剣ぺろ伝説〜悪役貴族に転生してしまったが別にどうでもいい〜

みっちゃん

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プロローグ 学園編までの生活

第22話 …なんでここで授業?

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~夜 浴場にて~

「…なぁ」

「はい?」

「なんでお前も一緒に風呂に入るんだ?」

7歳になってもメイド達と一緒に風呂に入っているクロウはそこにリーゼがいる事に疑問を持つ。

「貴方専属の家庭教師だからです」

「意味わからねぇよ」

「何故です?」

本当に意味がわからない、専属の家庭教師と言っているが、ただ単に家庭教師だ、金で雇っている以上クロウだけに教えるのは当たり前のことだ。

金を払っているのに何も教えないと言うのならそれはもう泥棒と一緒だ。

「何故?じゃねぇよ、家帰れよ」

「いえ、ここで住み込みの家庭教師をやる事になりましたので」

「クロウ様行きますよー」

メイディ(今日の当番)はクロウを抱っこすると身体を洗う所まで連れて行く。
(もう慣れた…嫌な意味で)

「…でもなんで今俺と一緒に入ってるの?」

「家庭教師だからです」

「つまり、ここでも授業をすると?」

メイディがクロウの頭を洗いながら質問するとリーゼは「うん」と頷く、どうやら正解な様だ。

「最初っからそう言ってくれない?」

「すいません、教え方が下手くそでした」

「教え方がと言うか言葉が足りませんね…本当に家庭教師出来るのかしら」

昼間は魔法の力を見せてもらうとか言って戦っただけだし、戻った後は陽が暮れて今に至るので、今日はまともな授業を受けていない。

「大丈夫です、私も生活が掛かっているのでしっかりと教えます」

「頼むよ?優秀でも教え方が意味わからなかったら即クビだからね?」

その方がヒロインと深く交流しなくても済むのでそっちの方がありがたいが、そうはいかないのは世の常だ。

「クロウ様、リーゼ様がここで教える授業で、判断出来ますから大丈夫ですよ?」

「何が大丈夫かは分からないけど、兎に角ここで授業をしてくれるんだろ?」

「はい、クロウ様は水魔法が使えます、なら風呂場は水魔法の授業をするのにちょうど良い場所なのです」

確かに水(…正確にはお湯だけど)がここには豊富にある、これを使って授業するのは中々に面白そうだ。

「それで、どんな授業をしてくれるの?」

「本日は水の扱い方ですね、私も水魔法が使えますから、よく見ていてください」

メイディに身体を洗ってもらっているとリーゼが身体に付着している水を動かし始める。

「魔法を見た時に水の刃を作っていましたが、精度を上げるためにこう言った周りにある水を操作する…これが今回の授業です」

湯気で立ち込める水蒸気や床にある水などを動かして身体にある石鹸の泡を落とす。

綺麗な裸体が目の前に広がり、眼のやり場に困るが、メイディ達のせいで耐性がついてしまった為、真剣に聞いてしまった。

「これが私の汚れの玉です…これを」

リーゼはシャボン玉の様に一箇所にまとめた水達を器用に動かしながら排水口に投げて水を流す…言葉が足りないが、上手く説明できない。

「魔法というのは攻撃など力を大きく使う時は詠唱などしますが、こう言った小さな魔力で簡単な動きをする時は詠唱なしでできます」

「へぇそうなんだ」

「クロウ様湯船に行きますよ」

リーゼは説明しながら湯船に浸かって、「ほう」と綺麗な顔でため息をこぼす。

「クロウ様はこの湯船によって立ち込める水蒸気を使って水の玉を作ってください」

「これにはどんな効果があるの?」

「魔力制御、コントロールがよくなります、強い魔力でも上手く制御出来なければ使いものになりませんから」

どうやら思っていた以上にまともな授業をしてくれる様だ。

今の話もよく理解できる、つまり
燃費の悪い車と燃費の良い車の様な事だ
燃費が悪いと例えガソリンが多くても沢山使ってしまい、さらに移動距離も少ない
が、燃費が良いとガソリンが少なくても、燃費の悪い車よりも少ない燃料で沢山走る事が出来る。

これを風呂場で遊びながら出来る
一緒に風呂に入ることはおかしいが、教える内容については中々に面白い事だ。

「さ、のぼせたら行けませんから早速やりましょう」

「ああ」

そう言ってクロウはメイディに「上がりますよ」と言われるまで(約30分間)ひたすら魔法の練習をした。

——————————————————————
続く
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