高校デビューを果たした幼馴染みが俺を裏切り、親友に全てを奪われるまで

みっちゃん

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最終章 高校生編 〜全てを失うまで〜

第33話 嫌いと思えない…けど

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教頭先生「お前ら…またか…」

朝の校門前に眼鏡をかけ、白髪の男
教頭先生が朝から生徒の挨拶をしていた
朝の会(朝礼)が始まるチャイムがなれば、すぐさまに学校に入る為の入り口を封鎖する

これは遅刻者だけでなく、部外者が入らないようにする為であり、教頭先生の数ある仕事のうちの一つなのである

その為、問題児…もとい遅刻ギリギリの者の顔は意外と覚えてしまうもので、2人が
ギリギリ校門を抜ける時にやれやれと
言いながら声をかける

サトル「教頭先生!おはようございます!」

チサト「説教はまた今度で!」

そんな事を言って2人は教頭先生の前を通り過ぎる

本当は引き止めたいが、そうなると彼らは間違いなく、遅刻する…それに

キーンーコーンーカーンーコーン

サトル「ヤベェ!?」

チサト「久々に登校したのに遅刻したはありえない!」

サトル「お前はいつも行ってたろ!?」

そんな事を言いながら走る姿に呆れつつ
ふと疑問が浮かぶ

教頭先生「…あれ?あいつらって…」

………2人だったか?

——————————————————————
~教室前~

サトル達はなんとか間に合ったが、教室入る前にサトルの足は止まる

チサト「………サトル」

早く入るように急かす事はしない、当たり前だ、この教室にはトラウマもあるし、何より

サユ「あははは…」

あの"糞女"がいる、チサトはバレない様にサトルの手を引き、教卓の方ではなく、後ろの方に向かう

チサト「こっちなら、あいつらも気づかないと思う…多分」

サトル「…すまん」

サトルは深呼吸して扉に手をかけ…

ガラ

サユ「じゃあ、私、トイレ行ってくる」

最悪にもサトルとサユはばったりと出会ってしまった

サユ「……あ…あの…えっと…」

焦ってあたふたしているサユ、チサトは
サトルの前に出て道を開けようとすると

サトル「すいません、すぐに開けます」す…

サユ「え?」

サトル「どうしたんですか?行かないんですか?」

サユ「あ…行きます」

サユ「………」ちら

サトル「ん?何か様ですか?」

サユ「い…いえ…」

まるで他人様な接し方に驚くサユ
しかしサユは何故か此処から動こうとせず
サトルの方を見つめる

サユ「あ…あの!…さ…サトル君…あ…私…」

サトル「早くしないと遅れてしまいますよ?」

サユ「う…うん」

そう言ってサユはトイレに向かった

サトルは平然とした態度でサユと接していた
その姿にチサトは驚きながら、サトルに声をかける

チサト「なぁ…サトル…お前、平気なのか?」

その答えにサトルは自分でも驚いているのか
少し戸惑いながら話す

サトル「なんか…会う前は本当に怖かったけど…あった瞬間…」

チサト「瞬間?」

サトル「…なんとも思わなかったんだ」

チサト「…なんとも」

サトル「ああ、あの時は本当に苦しかったけど、今は嫌いとも好きともなんも感じないんだ」

サトル「取り敢えず、中に入ろう」

チサト「ああ、そうだな」

無理をしている感じでもない、本当にそう思っているのだろう、好きの反対は嫌いと言うが、それは嘘だ

嫌いと言う事は相手を意識していると言う事
好きと同じで好意を持っているか嫌悪を抱いているかの違いだ

本当の意味での反対は無関心
例えるとするならば、道端に落ちている
石っころに好きとか嫌いとかを見る度に
考える人はいないだろう、それと同じだ

ガラッ…

サトル「………」ちら

サトルはノリオ達をチラッと見て
サトルは席に着く

チサトはサトルの隣に行き、話しかける

チサト「…さっきあいつらを見たけど、大丈夫か?」

そう聞くとサトルはチサトにだけ見えるように表情を変える

サトル「はらわたが煮え繰り返ってるよ…けど、今はその時ではない」

その顔はまさにノリオ達を地獄に突き落とそうと考えている顔だった

チサト「まぁ、サトルが無事ならあたしは大丈夫だ、それじゃあ」スタスタ

サトル「ああ」

そう言ってサトルはスマホをいじる
待ち受けはサユの写真ではなく、とある
ゲームのキャラクターに変わっている

サトル「………」タンタンタン…

スマホのアプリの一つカメラ機能をタップする、すると今まで撮ってきた写真やスクショした写真などがデータとして残っていた

サトルはそのアプリの中にあるサユの写真を消し始めてきた

サトル(本当は家で消すつもりだったが…)

心の奥底で、"もしかしたら"と言う気持ちがありそれが今まで邪魔していたのだ
しかし今日サユとあって、その
"もしかして"が完璧になくなった
だから消し始めたのだ

そしてサトルは、一つ一つ消すのは大変なので、一旦閉じで、アルバムを開く
そこには様々なものがまとめて作られており
そこにサユだけをピックアップした写真や
動画がまとめられていた
サトルはそれを長押しタップして…
全てのデータを削除した
これでバックアップしたデータを復元しない限りは2度と見る事はできなくなった

サトル(…さようなら)

そう言ってサトルは涙をこぼした
それは一筋の涙だった

サトル「………え?」

サトル自身も何故涙が出たのか分からなかった、ただ言えるのは、過去の思い出を文字通り消したっと言うことだけだ

サトル(…なんで今になってあいつの事を思い出すんだろう)

3人でいたあの幸せな日々、もしかしたら
別の世界ではこうならなかったのではないか?と決してありえない事を思い浮かべる

今日の授業は久しぶりなのもあるが、全く頭に入らなかった

——————————————————————
~昼休み~

チサト「サトル一緒に来てくれ」

昼休みに入り、各々が昼食を取り始める時
チサトがサトルの方に声をかけてきた

サトル「…なんだ?もう集まるのか?」

チサト「違う違う、あんな奴と同じ所で食べたくないから」

そう言ってサトルは ああ と今更思い出したかの様に言って立ち上がる

チサト「………なんとも思わないのか?」

サトル「それはここで話さない方がいい、案内してくれ」

ここで話しても周りからは嫌味にしか聞こえないだろう、なら話が聞こえないところに行ったほうがいい

そう考えたサトルはチサトの案に乗り教室から出る、もちろん弁当も持ってだ

ガラッとチサトが開け、その後ろにサトルがついていく

サトル「んで?どこに行くんだ?」

チサト「…2人っきりになれるところ」

サトル「そんな所があるのか?」

チサト「まぁね」

サトルはチサトがどこに行くのかを尋ねると
チサトがそんな風に答える

まだ入って1年も経っていないのにもうそんな所を知っているのは、流石としか言えない

サトル「…………」

取り敢えず後ろではなく隣に行き歩いていると徐々に人の気配が少なくなっていった

2階の廊下の奥、普段誰も使わない階段だ
大体の人は手前側の階段か、真ん中の階段を使う、奥の階段はクラスはあるが移動教室でも不便な為、そこにいるのは大体そこで隠れてゲームをする生徒ぐらいだ

そこの階段を登り4階に行く
そこは移動教室以外殆どの人達が行かない
場所でサトルとチサトの2人しかいなかった
そこからよく見ないとわからない部屋があり
チサトはそこに向かった

中に入るとそこは人が10人も入れない小さな部屋があった
周りにはちょっとした荷物と机と椅子が散乱してあるが、チサトが掃除したのだろう
埃はまっていなかった

サトル「ここは?」

チサト「学校の増築の設計ミスで出来た場所だって」

チサト曰く、ここは元々生徒指導として使われていたらしいが、生徒の増加に伴って工事をしたらしいのだが、学校側のミスでここが元々無かったことになっていらしくこの様な感じになったらしい

それに伴って、新たに生徒指導室を職員室の近くに作り、移動が楽になった事によって
ここは使われなくなったらしい

チサト「まぁ、一種の秘密基地みたいな感じであたしは使ってる」

たしかに外の眺めも良く、殆どの人が来ないためバレることもない

サトル「考えたものだな」

チサト「まぁね」

そう言って2人は弁当を食べ始める
サトルは母が作ってくれているから基本的に普通だが、チサトは一人暮らしだ
少し心配したが、よくよく考えたらそんな必要はなかった

サトル「お前って料理できたんだな」

チサト「今更かよ」

そんな事を言いつつ2人は弁当を食べる
チサトは食べながら、先程の質問をする

チサト「それで?なんでなんとも思わなかったんだ?」

サトル「?…ああ、あれか」

一瞬わからなかったが、瞬時に理解して
答える

サトル「そうだな…あんな奴の為にいちいち行動するのが、馬鹿らしくなったから…かな?」

チサト「…なんか凄いな、…驚くよ本当に」

サトル「俺自身も驚いているよ、きっとあの時にお前が側にいてくれたから…かな?」

チサト「…え?」

——————————————————————
この作品は実体験と、他作品の関連小説に
感銘を受け、脚色を加えながら書いています
その為、「ありえない」所もあるので
ご了承ください。

…ここまで酷いいじめはなかったが、これに近いのは本当にありました
まぁ警察沙汰にはなりましたけどね(^◇^;)


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