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1章

34.

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「【紫】の皆様、ようこそおいで下さいました。そちらの方、はじめまして。私、マースの管理を任されておりますトーマス・マースと申します」
「あ、はじめまして。タントスです」
「タントス様、大したモテナシは出来ませんがどうぞ出発までゆっくりお過ごし下さい。皆様もお部屋にご案内致しますね。いつもの様にミーナ様は女性ですし、別の階にお部屋をご準備させて頂いてます」
流石だ。スラスラと説明して私をタントスから離してくれている
アルト達は2階の客間に案内され私は3階の自室に向かった。
執務室に入りトーマスと向き合う。
「ご無沙汰しております。この度はありがとうございました。騎士達も大層乗りやすいと喜んでおります」
「それは良かったわ。先日叔父さんに馬の話をしたら繁殖に成功したら一頭譲って欲しいそうよ」
馬の話を皮切りに最近の様子を伺う。とりあえずは順調にいっている様だ。
「本当はアルト様に直接お礼を申し上げたいのですがタントス様がいらっしゃいますのでなかなか。後ほど部屋に伺おうと考えております」
律儀なトーマスらしい発言だ。
「それはそうと学園の入学準備はお進みですか。皆様が王都に戻られる時、私もご一緒いたします。滞在中にでも復習のお手伝い差し上げますね」
あら、トーマスにはバレてるわ。一応戻ったら王都の屋敷でするつもりだったのでその事を伝えるとニッコリと頷くトーマス。この人、勉強に関しては厳しいのだ。私は色々な意味で諦めた。
しばらく話をしていると夕食の時間になった様でメイドが呼びにきた。
トーマスについてリビングに行くと皆が揃っておりその中にマイクの姿があった。
嬉しそうに此方に向いて挨拶してくる姿はとても可愛い。
隣に座り、沢山話をしながら楽しい時間を過ごした。
明日の出発時間を確認し、自室に戻る。いつもの事だけど眠たくなってきたのでベットに倒れ込んだ。
翌日、ダンジョンに向けて出発する。入口で戻る日程を登録し、中へと進んだ。今回はアルトに守られていれば良い。正直退屈だが仕方がない。
流石はタントスもBランク、10階層まで初日でサクッと終わった。今日はここまでで野営の準備をする。アルト達がテントの準備をしている間に私は食事の用意をした。いつものパターンだ。
どちらもの準備が終わったので夕食にする。
「ミーナちゃんは料理が上手いな」
タントスが満足そうに食べている。まあ、褒めてもらって悪い気はしないが完全に料理担当扱いだ。間違いではないが微妙。別に今は如何でも良いけど。
四人で食べながら見張りの順番と明日の予定を相談する。私はいつも通り最後の見張りをしながら朝食の準備になった。
後片付けをして、しばらく今日の事を話する。戦闘については今のところ全く問題がないのでこの調子だと明日には20階層に到着出来そうだ。そんな感じで時間は過ぎていく。私はボチボチ眠たくなってきたので先にテントに入り、就寝した。
翌朝、見張りをしながら朝食の準備。出来たのでとりあえずみんなを起こして食べる事にした。その後は片付けて直ぐに出発。先へと進んだ。
本日の目的地20階層に到着。アルトの後に常にいてるだけなので正直飽きてきた。ただ、前回はこの先からモンスターハウスになっていたので私は未知に近い状態。明日以降は少し楽しめそうだ。今日とていつも通り作業を進める。
私は先にテントで寝る事にした。
翌日からは少し魔物も強くなってくるとの事と連携の動作確認をしながら進んで行くとの事で1日1~2階層ずつ攻略する。私は連携に加わらないので後から様子を伺った。
順調に進んでいる。そしてかなり退屈だ。本当は戦闘に加えて欲しい。けど、タントスが何処まで信用できるのかわからないから仕方がない。予定通り25階層のボス部屋にたどり着いた。今日はここまで。明日の朝ボスにアタックして帰路につく予定となった。
いつも通りに野営の準備と食事の準備に取り掛かる。整ったところで夕食だ。
食事も終わりゆっくりと寛いでいるとタントスが話し出した。
「今回どうでしたか。一応明日で終了となる前に一応お伺いしたいのですが。」
自分の評価が気になっている様だ。
「そうだな。悪くないと思うぞ」
ロトが答える。続いてアルトが話をする。
「たしかに悪くはない。ただ、このダンジョンは攻略も簡単だし今回だけで答えを出すのはまだ、早いと感じた。しばらく共に行動しながら少し様子を見ようかとおもうが」
今すぐ合格と言うわけにはいかないらしい。
「分かりました。しばらくはよろしくお願いします。俺としては今の時点で決めて欲しい気持ちもあるがやっぱりそこは高ランクパーティなので、そちらにしたがいます。」
とりあえずの方向性は決まったみたいだ。
「ミーナもそれで良いか」
尋ねられたので頷く。
「しかし、ミーナちゃんはどうやってこのパーティに入ったんだ。しばらく一緒に行動することだし、俺が稽古つけてやるぞ」
何やら検討違いな事を言い出した。正直、私の方が力はないけど強いと思う。相手の実力を測れないのか完全に上からだ。苦笑いしつつどう答えようかなやんでいるとアルトから助け舟がでた。
「ミーナは来年から学園に通うから今はいらないだろ」
やんわり断ってくれた。タントスが納得したかどうかはまぁ、別問題として、とりあえずは良しとしよう。
それから交代で休み翌日に備えた。
そうしてボス部屋。特に手こずる事もなく終了。てんそうの魔法陣に進もうとすると呼ばれた様な気がして足を止めた。アルトの袖を引っ張りこっそり伝える。アルトは頷き、ロトに耳打ち。納得した様だ。
「ロトとタントスと一旦先に戻ってくれるか。少しみたいところがあるから。ミーナは俺が連れていく。」
ロトは頷きタントスは理解してない様子。それでも気にする事なく二人は移動の魔法陣へと進み、先にもどっていった。
さて、アルトと二人になったところでノームの待つ部屋へと入っていく。
「お久しぶり、急に呼んでしまってごめんね。そこまで来ていると思うとつい会いたくなって。外の彼はよかったのかしら」
如何やら私と一緒で精霊石を持っていたら此方に来れるみたい。とりあえず呼びに行く事にした。
「アルトさん」
「今回は早かったな」
アルトに事情を説明するとびっくりしているが興味深い様で改めて一緒に部屋に入る事にした。
「あら、戻ってきたのね。貴方は初めまして、ノームよ」
「アルトと申します。はじめまして。此間は石をありがとうございます」
お互い挨拶を交わし、そこからはノームがいつの間にやら用意したテーブルにつきお茶を頂きながら話をした。
シルフの話やらまだあった事の無い他の精霊王のはなしやら。楽しい時間がすぎていった。
「そろそろ帰ろうか」
アルトが切り出さなかったらきっとまだ話ていただろう。結構な時間ぎたっている様で日が暮れるぞと言われた。
「ノーム、今度は呼ぶからまたゆっくり話聴かせてね」
別れの挨拶をして、アルトと街に帰った。
屋敷に到達するとトーマスが出迎えてくれる。
明日午後には王都に帰るので時間のすり合わせだ。
その後、夕食どきにタントスがどこにいっていたのか知りたがっていたがアルトが適当に誤魔化していた。
翌日、何事もなく王都に到達。そこでトーマスとは別れギルドに向かう。
今回のアイテムを換金して報酬を振り分けタントスとはここで別れた。しばらく彼は宿生活で行動を共にする。そこの辺はアルト達にお任せする。
今日のところは拠点に帰り数日中にはゴンドラの待つ屋敷に移動する。
今後の予定については明日にでもアルトに相談するとして寝る事にした。
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