90 / 172
第2章 前途多難な1年目
第90話 ヤベェなおい
しおりを挟む
~教室~
教室に入るとまたもや変化が起きていた、教室も食堂の時と同じ様にクロウを見ても誰も驚かなくなった。
最初の頃は口の悪さと平民を見下す発言によって周りから煙たがれる存在だったのだが、それも今では無くなり、普通のクラスメートとして扱われている。
「…せめて平民は嫌悪感抱いてよ」
「見下しながらも面倒はしっかりと見る貴方が悪いんです」
食堂の時にも言われたが、口でしか行動していないのだ、実害の出る行為は全て他の貴族達が先にやっており、クロウ自身も被害に遭っている。
それをリューク、更に言えば貴族(ヒロイン)達やたまたまそこにいた平民達の前で『同じ貴族として恥ずかしいだけだ、嫌なら堂々とすればいい』とか『貴族として恥ずかしくないのか?』とか、そう言った事も聞こえる様に言ってしまった為
『差別的な事は言うけど差別主義者ではない』
『本当は誰よりも平等な人なのでは?』
と求めていない噂が広まり、『口は悪いが悪い人じゃない』と言う人に思われている。
「この空気の中だと、どんな事を言っても通じない事もあるんだよなぁ」
「だとしてもクロウ様の日頃の行いのせいでもありますけどね」
悪役貴族に徹するとは言え、将来的に必要な事は学ぶべきである、そう思っている為
勉学もそうだが剣術も日々のトレーニングも1日たりとも怠った事はない。
それが貴族の公爵家として立ち振る舞いとして判断されてしまって余計悪評が広まりにくくなった。
「ハァァァァ…未来が変わるのは避けたいんだけどなぁ」
「未来と言ってもクロウ様の夢の話ですよね?」
確かにメイディにはそう言った、しかしそれは夢ではなくゲームのシナリオであり、この世界の未来の話である。
「そうだけど…あの夢の結末が最も良い終わり方だと俺は思っているんだよ」
「クロウ様が追放される未来がですか?」
「それと引き換えに世界は平和になるんだ、俺はゆっくりと暮らせればそれで良いよ」
追放後の話は(クロウには)ない、ならばその後の人生は自分で決める事が出来るはずだ、だからこそ その人生の為にも悪役貴族にならないといけないのだ。
「そこに私も入っているんですよね?」
「勿論だ、嫌とは言わせないぞ?」
「まさか、私はどんな所だろうとも貴方について行くと決めたんですから」
この話は1ヶ月前も話していた、そして2人は男女の関係になったのだ、彼女は本気でついて行くと決めていると、クロウも共に来て欲しいと思っている。
「とは言え、今のままだと俺は貴族のままなんだよなぁ」
「それはそれで良いのではないのですか?将来安泰じゃないですか?」
確かに将来は安泰だ、しかしこの後産まれてくる弟が跡継ぎになるのだから自分がいる必要はないのだ。(クロウが追放されたら、の話だけど)
「そうだよ、でも父さんの様に滅茶苦茶忙しい日々を送っているからそれが嫌なんだよ」
「追放された後の生活も大変だと思いますけど?」
確かにそうだ、農業のノウハウを知らない自分が自給自足の生活が出来るとは思えないし、食糧を買うとしてもお金がいる、飢餓や流行り病などが起きれば死ぬ可能性がある。
メリットが魅力的だが、その分デメリットが命懸けだ。
「そうだな…そこをどうするか何だよなぁ」
「そこもしっかり計画しないと私達はすぐに死にますよ?」
席について授業が始まるまでそんな話をしていると、こちらに元気よく近づいてくる男がいた。
「おはようございます!クロウ様!」
「ああ…おはよう」
それが先程まで話の悩みの種の1つ、自分に対して好意の目を向けてくる、平民であり将来勇者になるリュークだ。
彼も1ヶ月過ぎて大きく変化していた
良い意味でも(クロウにとって)悪い意味でも……
——————————————————————
続く
教室に入るとまたもや変化が起きていた、教室も食堂の時と同じ様にクロウを見ても誰も驚かなくなった。
最初の頃は口の悪さと平民を見下す発言によって周りから煙たがれる存在だったのだが、それも今では無くなり、普通のクラスメートとして扱われている。
「…せめて平民は嫌悪感抱いてよ」
「見下しながらも面倒はしっかりと見る貴方が悪いんです」
食堂の時にも言われたが、口でしか行動していないのだ、実害の出る行為は全て他の貴族達が先にやっており、クロウ自身も被害に遭っている。
それをリューク、更に言えば貴族(ヒロイン)達やたまたまそこにいた平民達の前で『同じ貴族として恥ずかしいだけだ、嫌なら堂々とすればいい』とか『貴族として恥ずかしくないのか?』とか、そう言った事も聞こえる様に言ってしまった為
『差別的な事は言うけど差別主義者ではない』
『本当は誰よりも平等な人なのでは?』
と求めていない噂が広まり、『口は悪いが悪い人じゃない』と言う人に思われている。
「この空気の中だと、どんな事を言っても通じない事もあるんだよなぁ」
「だとしてもクロウ様の日頃の行いのせいでもありますけどね」
悪役貴族に徹するとは言え、将来的に必要な事は学ぶべきである、そう思っている為
勉学もそうだが剣術も日々のトレーニングも1日たりとも怠った事はない。
それが貴族の公爵家として立ち振る舞いとして判断されてしまって余計悪評が広まりにくくなった。
「ハァァァァ…未来が変わるのは避けたいんだけどなぁ」
「未来と言ってもクロウ様の夢の話ですよね?」
確かにメイディにはそう言った、しかしそれは夢ではなくゲームのシナリオであり、この世界の未来の話である。
「そうだけど…あの夢の結末が最も良い終わり方だと俺は思っているんだよ」
「クロウ様が追放される未来がですか?」
「それと引き換えに世界は平和になるんだ、俺はゆっくりと暮らせればそれで良いよ」
追放後の話は(クロウには)ない、ならばその後の人生は自分で決める事が出来るはずだ、だからこそ その人生の為にも悪役貴族にならないといけないのだ。
「そこに私も入っているんですよね?」
「勿論だ、嫌とは言わせないぞ?」
「まさか、私はどんな所だろうとも貴方について行くと決めたんですから」
この話は1ヶ月前も話していた、そして2人は男女の関係になったのだ、彼女は本気でついて行くと決めていると、クロウも共に来て欲しいと思っている。
「とは言え、今のままだと俺は貴族のままなんだよなぁ」
「それはそれで良いのではないのですか?将来安泰じゃないですか?」
確かに将来は安泰だ、しかしこの後産まれてくる弟が跡継ぎになるのだから自分がいる必要はないのだ。(クロウが追放されたら、の話だけど)
「そうだよ、でも父さんの様に滅茶苦茶忙しい日々を送っているからそれが嫌なんだよ」
「追放された後の生活も大変だと思いますけど?」
確かにそうだ、農業のノウハウを知らない自分が自給自足の生活が出来るとは思えないし、食糧を買うとしてもお金がいる、飢餓や流行り病などが起きれば死ぬ可能性がある。
メリットが魅力的だが、その分デメリットが命懸けだ。
「そうだな…そこをどうするか何だよなぁ」
「そこもしっかり計画しないと私達はすぐに死にますよ?」
席について授業が始まるまでそんな話をしていると、こちらに元気よく近づいてくる男がいた。
「おはようございます!クロウ様!」
「ああ…おはよう」
それが先程まで話の悩みの種の1つ、自分に対して好意の目を向けてくる、平民であり将来勇者になるリュークだ。
彼も1ヶ月過ぎて大きく変化していた
良い意味でも(クロウにとって)悪い意味でも……
——————————————————————
続く
22
お気に入りに追加
415
あなたにおすすめの小説
地獄の手違いで殺されてしまったが、閻魔大王が愛猫と一緒にネット環境付きで異世界転生させてくれました。
克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作、面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります!
高橋翔は地獄の官吏のミスで寿命でもないのに殺されてしまった。だが流石に地獄の十王達だった。配下の失敗にいち早く気付き、本来なら地獄の泰広王(不動明王)だけが初七日に審理する場に、十王全員が勢揃いして善後策を協議する事になった。だが、流石の十王達でも、配下の失敗に気がつくのに六日掛かっていた、高橋翔の身体は既に焼かれて灰となっていた。高橋翔は閻魔大王たちを相手に交渉した。現世で残されていた寿命を異世界で全うさせてくれる事。どのような異世界であろうと、異世界間ネットスーパーを利用して元の生活水準を保証してくれる事。死ぬまでに得ていた貯金と家屋敷、死亡保険金を保証して異世界で使えるようにする事。更には異世界に行く前に地獄で鍛錬させてもらう事まで要求し、権利を勝ち取った。そのお陰で異世界では楽々に生きる事ができた。
分析スキルで美少女たちの恥ずかしい秘密が見えちゃう異世界生活
SenY
ファンタジー
"分析"スキルを持って異世界に転生した主人公は、相手の力量を正確に見極めて勝てる相手にだけ確実に勝つスタイルで短期間に一財を為すことに成功する。
クエスト報酬で豪邸を手に入れたはいいものの一人で暮らすには広すぎると悩んでいた主人公。そんな彼が友人の勧めで奴隷市場を訪れ、記憶喪失の美少女奴隷ルナを購入したことから、物語は動き始める。
これまで危ない敵から逃げたり弱そうな敵をボコるのにばかり"分析"を活用していた主人公が、そのスキルを美少女の恥ずかしい秘密を覗くことにも使い始めるちょっとエッチなハーレム系ラブコメ。
平民として生まれた男、努力でスキルと魔法が使える様になる。〜イージーな世界に生まれ変わった。
モンド
ファンタジー
1人の男が異世界に転生した。
日本に住んでいた頃の記憶を持ったまま、男は前世でサラリーマンとして長年働いてきた経験から。
今度生まれ変われるなら、自由に旅をしながら生きてみたいと思い描いていたのだ。
そんな彼が、15歳の成人の儀式の際に過去の記憶を思い出して旅立つことにした。
特に使命や野心のない男は、好きなように生きることにした。
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
これダメなクラス召喚だわ!物を掌握するチートスキルで自由気ままな異世界旅
聖斗煉
ファンタジー
クラス全体で異世界に呼び出された高校生の主人公が魔王軍と戦うように懇願される。しかし、主人公にはしょっぱい能力しか与えられなかった。ところがである。実は能力は騙されて弱いものと思い込まされていた。ダンジョンに閉じ込められて死にかけたときに、本当は物を掌握するスキルだったことを知るーー。
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
3521回目の異世界転生 〜無双人生にも飽き飽きしてきたので目立たぬように生きていきます〜
I.G
ファンタジー
神様と名乗るおじいさんに転生させられること3521回。
レベル、ステータス、その他もろもろ
最強の力を身につけてきた服部隼人いう名の転生者がいた。
彼の役目は異世界の危機を救うこと。
異世界の危機を救っては、また別の異世界へと転生を繰り返す日々を送っていた。
彼はそんな人生で何よりも
人との別れの連続が辛かった。
だから彼は誰とも仲良くならないように、目立たない回復職で、ほそぼそと異世界を救おうと決意する。
しかし、彼は自分の強さを強すぎる
が故に、隠しきることができない。
そしてまた、この異世界でも、
服部隼人の強さが人々にばれていく
のだった。
1000年生きてる気功の達人異世界に行って神になる
まったりー
ファンタジー
主人公は気功を極め人間の限界を超えた強さを持っていた、更に大気中の気を集め若返ることも出来た、それによって1000年以上の月日を過ごし普通にひっそりと暮らしていた。
そんなある時、教師として新任で向かった学校のクラスが異世界召喚され、別の世界に行ってしまった、そこで主人公が色々します。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる