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1章

8.

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翌朝、拠点への引っ越し。アルトがわざわざ迎えに来てくれた。
わたしの荷物は無限収納に入っているのでダミーのカバンだけだ。
どうやらこのまま日用品を買いに行くみたい。
私は従魔様の大きなクッションとみんなでお揃いのバンダナを購入した。後でつけてあげよう。
その後は、市場へ向かい今日の夕食を屋台で買って拠点に到着。
ロトとマリアもいてるみたいでとりあえず応接室で明日からの打ち合わせをする事になった。
まず、移動は馬を使うとの事。私は自分用の子がいないので今回はアルトに一緒に乗せてもらい事になった。マースまでは半日位で到着するので宿を押さえてロト、マリアは集会所周辺の調査に私とアルトは街中の情報収集をする事になった。
XDAYまで5日程ある為、滞在中に今後のパーティの戦闘スタイル等色々試したいから近くの中級ダンジョンにも潜ることになった。
規模は中型位との事で25階層からなるらしい。
5階毎にボス部屋とセフティーゾーン、入口への転送魔法陣があり、一度攻略すると次からは途中まで飛ぶ事も可能とか。ダンジョンアタックは初めてなのでちょっと楽しみかも。
今の連携はロトが前衛、アルトが前中衛、マリアが後方支援との事。私はどのポジションでも可能なため、基本は中衛、後はその時に応じてと言う事になった。
どうせ、ダンジョンにはいるなら、従魔達のパワーレベリンをお願いした。
ガイヤと契約した事によってテイマーがレベルカンストした為、召喚師にジョブチェンジする事を合わせて伝える。
「基本的には上級へのチェンジだし、特にステータスが落ちる事はないと思うんだけど少しの間慣れるまで動きがぎこちなくなるかも。」
のうのうと説明してると三人に呆れられた。
「ミーナちゃん、そもそもそんなに簡単にカンストするものでも無いと思うわよ。適切が有れば確かに多少は早いかも知れないけど普通は半年以上かかるものなんだけれども。」
マリアの言う事には一般的にはそうなんだけれど内の家系は特殊な為説明をする。
「内は両親共にジョブマニアだったの。どの組み合わせでカンストしたら効率が良いとか能力が伸びるとか色々、世間的に研究対象になりそうな事を娘で試してた様な人達だったから。それにアズベリーの直系の特徴で守護竜の加護のおかげでジョブの経験値が人より多く稼げるのよ。だから早々にカンストするわけ。来年の学園入学までに召喚師をカンストしてしまいたいからガンガン飛ばしていくつもりよ。」
間違いなく。私も両親の娘、ジョブマニアである。
「今度機会があってムートンに行けるならあそこの領主館にジョブに関する資料を保管してるから良かったら読んでみて。説明するのは無理でも資料を見せる事は出来るから。新しいジョブスタイルにチェンジ出来るかもしれないよ。」
言い出しっぺのマリアよりアルトの方が興味深々である。
後はうだうだ雑談をしていたのだが私が眠たくなった事もあってお開きとなった。
明日はマースに向かって出発である。

翌朝、少し薄暗い時間に起きて準備をし、7時に拠点を出発した。
朝も早いせいかまだ、人通りも少なく、王都内でも馬で移動できた。
門を出てそのままマースまで一気に駆け抜ける。
昼過ぎ、到着した。
入口で身分証をみせ、馬を引いて街に入り、とりあえずは宿まで移動する。
【秋桜亭】に到着後、まず馬を預けて受付に。私とアルトが同室で、2部屋押さえた。
今日の夕食は宿の食堂で食べる事になったので時間まで各々の仕事をする事になった。
夕食時、4人で食堂のテーブルを囲む。
今日のメニューは具材のゴロゴロ入ったブラウンシチューにパイ包みとサラダ、パンだ。私は量的に多いくらいだったのに他の人達は追加で焼き串を沢山注文していた。
「ミーナも食うか。ここの焼き串は美味いぞ」
ロトが進めてくれるがそんなに食べれない。
「美味しそうだし食べたいけどそんなに食べれないよ。」
まだ、シチューパイが半分残っている。
結局、パイの残りをロトが食べてくれる事になって串をもらった。とても美味しかったのでまた、注文しよう。
食事も終わり、私とアルトの部屋で報告会となった。
まずはロト、マリアからだ。
「集会所は普段から誰でも入れるようだ。一般に貸し出しているようで今日は主婦層が集まってなんかやっていたぞ。5日後にバザーがあるらしく、XDAY当日だ。周りや建物の入れる内部を調べてみたが地下に入る入口げ見当たらない。明日もう一度探してみる事にする」
次は此方の番だ。
「どうも領主がドラゴンを手に入れてアズベリー領にちょっかいをかけるつもりらしい。一年前に息子に代替わりしてから領土を広げて儲けを増やそうと色々きな臭い事に手を出しているみたいだ。アズベリー領の領主不在を良い事に勝手な戦略を立て無駄に士気を上げているらしい。ミーナからしてみたらとんだ迷惑な話と言うわけだ。」
ホントに勝手に巻き込まないで欲しい。迷惑極まりない。
明日は、私とアルトはジンのお願いを聞きに森に入るので、夕方に今日と同じく食堂集合となった。
ロト達が自分の部屋に戻ったので今はアルトと2人。
収納から従魔用のクッションを出して三匹と遊んでいるのを何気に眺めている彼がふと思い出した様に立ち上がった。
「どうしたの?」
いきなりだったので少しビックリして聞いてみると自分の収納を漁り出した。
「あったあった。ミーナこれを使うかい?昔ダンジョンで拾ったのだが誰もつかわないからスッカリ物置に仕舞い込んでいたのを昨日探し当てたのさ。昨日の模擬戦を見てた感じだとこれを扱えるだろ。こいつは魔力の通りが良いから丁度良いなと三人で話してたんだ。」
そう言いながら装飾の綺麗なダガーを持たせてくれた。非常に手に馴染んで使いやすそう。それも腰に携帯出来る様にケースとベルトまである。
「とても手に馴染んで使いやすいよ。本当に貰って良いの。」
遠慮してる風に言いながらちゃっかりベルトとケースを試着し、鏡で確認する。デザイン的に今着ている防具とも良く釣り合う。
優しい笑顔で「どうぞ」と勧めてくれるのでお礼を言って受け取った。私が持っているダガーより一回り大きめで左右に一本づつ携帯する事にした。アルト曰く、見た目が丸腰だと言い掛かりをつけられやすくなってトラブルを招くだけだから装備している方が良いとの事。色々心配してくれてるみたいでありがたい。
明日の事を軽く打ち合わせ従魔達と戯れて就寝した。

翌朝、食事を済ませて森に向かう。
ジンの話では3時間程奥に入ったところが群の活動場所らしいので森に少し入ったところからジンに案内してもらう事にした。
私は馬から下ろしてもらいジンの背中に跨る。ガイヤも好奇心で外に出てき、私の座っている前に鎮座した。
「ジン、案内よろしくね。アルトさん、後をついてきてもらいたいです。ここから3時間かからないらしいので、場所に着いたらジンが仲間を呼んでくれるみたい。この辺りはあまり魔獣がいないみたいで恐らく戦闘にはならないと思うけど念の為警戒はしといてくださいね。」
アルトは頷いた。それを確認した様にジンが走り出す。馬も移動様に改良された魔獣なので難なく着いて来れそうだ。
特にトラブルもなく進み、少し開けた草原に到着した。
「ジン、この辺りなの。仲間を呼ぶのね」
私はジンから降りてアルトの近くにいく。
「仲間を呼ぶみたい。30頭近くの群らしく、間違って攻撃しない様アルトさんに伝えだって。わかった?」

「了解した。殺意が無ければ多少のことでは馬も暴れないから大丈夫だろう」
アルトと話しているとジンが図太い声で鳴いた。
すると木々の合間から次々にシルバーウルフが現れてあっと言う間に囲まれた。
そうして仲間の中央から子供も連れ添った一匹がこちらに近づいてきた。
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