転生テイマー、異世界生活を楽しむ

さっちさん

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ネクネクへ

26.

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「お世話になりました」
今日はアイザックの実家を出発する日だ。
「父さん、母さんまた、しばらく留守にします」
「あぁ、気をつけ。ククルもまたおいで」
「アイザックさん、ククルちゃんをよろしくね。貴女もまた、いつでもいらっしゃい」
みんなに見送ってもらいアイザックと出発した。
ルートとしては王都に一度行き、そこから第七領を目指す。
王都までが約10日間、そこから王都内の移動で2日間、第七領に入ってからネクネクまでがさらに3日間と真っ直ぐ向かっても結構な日数がかかる。
とりあえずは今いる第二領のカタカタからキマキマを目指す。馬で二日程の行程だ。
「今日は野営になるからな」
「はーい。テントも久しぶりだな」
街道を行かずに森を抜けている。
薬草を採取したり魔物を倒して素材を回収したりとのんびり旅をする。
今日はガルも大きくなってシルバー達に並走している。
少し開けた場所に出たのでそこでお昼休憩をする事にした。
のんびりご飯を食べているとガルが急に立ち上がった。
#何か近づいて来る。襲ってはこないかな#
「アイザック、何か近づいてくるみたい。襲ってはこないってガルは言ってるけど」
2人でガルの視線の先を見張っていると緑のエンジェルスライムが現れた。
ミニスライムに羽のあるとても愛らしい見た目の魔物だ。
「また、珍しい物が寄ってきたな」
アイザックも呆れつつ見入っている。
「可愛い。何処から来たんだろう。」
ふよふよ飛びながら近づいて来たので手を差し出すと手の平に止まった。
「アイザック、可愛いよ。この子。」
くるんとした瞳でこちらの様子を伺うものだから思わず騒いでしまった。
#この子、仲間とはぐれたみたい#
プル曰く、いつの間にか仲間の姿が無くなってしまって慌てて気配を探ったらこっちにスライムの気配があったので寄って来たとか。プルが呼び寄せた様だ。
「そっか、1人じゃ大変だね。一緒についてくる?」
#行きたいって#
「よし、じゃああなたの名前はプヨだよ。よろしくね」
額に契約紋が集まる。
#1人で寂しかった。ありがとう#
またもや仲間が増えた。アイザックはもはや細かい事は気にしないと割り切っている。
プルにプヨがスリスリしている。とても可愛らしい。どうやら一緒にポケットに入るらしい。少し狭いと思うので前にプルが入っていた巾着を出して腰に下げると二匹揃って入っていった。
「はは、仲良しみたいだな」
微笑ましい光景に思わず笑顔になる。
「緑のエンジェルスライムという事は薬の調合ができるはず。今晩でも試してみるね」
多分、モコとプヨを薬草の前に置いたら勝手に薬が出来る。楽しそうだ。

休憩も終了したのでまた、ひたすら森を進んだ。
「今日はここまでにするか」
アイザックがシッコクを止めて周りを確認している。
私は収納からテントを出して野営の準備をした。
夕食を作り、従魔達も一緒にワイワイ騒ぐ。アイザックには言葉が分からないがなんとなく雰囲気で察しがつく様だ。
「アイザックもテイム出来る子がいたら良いのにね。無理なのかな」
「どうだろう。実際はテイムした事がないこら分からん。」
「うんとね、モコが言うには魔力の質の相性の良い子だったら契約できるみたいだよ。私の場合は魔力の質が魔物の好む物みたいで向こうから寄ってくるみたい」
モコに教えてくれてありがとうと撫でてやると気持ち良さそうに目を細める。
その後、今日は大きいままでガルが魔物が寄ってこない様にしてくれるとの事なのでテントでゆっくり休む事にした。
夕食後、テントの中でモコとプヨを薬草の前に置いてみた。
2人とも可愛らしく此方を向いてないている。
モコには薬の材料をプヨには調合を指示する。
するとまずはモコが薬草を必要なだけ取り出している。
入れるものを探しているのでスープ皿を出しておく。
次にプヨがお皿の中に入っていった。
綺麗な緑色の光に皿が包まれる。
光が止むとお皿の中に薬が出来ていた。
「アイザックみてみて、薬が出来たよ」
鑑定してみるとちゃんとした薬だ。製作者がプヨになってるのを確認した。
「確かに薬だな。すごいな。これは」
アイザックも感心しながら眺めている。
薬瓶を出すとプヨが一度薬を身体に取り込む様に包み、瓶に移し替えた。
その後も二匹の協力で薬が出来上がっていく。結局、60個の薬ができたところで終了となり一回の作業で瓶一本分が作れることが判明した。
それを収納にしまい、二匹を労う。とても嬉しそうだ。
戯れているうちに眠たくなって来たのでアイザックにおやすみの挨拶をして就寝した。
翌朝テントから出ると数匹の魔物が結界に弾かれたのかガルにやられたのか周りに転がっていたので回収する。
朝食を準備していたらアイザックも出て来たので魔物の事を説明し、朝食を食べる事にした。
片付けを済ませてその場から出発する。このペースだと夕方には街に到着するだろうとの事なのでがんばって進む事にした。
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