上 下
155 / 163
第3章 神の悪戯

第150話 女神サナラス

しおりを挟む
「誰だ!?」

独り言を聞かれた恥ずかしさよりも、誰もいないと確信していたのに誰かが居たという恐怖が増す。

(自分で言うのも何だが、俺のステータスはかなり上がっている、使いこなせていないとは言え、気配を察知するだけなら誰にも負けない自信はある)

それなのに負けた、そしてこの会話を(おそらく)聞かれた、それが何よりも恐ろしいのだ。

「誰…そうですねぇ、…女神と言うべきでしょうか?」

「な!?」

「うーん、ずっとキョロキョロ動かれるのは面白いけど面倒ですね…よっと」

そう言って何処からともなく現れたのは
黒髪のオッドアイ
右眼が青、左眼が黒
学生服の様な服を着た、翼の生えた女性だった。

「…お前は…一体…」

「見れば分からない?うちは神様だよ」

「神様?」

自分で様をつけるなんて自意識過剰過ぎないか?

「そ、翼もあるし、君のステータスよりも上、チート級の君よりも凌駕しているんだから、理解できるでしょ?」

「…理解したくないが…お前…あんた…いや、貴女様が神だと信じましょう」

自分のステータスの事を知っている事、気配がわからなかった事、(コスプレの人かもしれないけど)翼がある事、これらを踏まえて、信じても良いだろう。

「それで?なんで俺の所に現れたんですか?」

「君が『なぁ神様、もしいるなら教えてくれよ、何故俺達を呼んだんだ?』って言ったからかな?」

「そんな単純な理由で来てくれるんだ」

神様なんて『眼に見えないナニか』としか思ってなかったから、こうも人間にそっくりだと、違和感しかない。

「何で神様って人間の姿が多いのかねぇ」

「神様って言うのは想像を創造して作られた者達だからねぇ、思いが強ければ強い程その神様の力も増すんだよ」

「え?」

「神様が多いのは人間がそれくらい創造してくれたからだよ?」

人間が神を作った?駄目だ頭がパンクしそうだ。

「…ちょっと待ってください…溜め息混じりの愚痴からここまで話が進むとは思わなくて」

「気にしなくて良いよ、少し考える時間をあげるよ」

「ありがとうございます…」

取り敢えず、今の情報をまとめよう
1.神様が人の姿で登場する事が多いのは人間がそういう風に想像しているから

2.神様と言うのは人々の想像が創造に変わり作られた存在

3.2で作られた神様はその人達の想いが強ければ強い程自身も強くなる

4.神様が多いのは人間が神をそれくらい想像しているから

この4つになる、となると次に気になる事は

「神様は人間が作った架空の存在?」

「子供の頃オリジナルのキャラクターを描いたことない?」

「…唐突に何で…まぁありますけど?」

「それと同じだよ」

どう言う事?いきなり話を変えてきて質問内容がこれ?
子供の頃、確かにオリジナルキャラを描いた事がある
『エイト•マクラレン』と言うオリジナルキャラを描いて本当にこう言う世界があればなぁと想像した事がある。

ヒロインである『ミュウ•フローラ』と共に絆を育み、全ての元凶である魔族と戦う物語りとか…でもあれは空想上の話で現実の話ではない。

「分からないって顔をしているね、君が子供の頃に描いたオリジナルが本当にあれば良いと考えて想う、そしてその強さがある一定の水準に達すると本当に生まれるんだ、その世界が」

「は?」

「そしてその世界は1つの世界として隔離されて別次元別宇宙として存在する様になるんだ」

「ちょっと待ってください…余計に 矜羯羅こんがらがって分からなくなってきた」

「ソシャゲの世界が別の次元宇宙にあるみたいなもん」

「納得した」

艦○れとかアズ○ンとか小説とかだとその世界に行ったりしている、あれと同じだろう。

「そしてこの世界は日本人がよく描くゲームの世界に転生するあれ物語りと同じ様な世界なのよ」

「世界も創造できるのか?」

「出来るわよ?うちら神様は人々の信仰心の象徴みたいなもん、トイレの神様とか本当にいるしね」

「マジでいるんだ」

つまり八百万やおよろずの神ってそれくらい昔の人達は想像して誕生させたって事?神様を?

水の神、火の神、風の神と一つ一つの事に神の仕業、おかげと考えていたらいつの間にかそうなったのだろう。

「んで、この世界も色んなファン達が願い創造した世界なのよ」

「この世界が…造られた世界…まぁそうだろうとは思ったけど」

「流石は日本人、そう言う事には慣れているのね」

「慣れてはいませんよ、そう言う小説や漫画、アニメが量産されて見慣れただけです、本当に体験するなんて思いもよらなかったですけど…」

ステータスと言う概念があるのもそう言う事なのだろう、これでこの世界が限りなく似ているのはプレイヤーの数が多くて若干のズレがあると言う事なのだろう。

まぁ限りなく似ていると考えていたのはクロウだけだが…そこはまぁ良いだろう

「まとめると
1.神様は人間が創造して生まれた存在
2.世界も人々の想像によって生まれる
3.生まれる為にはある程度の想いの強さがいる
4.誕生した世界は別次元別宇宙で確立する
5.この世界は色んなプレイヤーファン達が想い描いた想像創造の世界
と言う事ですか?」

クロウとの問いにサナラスは『正解』と笑顔で答える、まだまだ情報量が多くて頭が痛くなるが、この世界がどう言う世界なのかは理解出来た。

——————————————————————
続く
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!

よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です! 僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。 つねやま  じゅんぺいと読む。 何処にでもいる普通のサラリーマン。 仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・ 突然気分が悪くなり、倒れそうになる。 周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。 何が起こったか分からないまま、気を失う。 気が付けば電車ではなく、どこかの建物。 周りにも人が倒れている。 僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。 気が付けば誰かがしゃべってる。 どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。 そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。 想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。 どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。 一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・ ですが、ここで問題が。 スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・ より良いスキルは早い者勝ち。 我も我もと群がる人々。 そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。 僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。 気が付けば2人だけになっていて・・・・ スキルも2つしか残っていない。 一つは鑑定。 もう一つは家事全般。 両方とも微妙だ・・・・ 彼女の名は才村 友郁 さいむら ゆか。 23歳。 今年社会人になりたて。 取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。

新しい聖女が見付かったそうなので、天啓に従います!

月白ヤトヒコ
ファンタジー
空腹で眠くて怠い中、王室からの呼び出しを受ける聖女アルム。 そして告げられたのは、新しい聖女の出現。そして、暇を出すから還俗せよとの解雇通告。 新しい聖女は公爵令嬢。そんなお嬢様に、聖女が務まるのかと思った瞬間、アルムは眩い閃光に包まれ―――― 自身が使い潰された挙げ句、処刑される未来を視た。 天啓です! と、アルムは―――― 表紙と挿し絵はキャラメーカーで作成。

【完結】数十分後に婚約破棄&冤罪を食らうっぽいので、野次馬と手を組んでみた

月白ヤトヒコ
ファンタジー
「レシウス伯爵令嬢ディアンヌ! 今ここで、貴様との婚約を破棄するっ!?」  高らかに宣言する声が、辺りに響き渡った。  この婚約破棄は数十分前に知ったこと。  きっと、『衆人環視の前で婚約破棄する俺、かっこいい!』とでも思っているんでしょうね。キモっ! 「婚約破棄、了承致しました。つきましては、理由をお伺いしても?」  だからわたくしは、すぐそこで知り合った野次馬と手を組むことにした。 「ふっ、知れたこと! 貴様は、わたしの愛するこの可憐な」 「よっ、まさかの自分からの不貞の告白!」 「憎いねこの色男!」  ドヤ顔して、なんぞ花畑なことを言い掛けた言葉が、飛んで来た核心的な野次に遮られる。 「婚約者を蔑ろにして育てた不誠実な真実の愛!」 「女泣かせたぁこのことだね!」 「そして、婚約者がいる男に擦り寄るか弱い女!」 「か弱いだぁ? 図太ぇ神経した厚顔女の間違いじゃぁねぇのかい!」  さあ、存分に野次ってもらうから覚悟して頂きますわ。 設定はふわっと。 『腐ったお姉様。伏してお願い奉りやがるから、是非とも助けろくださいっ!?』と、ちょっと繋りあり。『腐ったお姉様~』を読んでなくても大丈夫です。

[完結]病弱を言い訳に使う妹

みちこ
恋愛
病弱を言い訳にしてワガママ放題な妹にもう我慢出来ません 今日こそはざまぁしてみせます

私が一番嫌いな言葉。それは、番です!

水無月あん
恋愛
獣人と人が住む国で、ララベルが一番嫌う言葉、それは番。というのも、大好きな親戚のミナリア姉様が結婚相手の王子に、「番が現れた」という理由で結婚をとりやめられたから。それからというのも、番という言葉が一番嫌いになったララベル。そんなララベルを大切に囲い込むのが幼馴染のルーファス。ルーファスは竜の獣人だけれど、番は現れるのか……?  色々鈍いヒロインと、溺愛する幼馴染のお話です。 猛暑でへろへろのため、とにかく、気分転換したくて書きました。とはいえ、涼しさが得られるお話ではありません💦 暑さがおさまるころに終わる予定のお話です。 いつもながらご都合主義で、ゆるい設定です。お気軽に読んでくださったら幸いです。

【完結】『それ』って愛なのかしら?

月白ヤトヒコ
恋愛
「質問なのですが、お二人の言う『それ』って愛なのかしら?」  わたくしは、目の前で肩を寄せ合って寄り添う二人へと質問をする。 「な、なにを……そ、そんなことあなたに言われる筋合いは無い!」 「きっと彼女は、あなたに愛されなかった理由を聞きたいんですよ。最後ですから、答えてあげましょうよ」 「そ、そうなのか?」 「もちろんです! わたし達は愛し合っているから、こうなったんです!」  と、わたくしの目の前で宣うお花畑バカップル。  わたくしと彼との『婚約の約束』は、一応は政略でした。  わたくしより一つ年下の彼とは政略ではあれども……互いに恋情は持てなくても、穏やかな家庭を築いて行ければいい。そんな風に思っていたことも……あったがなっ!? 「申し訳ないが、あなたとの婚約を破棄したい」 「頼むっ、俺は彼女のことを愛してしまったんだ!」 「これが政略だというのは判っている! けど、俺は彼女という存在を知って、彼女に愛され、あなたとの愛情の無い結婚生活を送ることなんてもう考えられないんだ!」 「それに、彼女のお腹には俺の子がいる。だから、婚約を破棄してほしいんだ。頼む!」 「ご、ごめんなさい! わたしが彼を愛してしまったから!」  なんて茶番を繰り広げる憐れなバカップルに、わたくしは少しばかり現実を見せてあげることにした。 ※バカップル共に、冷や水どころかブリザードな現実を突き付けて、正論でぶん殴るスタイル。 ※一部、若年女性の妊娠出産についてのセンシティブな内容が含まれます。

いらないと言ったのはあなたの方なのに

水谷繭
恋愛
精霊師の名門に生まれたにも関わらず、精霊を操ることが出来ずに冷遇されていたセラフィーナ。 セラフィーナは、生家から救い出して王宮に連れてきてくれた婚約者のエリオット王子に深く感謝していた。 エリオットに尽くすセラフィーナだが、関係は歪つなままで、セラよりも能力の高いアメリアが現れると完全に捨て置かれるようになる。 ある日、エリオットにお前がいるせいでアメリアと婚約できないと言われたセラは、二人のために自分は死んだことにして隣国へ逃げようと思いつく。 しかし、セラがいなくなればいいと言っていたはずのエリオットは、実際にセラが消えると血相を変えて探しに来て……。 ◆表紙画像はGirly drop様からお借りしました🍬 ◇いいね、エールありがとうございます!

シンデレラ。~あなたは、どの道を選びますか?~

月白ヤトヒコ
児童書・童話
シンデレラをゲームブック風にしてみました。 選択肢に拠って、ノーマルエンド、ハッピーエンド、バッドエンドに別れます。 また、選択肢と場面、エンディングに拠ってシンデレラの性格も変わります。 短い話なので、さほど複雑な選択肢ではないと思います。 読んでやってもいいと思った方はどうぞ~。

処理中です...