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旅立ち
9.
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ギルマスとの話が終わったので宿にかえる。夕食まで少し時間があるので部屋で寛ぐことにした。
ここの宿は各部屋にお風呂がついているので先に汗を流す事にした。アイザックと順番にお風呂を済ませて食堂に降りる。夕食を食べながらアイザックとたわいも無い話をする。
「ククルはまだ、5歳だろ。そろそろねる時間だ。部屋に帰るか」
お腹が膨れてくると瞼が落ちてくる。
席から立ち上がりフラフラ階段に向かうとアイザックに抱き上げられた。
「危なかっかしくてみてられん」
抱っこしてもらって部屋まで戻りそのままベッドに下ろしてもらう。
「おやすみなさい」
直ぐに眠りについた。
夢を見た。前世の20代の頃のだ。まだ、病気も発症してなくて趣味や仕事に走り回っていた頃だ。私は前世では調理の仕事をしていた。子供の頃から台所が大好きでお菓子を作ったり料理をしたり趣味を仕事にしたのだ。他にも色んな事にチャレンジした。運動神経も人並み以上にはあり手先も器用な方で物作りもよくした。これといって極めた物は無かったのだが。
育ててくれた祖母が笑ってた。
二十代前半で結婚もしたが折りが合わず数年で離婚した。それでも温かく見守ってくれた祖母。とても優しい方だった。亡くなったのも急でとても寂しい思いをした。それから人と深く関わるのが怖くなって広く浅くの付き合いが殆どになった。唯一気兼ねする事なく付き合いがあったのが幼馴染だった。
あの子が結婚と同時に離れた所に引っ越したが数ヶ月に一度はお互い行き来し交流は続いていた。入院してからも何度かお見舞いに来てくれたが今までのことを心から感謝を述べたら大泣きされた。病室を出る頃には笑顔でまた来ると言ってくれたがその次の日に私は死んだのだ。
目が覚めた。なんでこんな夢を見たのだろうか。此方で気がついてから前世の事なんて一度も考え無かったのに。
起きあがろうとしたら頭を撫でられた。
「どうした。怖い夢でも見たか」
アイザックの声がしたので其方を見ようとしたが視界が霞む。どうやら泣いてる様だ。自分でも、初めて気が付いた。
アイザックにしがみついたら抱っこしてくれたのでそのまま静かに泣いた。
あぁ、寂しかったんだ。長い間1人だったから。この人ともいつか別れがあるかも知れないけど今は甘えていよう。
一通り泣いたらまた眠たくなってきた。それに気がついた彼はトントンと背中を叩いてアヤしてくれている。
「もう少し寝たら良い」
その言葉を遠くにもう一度眠りについた。
翌朝、スッキリと目が覚めた。
「おはよう」
アイザックはもうおきていた様でこちらに気がついた。
「おはよう、あの、昨日はありがとう。もう大丈夫」
泣いた事がちょっと恥ずかしかったがお礼を言った
「そか。朝飯にするか」
軽く流してくれたのでホッとしながら支度をし揃って食堂におりた。
今日は昨日ギルマスからの依頼を受けるとか。早いとこ終わらしてゆっくりしようとの事だ。
食後、そのまま出かける事にした。
とりあえずシルバーとシッコクに乗って昨日の場所まで行き、さらに泉に向かった。
昼には到着したのでとりあえず昼食を取る。食後、泉の調査を行った。
「何かわかった?」
アイザックが難しい顔で水面を見ているのできいてみる。
「恐らくだが毒をはく魔物が住み着いたのだろう。水の中から気配を感じるが討伐するにも水中だしな。さてどうしようか」
「それを倒したら元に戻るの」
「あぁ、倒したら泉を浄化すれば大丈夫だ。」
「ちょっと試してみたい事があるんだけどやってみても良いかな?」
この世界には電気と言う観念がないからか雷を魔法で作るというのが普通は無理らしい。頭に流れてくる常識はそう言っているが多分私には泉に雷を落とすことができる。感電させて意識を刈ってしまえば浮いてくるだろうから陸に上げてトドメを刺してしまえば良いのでは無いかと考えたのだ。
アイザックからお許しが出たので水際から少し下がってもらって両手で雷の魔法を練る。直径20センチ程の雷玉が出来たので泉の真ん中辺りに掘り込んだ。
水面に雷が落ちると同時に大きな光が一気に広がった。ちょっと眩しかったので目を細めていると後から抱き上げられた。
「いきなりビックリするだろ。一体何をしたんだい」
ちょっぴり怒り気味のアイザックに一瞬ビクッとなりつつ私の考えを伝えた。
「中々面白い発想だが今度からは実行する前に教えてくれ。余程どで無い限り止めはしないが心の準備くらいはさせてくれ」
やっぱり怒られちゃったので「はい」とだけ元気に返事しておいた。
そのまま水面の方を見ると大小様々な魚が浮いている中に一匹だけ3メートルはあろう魚の魔物の姿があった。
「あれを魔法で陸にあげるからトドメはお願いね」
そう言って下におろしてもらい風魔法で持ち上げて陸に掘り出した。
後はアイザックが処理してくるた。
次に泉を浄化しようかと尋ねるとそこまでしたら後々面倒だからギルドにやってもらうから良いよと言われた。
この歳であまり色々出来るのを知られたら厄介事しか無いのだとか。
それを聞いてしまったらこれ以上手を出す気にはならないのでそのままにしておく事にした。
魔物はギルドに報告する為、そのまま持ち帰ることになった。
このサイズならアイザックの鞄に入るとのことなので持ち運びもお願いした。
後はギルドに報告したら終了。とりあえず街にもどる事にした。
ここの宿は各部屋にお風呂がついているので先に汗を流す事にした。アイザックと順番にお風呂を済ませて食堂に降りる。夕食を食べながらアイザックとたわいも無い話をする。
「ククルはまだ、5歳だろ。そろそろねる時間だ。部屋に帰るか」
お腹が膨れてくると瞼が落ちてくる。
席から立ち上がりフラフラ階段に向かうとアイザックに抱き上げられた。
「危なかっかしくてみてられん」
抱っこしてもらって部屋まで戻りそのままベッドに下ろしてもらう。
「おやすみなさい」
直ぐに眠りについた。
夢を見た。前世の20代の頃のだ。まだ、病気も発症してなくて趣味や仕事に走り回っていた頃だ。私は前世では調理の仕事をしていた。子供の頃から台所が大好きでお菓子を作ったり料理をしたり趣味を仕事にしたのだ。他にも色んな事にチャレンジした。運動神経も人並み以上にはあり手先も器用な方で物作りもよくした。これといって極めた物は無かったのだが。
育ててくれた祖母が笑ってた。
二十代前半で結婚もしたが折りが合わず数年で離婚した。それでも温かく見守ってくれた祖母。とても優しい方だった。亡くなったのも急でとても寂しい思いをした。それから人と深く関わるのが怖くなって広く浅くの付き合いが殆どになった。唯一気兼ねする事なく付き合いがあったのが幼馴染だった。
あの子が結婚と同時に離れた所に引っ越したが数ヶ月に一度はお互い行き来し交流は続いていた。入院してからも何度かお見舞いに来てくれたが今までのことを心から感謝を述べたら大泣きされた。病室を出る頃には笑顔でまた来ると言ってくれたがその次の日に私は死んだのだ。
目が覚めた。なんでこんな夢を見たのだろうか。此方で気がついてから前世の事なんて一度も考え無かったのに。
起きあがろうとしたら頭を撫でられた。
「どうした。怖い夢でも見たか」
アイザックの声がしたので其方を見ようとしたが視界が霞む。どうやら泣いてる様だ。自分でも、初めて気が付いた。
アイザックにしがみついたら抱っこしてくれたのでそのまま静かに泣いた。
あぁ、寂しかったんだ。長い間1人だったから。この人ともいつか別れがあるかも知れないけど今は甘えていよう。
一通り泣いたらまた眠たくなってきた。それに気がついた彼はトントンと背中を叩いてアヤしてくれている。
「もう少し寝たら良い」
その言葉を遠くにもう一度眠りについた。
翌朝、スッキリと目が覚めた。
「おはよう」
アイザックはもうおきていた様でこちらに気がついた。
「おはよう、あの、昨日はありがとう。もう大丈夫」
泣いた事がちょっと恥ずかしかったがお礼を言った
「そか。朝飯にするか」
軽く流してくれたのでホッとしながら支度をし揃って食堂におりた。
今日は昨日ギルマスからの依頼を受けるとか。早いとこ終わらしてゆっくりしようとの事だ。
食後、そのまま出かける事にした。
とりあえずシルバーとシッコクに乗って昨日の場所まで行き、さらに泉に向かった。
昼には到着したのでとりあえず昼食を取る。食後、泉の調査を行った。
「何かわかった?」
アイザックが難しい顔で水面を見ているのできいてみる。
「恐らくだが毒をはく魔物が住み着いたのだろう。水の中から気配を感じるが討伐するにも水中だしな。さてどうしようか」
「それを倒したら元に戻るの」
「あぁ、倒したら泉を浄化すれば大丈夫だ。」
「ちょっと試してみたい事があるんだけどやってみても良いかな?」
この世界には電気と言う観念がないからか雷を魔法で作るというのが普通は無理らしい。頭に流れてくる常識はそう言っているが多分私には泉に雷を落とすことができる。感電させて意識を刈ってしまえば浮いてくるだろうから陸に上げてトドメを刺してしまえば良いのでは無いかと考えたのだ。
アイザックからお許しが出たので水際から少し下がってもらって両手で雷の魔法を練る。直径20センチ程の雷玉が出来たので泉の真ん中辺りに掘り込んだ。
水面に雷が落ちると同時に大きな光が一気に広がった。ちょっと眩しかったので目を細めていると後から抱き上げられた。
「いきなりビックリするだろ。一体何をしたんだい」
ちょっぴり怒り気味のアイザックに一瞬ビクッとなりつつ私の考えを伝えた。
「中々面白い発想だが今度からは実行する前に教えてくれ。余程どで無い限り止めはしないが心の準備くらいはさせてくれ」
やっぱり怒られちゃったので「はい」とだけ元気に返事しておいた。
そのまま水面の方を見ると大小様々な魚が浮いている中に一匹だけ3メートルはあろう魚の魔物の姿があった。
「あれを魔法で陸にあげるからトドメはお願いね」
そう言って下におろしてもらい風魔法で持ち上げて陸に掘り出した。
後はアイザックが処理してくるた。
次に泉を浄化しようかと尋ねるとそこまでしたら後々面倒だからギルドにやってもらうから良いよと言われた。
この歳であまり色々出来るのを知られたら厄介事しか無いのだとか。
それを聞いてしまったらこれ以上手を出す気にはならないのでそのままにしておく事にした。
魔物はギルドに報告する為、そのまま持ち帰ることになった。
このサイズならアイザックの鞄に入るとのことなので持ち運びもお願いした。
後はギルドに報告したら終了。とりあえず街にもどる事にした。
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