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1章

11.

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ボス部屋の扉の前。アルトが先を促すので影から従魔達を出した。
「ウルはジンに乗って、離れない様にしてね。スカイは私の肩へ。ガイヤは隣に。準備は良い。行くよ」
みんなに声を掛けていると
「スカイまでだすのかい。大丈夫か。」
アルトが少し心配そうだ。
「大丈夫だよ。ウルとガイヤは今回連携取るの初めてだけどジンとスカイは一年以上一緒に戦っているから。心配要らないよ。後で見ててくれたらよいよ。」
私は前を向き扉を開けた。
中に入ると扉は自動的にしまり、どちらかが負けるまでここから出られない。
前方にボスがいる。
「オークソルジャー二匹にオークキング、オーククイーンか。ちょっと厄介だな」
ロトがゴチるが気にしない。
「行くよ。スカイ、身体強化と防御を」
スカイから柔らかい光が差し、私と従魔達を包む。私が魔法を放つ
「サンダーLv8」
オークソルジャー二匹が膝をついた。
「ウル、ガイヤ留めを、攻撃したら直ぐに下がって。」
二匹が火の魔法を放つ。
後ろに退いて来たので続けて魔法を放った。
「ウォーターLv5、サンダーLv5」
キングとクイーンが膝をつく。
私はインペリントから武器をだし、クイーンに走っていった。それに合わせてジンがキングに飛びかかる。
二度三度と剣を振るうとクイーンが倒れた。同時にジンも留めを差した様でキングも倒れる。二匹が光に包まれ、アイテムがドロップし、宝箱が現れた。
「やったぁ。倒したよ。ジン、スカイ、ガイヤ、ウルみんなすごいね。」
従魔達を褒めながら撫でたおした。
ドロップアイテムを回収し、宝箱の前へ。
「アルトさん、開けても良い。何が入ってるのだろう。」
呆れ顔でアルトが頷いてくれたので早速開けてみる。
中には高級そうな従魔用ベットとミスリルの双刀剣が入っていた。後は金貨だ。
私は剣を手に取った。
「わぁー、綺麗な剣。対になってる」
嬉しくなって思わず素振りをしてみるとすごく軽い。とても使いやすそうだが私が貰っても良いのだろうか。
「ミーナが貰ったら良いよ。パーティで双刀剣を使うのは君だけだから。それは剣と言うよりは刀だな。片刃な分勝手が悪いところもあるが両刀で使いこなしたらかなり攻撃の威力が出るんじゃないかい?よかったな、良い物が手に入って。」
アルトが刀を物珍しそうに見ながら話かけてきた。どうやらコレも私が貰っても良いみたいだ。
「やったぁ。ありがとうございます。こんなの貰えたら使いたくてうずうずする。」
ニコニコ顔で騒いでいると
「今日のところは帰るぞ。また、街での依頼が終わったら続きをアタックしたら良いから今は我慢しろ。そこの扉を出たら下に降りる階段と入口に転送する魔法陣とある。そろそろ日も落ちるから行くぞ。」
ロトに急かされて扉をあけ、魔法陣で入口に転送した。
それから預けていた馬を引き取り街に向かう。
門をくぐり、宿へと向かった。
すっかり日も暮れて人の行き来もまばらだ。
宿に到着したのでそのまま食堂で食事を済ませてから部屋へ移動。
ようやく一息ついた。
「今日はお疲れ様だったな。ドロップアイテムの整理をしようか。まず、ジンが単独で買った分はミーナの取り分で構わない。後は欲しい物を確実選んで換金するか」
いつもパーティ内の振り分けはまず、物品のままで欲しい物を選ぶ。後、ポーションなどのパーティ備品を避けて残りは換金。その後、パーティ資金を先に確保して残りは頭割しているらしい。そうなると私だけ随分多い様に思う
「それだと私だけ多くないかな。ちゃんと均等にしてくれたら良いよ」
みんなに伝えると
「かまわん。今回は依頼を受けていた訳でも無いし、お前の従魔達も楽しそうだったから。大体、俺たちも金に困っている訳ではない。気にすんな。」
との事らしい。それだったらとポーション類をパーティ用にアルトに渡し、他の物は貰っておく事にした。ドロップした食材はある程度の量は換金せずに置いといてもらえるようお願いする。今までは料理をする人が居なかったから全て換金していたみたいだったが私が使うからと伝える。三人とも納得してくれた。
時間も遅いのでそろそろ寝ることにした。明日は騎士が来るまでおやすみとの事で少しゆっくり寝る事にしよう。今日ダンジョンで手に入れたベットを出してやるとみんな喜んで飛び乗った。明日に備えて就寝した。

「ミーナ、そろそろ起きないか。もうすぐ昼になるぞ」
「ふぁぁ」
びっくりして飛び起きるとそこにはアルトがいる。
「もう、そんな時間なの」
朝方、一度トイレに起きて従魔達のところに紛れこんだところで記憶が途切れいる。どうやらそのまま寝てしまったみたいだ。
慌てて着替えて準備をする。アルトが食堂からサンドイッチを用意してくれていたのでありがたく頂いた。
「間もなく騎士達が来るだろ。ここで打ち合わせするから。ロトとマリアは街の様子を見に出かけている。そろそろ戻ると思うが。」
モグモグしながら話を聞いていると廊下で数人の足音がしている。帰ってきた様だ。
ノックと共に扉が開くとロトとマリア、見知らぬ青年が2人一緒に入ってきた。
「初めてましてミーナ様アルト様。私、アズベリー領騎士団、団長のミックと申します。よろしくお願いします」
「私、王都第三騎士団、団長のライラと申します。今回の件協力ありがとうございます。どうぞよろしくお願いします」
「【疾風の刃】リーダーのアルトです。こちら側からロト、マリア、ミーナです。よろしくお願いします」
「「「よろしくお願いします」」」
お互い挨拶を済ませて椅子に座る。
部屋全体に防音魔法をかけた。
早速の打ち合わせだ。
現状、把握している情報を団長達に伝える。ロトから追加の情報でどうやら明日の闇取引に参加する貴族達がお忍びで街に滞在している様だ。
ライラ曰く
「貴族相手となりますと些か厄介なところがございますね。彼らは何かというと身分を盾に不敬罪だなんだと言いがかりを直ぐに突き立ててくるのです。いくら王都の騎士団といえどそうなると中々手が出しにくいのですが。」
団長ではあるものの、爵位で言うところの子爵らしく、貴族を取り扱うとなると少し厄介だとの事。ミックについてはアズベリー領騎士団なので恐らく下級貴族だろう。
「私が一応伯爵家次男になります。ある程度は押さえられるかとは思いますがペストリア領主となると少し面倒ではありますね。」
ライラさんが目を見開いた
「貴方様は、貴族でしたか。でも流石に領主と伯爵次男では些か分が悪い様にも思いますが如何いたしましょうか。」
どうやらそこの辺りの詳しい事は聞いてはいない様子。アルトの袖をツンツン引っ張ると小さく頷いた。
「ライラ団長、恐らくミック団長は全てを聞いて此方に来られているかと思うので状況を理解されている様に思います。そこで幾つか補足させて頂きたいのですが国の機密事項に触れる為、他言無用でお願いしたいのですがよろしいでしょうか。」
ライラの反応を伺う。
「ミーナちゃん、でしたか。構いませんが国の機密事項となるとかなり重要な事になるかと。何故貴女がそんな事までご存知なのでしょうか。勿論、聴く限りは他言はいたしませんが。」
鋭い目付きで睨まれ、詰め寄ってきた。
堪らす少し退く。ミックが助け舟を出してくれた。
「ライラ団長、そんな怖い顔で言い寄ったら話も出来ないじゃないか。落ち着いて聞いてみては如何ですか。」
指摘されて我に返ったようだ。
「あぁ、すまない。つい、事がことなだけに。」
椅子に座り直してくれた。少し落ち着いた様だ。早速話をする事にした。
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