他の大型と違って攻略しやすいから大体こんな感じだ」
「じゃあ今回はガル達に遊ばしてあげることが出来ないね」
「そうだな、見送った方が良いだろ。そのかわり次の第四領ダンジョンは難易度が高いから充分遊ばせてやれると思うぞ」
「わかった。じゃあ早いとこ攻略して次に行こうよ」

そうして翌日からはペースを上げた。
一応宝箱などもあるがアイザック曰く珍しいものは入って無いらしい。
妖精のことは気にしつつも普通に攻略を進める事にした。

ダンジョンに入って5日目、37階から上を目指す。
昼頃、40階のボス部屋にたどり着いた。
中には先に挑戦者が入っている様で扉が開かない。
仕方が無いのでここで休憩しつつ順番を待つ事にした。

暫くすると扉が開いたのでアイザックと中に進む。

ここのボスはミノタウロスだった。
「あー、美味しいお肉」
思わず声が漏れてしまったが仕方がない。
お肉がドロップします様にとお願いしながら三体のミノタウロスをアッサリ倒した。
ドロップアイテムはお肉の塊が二つと両腕で抱えなくては持てない位のツノが現れた。
「お、珍しいな。ツノは中々手に入らないぞ」
「そうなんだ。あっ、これ薬の素材になるみたい。」
鑑定して見ると調合素材である事がわかる。
ルンルンと収納に仕舞い部屋から出ようと出口に向かう。が、扉が開いていない事に気がついた。
「あれ?」
「ん、おかしいな」
すると壁に違和感を感じる。
「アイザック、妖精さんが呼んでるみたい」
「ああ、成る程な。気をつけて行くんだぞ」

「はーい」
私は違和感のある壁に手を当てて中に入り込んだ。

相変わらずの綺麗な空間だ。
「こんにちは、愛し子様。私は水の妖精よ。会えて嬉しいの」
「こんにちは。私も嬉しいよ。呼んでくれてありがとう」

妖精さんに誘われて泉に近づく。
「あのね、貴女がこれを探しているって聞いたから」
徐ろに塊を渡されて咄嗟に受け取った。

「うわぁ、プラチナだ。いいの貰っても」
「大丈夫。役に立ててね。でもね一つお願いがあるの。一緒にいるゴーレムちゃんにあのお花咲かせて貰えないかな?」

この子の話ではこないだまで沢山お花が咲いていたのにちょっと居眠りしちゃって枯らしてしまったとか。
頑張って植え直して世話をしているけど土に元気がないらしく育たない。
しょんぼりしている妖精さんが可哀想なのでウィンを呼んでお願いした。

#任せて~#

ウィンが土に降りてなんだか可愛らしい踊りをしている。
すると周りの土がキラキラ光り、見る見るうちにはなが咲き始めた。

「ウィン、凄い」
「キャァ、ありがとう」

嬉しそうに妖精さんが花の周りを飛んでいる。
「今度は居眠りしない様にね」

「はい、本当にありがとうございます。そうだ、これも持って行って」

そう言って水色の石がペンダントにハマった。

「ありがとう。また遊びにきても良いかな」
「うん、また来てね。貴女が戻ったら扉が開くよ。外でお兄さんが待ってるのに引き留めてごめんね。またね」

妖精さんの声が途切れると同時に先程のボス部屋に戻った。
「ククル、おかえり」
「アイザック、ただいま。今回はね水の妖精さんだったよ」
それから壁の中での事を話しつつボス部屋から出て次の階を目指した。


44階の安全地帯に到着。
今日はここで野営をし明日一気に50階まで攻略する。

翌日、順調に進み夕方50階まで到着した。
今朝は他の冒険者とも全く会わなかったのでどうやら今、ここまで進んでいるのは他には居ない様だ。
「ククル、ボス戦は明日にしようか」
「分かった。今日はここまでだね」
ボス部屋の前の安全地帯で野営の準備をする。

他の冒険者が居ないので従魔達を影から出してみんなで夕食を食べた。
少しでも外で遊べて気が済んだのか早々に影に戻って行くので私も寝る事にした。

翌日、ボス戦もあっさり終わらし転移の魔石で入口に戻る。
一度街まで戻り、休養を挟んで次のダンジョンに向かう事にした。
しおりを挟む
感想 125

あなたにおすすめの小説

おばあちゃん(28)は自由ですヨ

七瀬美緒
ファンタジー
異世界召喚されちゃったあたし、梅木里子(28)。 その場には王子らしき人も居たけれど、その他大勢と共にもう一人の召喚者ばかりに話し掛け、あたしの事は無視。 どうしろっていうのよ……とか考えていたら、あたしに気付いた王子らしき人は、あたしの事を鼻で笑い。 「おまけのババアは引っ込んでろ」 そんな暴言と共に足蹴にされ、あたしは切れた。 その途端、響く悲鳴。 突然、年寄りになった王子らしき人。 そして気付く。 あれ、あたし……おばあちゃんになってない!? ちょっと待ってよ! あたし、28歳だよ!? 魔法というものがあり、魔力が最も充実している年齢で老化が一時的に止まるという、謎な法則のある世界。 召喚の魔法陣に、『最も力――魔力――が充実している年齢の姿』で召喚されるという呪が込められていた事から、おばあちゃんな姿で召喚されてしまった。 普通の人間は、年を取ると力が弱くなるのに、里子は逆。年を重ねれば重ねるほど力が強大になっていくチートだった――けど、本人は知らず。 自分を召喚した国が酷かったものだからとっとと出て行き(迷惑料をしっかり頂く) 元の姿に戻る為、元の世界に帰る為。 外見・おばあちゃんな性格のよろしくない最強主人公が自由気ままに旅をする。 ※気分で書いているので、1話1話の長短がバラバラです。 ※基本的に主人公、性格よくないです。言葉遣いも余りよろしくないです。(これ重要) ※いつか恋愛もさせたいけど、主人公が「え? 熟女萌え? というか、ババ專!?」とか考えちゃうので進まない様な気もします。 ※こちらは、小説家になろう、カクヨムにも投稿しています。

システムバグで輪廻の輪から外れましたが、便利グッズ詰め合わせ付きで他の星に転生しました。

大国 鹿児
ファンタジー
輪廻転生のシステムのバグで輪廻の輪から外れちゃった! でも神様から便利なチートグッズ(笑)の詰め合わせをもらって、 他の星に転生しました!特に使命も無いなら自由気ままに生きてみよう! 主人公はチート無双するのか!? それともハーレムか!? はたまた、壮大なファンタジーが始まるのか!? いえ、実は単なる趣味全開の主人公です。 色々な秘密がだんだん明らかになりますので、ゆっくりとお楽しみください。 *** 作品について *** この作品は、真面目なチート物ではありません。 コメディーやギャグ要素やネタの多い作品となっております 重厚な世界観や派手な戦闘描写、ざまあ展開などをお求めの方は、 この作品をスルーして下さい。 *カクヨム様,小説家になろう様でも、別PNで先行して投稿しております。

裏の林にダンジョンが出来ました。~異世界からの転生幼女、もふもふペットと共に~

あかる
ファンタジー
私、異世界から転生してきたみたい? とある田舎町にダンジョンが出来、そこに入った美優は、かつて魔法学校で教師をしていた自分を思い出した。 犬と猫、それと鶏のペットと一緒にダンジョンと、世界の謎に挑みます!

(完結)もふもふと幼女の異世界まったり旅

あかる
ファンタジー
死ぬ予定ではなかったのに、死神さんにうっかり魂を狩られてしまった!しかも証拠隠滅の為に捨てられて…捨てる神あれば拾う神あり? 異世界に飛ばされた魂を拾ってもらい、便利なスキルも貰えました! 完結しました。ところで、何位だったのでしょう?途中覗いた時は150~160位くらいでした。応援、ありがとうございました。そのうち新しい物も出す予定です。その時はよろしくお願いします。

異世界あるある 転生物語  たった一つのスキルで無双する!え?【土魔法】じゃなくって【土】スキル?

よっしぃ
ファンタジー
農民が土魔法を使って何が悪い?異世界あるある?前世の謎知識で無双する! 土砂 剛史(どしゃ つよし)24歳、独身。自宅のパソコンでネットをしていた所、突然轟音がしたと思うと窓が破壊され何かがぶつかってきた。 自宅付近で高所作業車が電線付近を作業中、トラックが高所作業車に突っ込み運悪く剛史の部屋に高所作業車のアームの先端がぶつかり、そのまま窓から剛史に一直線。 『あ、やべ!』 そして・・・・ 【あれ?ここは何処だ?】 気が付けば真っ白な世界。 気を失ったのか?だがなんか聞こえた気がしたんだが何だったんだ? ・・・・ ・・・ ・・ ・ 【ふう・・・・何とか間に合ったか。たった一つのスキルか・・・・しかもあ奴の元の名からすれば土関連になりそうじゃが。済まぬが異世界あるあるのチートはない。】 こうして剛史は新た生を異世界で受けた。 そして何も思い出す事なく10歳に。 そしてこの世界は10歳でスキルを確認する。 スキルによって一生が決まるからだ。 最低1、最高でも10。平均すると概ね5。 そんな中剛史はたった1しかスキルがなかった。 しかも土木魔法と揶揄される【土魔法】のみ、と思い込んでいたが【土魔法】ですらない【土】スキルと言う謎スキルだった。 そんな中頑張って開拓を手伝っていたらどうやら領主の意に添わなかったようで ゴウツク領主によって領地を追放されてしまう。 追放先でも土魔法は土木魔法とバカにされる。 だがここで剛史は前世の記憶を徐々に取り戻す。 『土魔法を土木魔法ってバカにすんなよ?異世界あるあるな前世の謎知識で無双する!』 不屈の精神で土魔法を極めていく剛史。 そしてそんな剛史に同じような境遇の人々が集い、やがて大きなうねりとなってこの世界を席巻していく。 その中には同じく一つスキルしか得られず、公爵家や侯爵家を追放された令嬢も。 前世の記憶を活用しつつ、やがて土木魔法と揶揄されていた土魔法を世界一のスキルに押し上げていく。 但し剛史のスキルは【土魔法】ですらない【土】スキル。 転生時にチートはなかったと思われたが、努力の末にチートと言われるほどスキルを活用していく事になる。 これは所持スキルの少なさから世間から見放された人々が集い、ギルド『ワンチャンス』を結成、努力の末に世界一と言われる事となる物語・・・・だよな? 何故か追放された公爵令嬢や他の貴族の令嬢が集まってくるんだが? 俺は農家の4男だぞ?

加護とスキルでチートな異世界生活

どど
ファンタジー
高校1年生の新崎 玲緒(にいざき れお)が学校からの帰宅中にトラックに跳ねられる!? 目を覚ますと真っ白い世界にいた! そこにやってきた神様に転生か消滅するかの2択に迫られ転生する! そんな玲緒のチートな異世界生活が始まる 初めての作品なので誤字脱字、ストーリーぐだぐだが多々あると思いますが気に入って頂けると幸いです ノベルバ様にも公開しております。 ※キャラの名前や街の名前は基本的に私が思いついたやつなので特に意味はありません

一緒に異世界転生した飼い猫のもらったチートがやばすぎた。もしかして、メインは猫の方ですか、女神様!?

たまご
ファンタジー
 アラサーの相田つかさは事故により命を落とす。  最期の瞬間に頭に浮かんだのが「猫達のごはん、これからどうしよう……」だったせいか、飼っていた8匹の猫と共に異世界転生をしてしまう。  だが、つかさが目を覚ます前に女神様からとんでもチートを授かった猫達は新しい世界へと自由に飛び出して行ってしまう。  女神様に泣きつかれ、つかさは猫達を回収するために旅に出た。  猫達が、世界を滅ぼしてしまう前に!! 「私はスローライフ希望なんですけど……」  この作品は「小説家になろう」さん、「エブリスタ」さんで完結済みです。  表紙の写真は、モデルになったうちの猫様です。

異世界召喚失敗から始まるぶらり旅〜自由気ままにしてたら大変なことになった〜

ei_sainome
ファンタジー
クラスメイト全員が異世界に召喚されてしまった! 謁見の間に通され、王様たちから我が国を救って欲しい云々言われるお約束が…始まらない。 教室内が光ったと思えば、気づけば地下に閉じ込められていて、そこには誰もいなかった。 勝手に召喚されたあげく、誰も事情を知らない。未知の世界で、自分たちの力だけでどうやって生きていけというのか。 元の世界に帰るための方法を探し求めて各地を放浪する旅に出るが、似たように見えて全く異なる生態や人の価値観と文化の差に苦悩する。 力を持っていても順応できるかは話が別だった。 クラスメイトたちにはそれぞれ抱える内面や事情もあり…新たな世界で心身共に表面化していく。 ※ご注意※ 初投稿、試作、マイペース進行となります。 作品名は今後改題する可能性があります。 世界観だけプロットがあり、話の方向性はその場で決まります。 旅に出るまで(序章)がすごく長いです。 他サイトでも同作を投稿しています。 更新頻度は1〜3日程度を目標にしています。

処理中です...