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最終章 ~彼らの終着点~

第六百三十話 一時のお別れ

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~次の日~

「早く帰って来てね?」

「はい、お母様」

学園に通っていた時に送ってくれていたおじさんが運転する馬車に乗ってミュウはそう答える

「またお世話になります」

「良いってことよ、それと平民から貴族様になるなんてな、おめでとう」

「ありがとうございます」

お金を払って運転してもらっているが、彼のおかげで平和なひとときを過ごせていたのも事実だ、感謝しか出来ない

「それでは、参りましょう」

「はい、では奥方様、私はこれで失礼します」

「ええ、あと私の事はイリスと呼んでください、夫とは離縁しましたから」

「分かりました、イリス様、失礼します」

馬の鞭を振り馬を動かす
アリア達は乗りながらもう一度会釈して帰路に着く

「またすぐに戻ってくるんですか?」

「ええ、アリア達の荷物と私の屋敷の荷物などを実家に運びながらあそこで暮らします」

カルデア王国の国王にも帰国する事を伝えて、ミュウとの結婚の保証人やカルデア王国の貴族にしてもらえた事に感謝しなくてはならない

「けど、主様はカルデア王国の貴族じゃ、他国で暮らしても良いのか?」

「元々フローラ家はミュウ1人、なら俺が婿養子になる以上ミュウの実家に帰った方が形はいいだろ」

「それに他国との同盟関係としてエイトはカルデア王国の貴族でありながら私達の国の貴族の跡継ぎ、もしくはそれの夫となるのよ?文句はないと思うわ」

カルデア王国に居ればそこにいる兵士達に守ってもらえると思うが、フローラ家にも兵士はいる

国に置いといて戦争回避の為の道具としても使いたいとカルデア国王は思っているが、エイトはフローラ家の婿むこになるのだ

他国の貴族の領主になる人間が、自国に置いておくのは関係的にも微妙な事になる

「そこはまた国王様に聞くしかないよな、元々国王様はカルデア王国に置いておきたいとは言ってたから」

「理由を話せば何とかなると思うわ、私達のとの同盟もエイトがいれば破棄される事もないと思うし」

ミュウの言う通りだ、エイトは平民であるが、公爵家の人間となり、公爵の爵位を叙爵し、世界を救った英雄だ

他国に付け入る隙、追放や暗殺、裏切りや処刑など、わざと悪人に仕立て上げて不遇な扱いをすれば

魔王、剣姫、厄災、暗黒神という世界を滅ぼす事が可能な者達が反旗を翻して「エイトを否定する世界を私達は否定する」とか言って国を滅ぼしかねない

「ハァ、折角全てが終わったと思ったのにまた行かないといけないのか…面倒くさいなあ」

「我慢してください、後々大事になるよりかはマシですよ」

「シルフィ姉様の言う通りです、ミュウ姉様の所で暮らす、それを言うだけなんですから」

「ワシ達の意見を無碍には出来ぬよ」

国王だって穏便に済ませたい筈だ、エイト達は一騎当千のつわものと呼べる…いや、それ以上の者達だ一国の軍では壊滅的被害を喰らうのは必須だ

「明日言いに行くかぁ…予約?とかはしなくても良いかな?」

「アポの事?国王だって仕事が忙しい筈だから門兵の人達に言えば良いんじゃない?」

兵士達が国王の所へ行き、国王に「英雄達が待っている」と伝えれば最優先でこちらに来て貰えるだろう

「だけど、それはなんか失礼じゃない?」

たかがどっちに住めば良いか?と言う事の為だけに貴重な時間を割いて貰うのだ、普通は出来ない

「でも兄様、そうなると何ヶ月も待たないと行けませんよ?」

「国王には悪いが数分間の為に仕事の1つか2つ遅らせてもらうぞ」

普通は出来ないが、この問題は国家の絡みとなると中々に面倒な話しになる為あながち…と考えればあながち…な話である

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寝落ちしながら何とか完成
取り敢えず10時間ほど寝て来ます(^◇^;)





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