転生テイマー、異世界生活を楽しむ

さっちさん

文字の大きさ
上 下
68 / 202
ふたたび王都へ

68.

しおりを挟む
私は初めてのお城に少し緊張している。
おじいちゃんにエスコートと言うよりは手を引いてもらい中に入った。
公爵の入場まではまだ時間があるので一旦控室に行く。

ソファで緊張しながら座っているとワグリアナ一家が現れた。
「ルーズベルト公爵、失礼してもよろしいか」
「これはワグリアナ公爵、中にどうぞ」
ゴーライク様、ナタリア様、タニット様、ヤルバルト様、アイザックが入ってきた。
みんな各々挨拶をし、此方に向き直る。
「ククルちゃん、こんばんは。まあまあ可愛らしい事」
ナタリア様が一番乗りで褒めてくれる。
「カイザーが見たら腰を抜かしそうだな」
そういえば私が女の子な事自体言ってなかった。
「後で顔を合わすと思うわよ。」
ナタリア様まで面白がっている。
アストラ、カイザー、ランデク、リック、ナリタと5人ともが揃っている様だ。
ちなみにレオン団長にトーマスも来ている。ガキに囲まれない様気をつけよう。

また後でとワグリアナ一家は退室していった。
ボチボチ入場の時間となったのでおじいちゃんと扉に向かう。
中から声が聞こえた。
「ヒストラル・ルーズベルト公爵、ククル・ルーズベルト嬢、御入場」

ザワザワと一緒声がして静まり帰った。
おじいちゃんに手を引かれながら会場に足を踏み入れると周りからの視線が痛い。
基本、大人しくできない子供は王族の入場後に改めて入ってくる。私位の子供で入場するのは珍しい。
緊張しながらもゆっくりと足を進め、第七領の区画に到着した。
第一領から順番に入場する為、私達が公爵では一番最後だ。
この後は唯一の大公が入場され、王族が入場する。
おじいちゃんから王族への挨拶が済んだらアイザックが来てくれると聞いているのでもう少しの辛抱だ。

暫くすると王族が入場し、挨拶が始まった。
まるで高校の入学式の様でとりあえず話が長い。
漸く終わって乾杯となり顔見せの挨拶の為、陛下の元へ向かった。
「陛下、新年のご挨拶に伺いました。本年も良きに勤めさせて頂きます」
「ふむ、今年も頼むぞ。して、そこの幼な子は?」
「はい、実はダリアの子が生きておりました。アイザック・ワグリアナが保護してくれておりまして無事出会う事が出来ましたので本日紹介をと連れて参りました」
「陛下、お初にお目にかかります。ククル・ルーズベルトと申します」
「ほお、小さいのにしっかりした子だ。年はいくつだ」
「はい、5歳にございます。」
「それはそれは。ヒストラルと共に暮らしているのか」
「いえ、私はアイザック・ワグリアナと共に冒険者として旅をしております。」
「おおっ、其方が噂のアイザックの仲間か。ここまでその噂、飛び交っておるぞ。なんでも珍しい従魔を連れているとか。わしに見せてもらうことはできるか」
「はい、しかし今この場でお見せすると少々大騒ぎになるかと思いますが、、」
「確かにな。後程、呼び立ててもよいか」
「はい、仰せのままに」
このタイミングで御前を失礼した。
おかしい。ガル達を紹介する事になった。何故だ?
「おじいちゃん、なんでガル達を紹介する事になったんだろう?」
「はは、陛下はああ見えてテイマーなんだよ。興味深いんだろ。その腕の翠に目が釘付けだったしな」
どうやらホワイトパンサーでは無くグリーンスネイクがみたい様だ。
まっ。いっか。
暫くしたらアイザックが来たので先程の出来事を話し、後程呼ばれる事も伝えた。
「はぁ、なんでそうなる」
頭を抱えて唸っている。

王族が休憩の為、一時退室する様だ。すると近衛騎士が私を呼びに来た。
「ククル様、陛下がお呼びです」
「わかりました。アイザックも一緒で良いですか」
「大丈夫ですよ。どうぞ此方に」
正面では無い出入り口から出て、騎士の後をついていく。
時々、ちゃんとついて来れているか確認してくれるのが優しい。

とある一室にたどり着いた。
中に促されて入ると謁見の間だった。
「わざわざ呼び出して悪かったな。楽にしてくれ」
「失礼します」
「アイザックも悪いな」
「ご無沙汰しております。構いませんよ。いつもの事ですから」
「そう言うな。ククル、其方も他の者が居ない時は畏まらなくて良いぞ。未だにお忍びで冒険者をしてるからな。わしも」
「へっ」
思わず変な声が出た。
「ククル、だからこそ外での知らずが通るんだ。王族の殆どが冒険者だからな」
成る程。この国にはそんな事情があったのか。初めて知った。
「で、陛下は何が見たいのですか」
「ダックエルだ。ダックで良いぞ」
それは呼び方かしら?
「陛下と呼ぶな。ダックで良い」
「あ、はい。ダックさんは何が見たいのですか?」
「その、腕の子を見せてくれ」
おじいちゃんの言う通り翠目当てだった。
「ダックさんもテイマーって聞いたんですがどんな子が仲間ですか?」
「俺はな、シルバーウルフとバトルホースだ。馬っこは外にいるから無理だがシルバーウルフならここにいるぞ」
ダックさんの影から雪の結晶の様に綺麗な狼が出てきた。
「こいつはスノーだ。」
「凄く綺麗な子ですね。私のこの子は翠です」
翠が鎌首を上げる。
「うぉー、触っても良いか」
すると腕から外れてダックさんの方にスルスル登っていった。
声にならない声を漏らして両手に乗せている。
「俺もこいつが欲しかったんだが見事に捕まらんかった。どうやって仲間にしたんだ?」
「えっ、その子からよって来たよ」
「それ、ズルい。たまにいるんだ。好かれる子。羨ましい」
「ダック、俺もついに従魔ができたんだ。」
クロイスを影から出したアイザック。狼達はお互いが気になるのか鼻先をつけて匂いを嗅いでいる。
「なに、ブラックウルフじゃないか。」
羨ましそうにクロイスを眺めている。
恐らくだがガル達を出したら大騒ぎになりそうだ。
しおりを挟む
感想 125

あなたにおすすめの小説

アラヒフおばさんのゆるゆる異世界生活

ゼウママ
ファンタジー
50歳目前、突然異世界生活が始まる事に。原因は良く聞く神様のミス。私の身にこんな事が起こるなんて…。 「ごめんなさい!もう戻る事も出来ないから、この世界で楽しく過ごして下さい。」と、言われたのでゆっくり生活をする事にした。 現役看護婦の私のゆっくりとしたどたばた異世界生活が始まった。 ゆっくり更新です。はじめての投稿です。 誤字、脱字等有りましたらご指摘下さい。

領主にならないとダメかなぁ。冒険者が良いんです本当は。

さっちさん
ファンタジー
アズベリー領のミーナはとある事情により両親と旅をしてきた。 しかし、事故で両親を亡くし、実は領主だった両親の意志を幼いながらに受け継ぐため、一人旅を続ける事に。 7歳になると同時に叔父様を通して王都を拠点に領地の事ととある事情の為に学園に通い、知識と情報を得る様に言われた。 ミーナも仕方なく、王都に向かい、コレからの事を叔父と話をしようと動き出したところから始まります。 ★作品を読んでくださった方ありがとうございます。不定期投稿とはなりますが一生懸命進めていく予定です。 皆様応援よろしくお願いします

(完結)もふもふと幼女の異世界まったり旅

あかる
ファンタジー
死ぬ予定ではなかったのに、死神さんにうっかり魂を狩られてしまった!しかも証拠隠滅の為に捨てられて…捨てる神あれば拾う神あり? 異世界に飛ばされた魂を拾ってもらい、便利なスキルも貰えました! 完結しました。ところで、何位だったのでしょう?途中覗いた時は150~160位くらいでした。応援、ありがとうございました。そのうち新しい物も出す予定です。その時はよろしくお願いします。

転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】

ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった 【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。 累計400万ポイント突破しました。 応援ありがとうございます。】 ツイッター始めました→ゼクト  @VEUu26CiB0OpjtL

異世界でゆるゆるスローライフ!~小さな波乱とチートを添えて~

イノナかノかワズ
ファンタジー
 助けて、刺されて、死亡した主人公。神様に会ったりなんやかんやあったけど、社畜だった前世から一転、ゆるいスローライフを送る……筈であるが、そこは知識チートと能力チートを持った主人公。波乱に巻き込まれたりしそうになるが、そこはのんびり暮らしたいと持っている主人公。波乱に逆らい、世界に名が知れ渡ることはなくなり、知る人ぞ知る感じに収まる。まぁ、それは置いといて、主人公の新たな人生は、温かな家族とのんびりした自然、そしてちょっとした研究生活が彩りを与え、幸せに溢れています。  *話はとてもゆっくりに進みます。また、序盤はややこしい設定が多々あるので、流しても構いません。  *他の小説や漫画、ゲームの影響が見え隠れします。作者の願望も見え隠れします。ご了承下さい。  *頑張って週一で投稿しますが、基本不定期です。  *無断転載、無断翻訳を禁止します。   小説家になろうにて先行公開中です。主にそっちを優先して投稿します。 カクヨムにても公開しています。 更新は不定期です。

チート幼女とSSSランク冒険者

紅 蓮也
ファンタジー
【更新休止中】 三十歳の誕生日に通り魔に刺され人生を終えた小鳥遊葵が 過去にも失敗しまくりの神様から異世界転生を頼まれる。 神様は自分が長々と語っていたからなのに、ある程度は魔法が使える体にしとく、無限収納もあげるといい、時間があまり無いからさっさと転生しちゃおっかと言いだし、転生のため光に包まれ意識が無くなる直前、神様から不安を感じさせる言葉が聞こえたが、どうする事もできない私はそのまま転生された。 目を開けると日本人の男女の顔があった。 転生から四年がたったある日、神様が現れ、異世界じゃなくて地球に転生させちゃったと・・・ 他の人を新たに異世界に転生させるのは無理だからと本来行くはずだった異世界に転移することに・・・ 転移するとそこは森の中でした。見たこともない魔獣に襲われているところを冒険者に助けられる。 そして転移により家族がいない葵は、冒険者になり助けてくれた冒険者たちと冒険したり、しなかったりする物語 ※この作品は小説家になろう様、カクヨム様、ノベルバ様、エブリスタ様でも掲載しています。

30代社畜の私が1ヶ月後に異世界転生するらしい。

ひさまま
ファンタジー
 前世で搾取されまくりだった私。  魂の休養のため、地球に転生したが、地球でも今世も搾取されまくりのため魂の消滅の危機らしい。  とある理由から元の世界に戻るように言われ、マジックバックを自称神様から頂いたよ。  これで地球で買ったものを持ち込めるとのこと。やっぱり夢ではないらしい。  取り敢えず、明日は退職届けを出そう。  目指せ、快適異世界生活。  ぽちぽち更新します。  作者、うっかりなのでこれも買わないと!というのがあれば教えて下さい。  脳内の空想を、つらつら書いているのでお目汚しな際はごめんなさい。

女神の代わりに異世界漫遊  ~ほのぼの・まったり。時々、ざまぁ?~

大福にゃここ
ファンタジー
目の前に、女神を名乗る女性が立っていた。 麗しい彼女の願いは「自分の代わりに世界を見て欲しい」それだけ。 使命も何もなく、ただ、その世界で楽しく生きていくだけでいいらしい。 厳しい異世界で生き抜く為のスキルも色々と貰い、食いしん坊だけど優しくて可愛い従魔も一緒! 忙しくて自由のない女神の代わりに、異世界を楽しんでこよう♪ 13話目くらいから話が動きますので、気長にお付き合いください! 最初はとっつきにくいかもしれませんが、どうか続きを読んでみてくださいね^^ ※お気に入り登録や感想がとても励みになっています。 ありがとうございます!  (なかなかお返事書けなくてごめんなさい) ※小説家になろう様にも投稿しています

処理中です...