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第3章 神の悪戯

第142話 国王との謁見2

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「よく帰ってきた、我が娘フィオナよ」

「ご無沙汰しております、父上」

玉座に座っているのはこの国の王
ミリティア王国10代目国王"ミリティア10世"だ。

「して、その者達は?」

「はい、私の学友達です」

「学友だと?何故そんな奴らを呼んだ?」

国王の言う通りだ、国王が呼んだのは娘のフィオナだけであり、クロウ達は呼んでいない。

「私が必要だと判断して呼びました、魔王の事が学園内に広まってしまった以上、もはや内密な話なぞ不要でしょう」

この辺りは賛否両論のシーンだ、魔王と言う世界を滅ぼそうとする存在を対抗手段が無い中発表するのは国の内乱に繋がる。

人間にとっての一番の敵は利害の一致しない人間達だ、魔王軍に肩入れする者、寝返る者、裏切る者、形や言い方はどうであれ、内部、つまり内政がしっかりと出来ていなければ、国というのはあっという間に滅びる。

「しかし、その者達は無関係であろう?何故無関係な者達を呼ぶのだ?」

「ここには公爵家のご子息、ご息女達、隣国の貴族がいます、この者達なら問題は無いでしょう」

国の重役と他国同盟国の関係者、事態が事態な為、彼らを呼んでも(両親を呼ばないと言う愚策に出ているが)問題はないだろう。

「だが、メイドと…その者は誰だ?見たところ貴族ではない様だが?」

「はい、彼の名前はリューク、私の友人で平民の出です」

「何!?」

(まぁそうなるよな)

平民が勝手に国王の娘と友達になり(そこは学園だから良いとして)、そして(フィオナが無理矢理ではあるが)王城に何の理由もなく来ているのだ、普通は驚くか怒る。

「何故その様な者まで連れてきた!貴族達は100歩譲って理解出来るが、平民を連れて来る理由にはならないぞ!!!」

「彼は私には無い、何かを持っています、もしかしたら"勇者の素質"があるのではないかと思い連れてきました」

「何だと!?」

「…ゲーム通りに進むのなら、僕は勇者になれるけど…そこの所どう思います?」

「わからない…でも、基本的な流れはそのままだ、そこまでの道筋が滅茶苦茶なだけで、起こるイベントは全て起きている」

ヒロイン達と仲良くなる、推しの好感度を上げる、魔王が蘇る、悪役貴族であるクロウはさておき、大まかなイベントはゲーム通りなので、勇者がリュークである事は間違いないだろう。

「そこの者が何故勇者の素質があると言えるのだ?」

周りの目は嘲笑している、国王との謁見では国王だけでなく側近や衛兵達もフィオナ達を監視している、その者達もフィオナの発言を信じないで馬鹿にしているのだ。

「彼は王族である私を筆頭に3大貴族のクロウ、ミオ、シャル、隣国の貴族であるメジーナ、更に私の従姉妹のエムルとも仲良くなっています、この短期間で貴族同士のいさかい、貴族と平民の身分の差、それらを全て解決し1つにしました、人を惹きつける、纏める何かを持っているからではないかと私は思っています」

嘘は言っていない、フィオナもリュークと一緒に貴族と平民の身分の差から生じる差別などを無くし、大人貴族達の汚職を暴いて身分の差こそあれど、それに伴う侮蔑ぶべつによる差別を無くそうと動き出しているし、

3大貴族である公爵家のクロウ、ミオ、シャルもそれに加わっている、

更に王族のエムルもそれを承諾しているのだ、勇者としての素質、あるいはカリスマ性があってもいいと思う。

(最も俺は無理矢理だけどな…それでも無理矢理加入が出来、それ以降敵対していないって事はあながち間違ってないんだろうな)

「そうか…その者は我が娘を…そして他の貴族達とも…」

「父上?」

「いや、お主の意見はよく分かった、本当なら追い出したい所だが、私の失態を娘達に押し付けるわけにもいかん、今回は特例でその者達を許そう…すまなかった」

そもそも国王がしっかりとしていれば娘もこの様な事はしなかっただろう、"魔王が蘇る"と言う緊急事態のせいでもあるが、言い訳しても仕方ない。

「いえ、私達も余計な事をしてしまいすいませんでした」

フィオナ達も勝手に連れてきた事実は変わらない為素直に謝る、これで双方の今回の件は終わり、ここからようやく本題に入れるのだ。

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