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最終章 ~彼らの終着点~

第六百七話 さようならと謎

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神父がアイとメグミの墓石の前で健やかなる眠りにつけるように啓示を言っている

自分達は手を合わせてただひたすらに冥福を祈っていた

(…お前達を許したわけじゃないし、これからも赦すつもりはない…けど、父さんと母さんの為にも祈っておくよ)

何度でも言うが、エイトは自宅で命を狙われた事があるし、ミュウもカイトのストーキングの手伝いをされている為、正直に言っていい思い出が少ない

けれど死者を愚弄するなんて事は出来ないし、エイトにとっては義理の姉妹だ、せめてあの世では普通に過ごしてほしい

(私はエイトと結婚します、カイトは多分そっちに行くのでそっちで仲良くしてください)

(もう2度と私達の前に現れませんように)

(あたし達は洗脳されていません、なのでストーカー行為はもうしないでください)

(ワシはもう疲れたのじゃ、じゃからもう来るでないぞ?)

ミュウ達も心底疲れたようで「もう2度と会えませんように」と、彼女達に思いを伝えていた

「これで彼女達は女神アダマス様の元へと行かれました」

「そうですか、今日はありがとうございます」

「いえ、では神の祝福があらんことを」

神父はそう言うと教会の中に戻って行った、残ったのはエイト達とその両親だけだ

「父さんと母さんはこれからどうするんだ?」

「俺達か?俺達はもう少しここにいるよ、心の整理をしてしっかりとケジメをつけたいんだ」

「ごめんねエイト、やっぱりまだ受け入れきれていなくて…」

「いや、母さん達が普通なんだよ、俺やアイ、メグミがおかしいんだ」

正確にはアイとメグミがおかしいだけだ、これでエイトをクズ扱いする人もいるかもしれないが、普通考えてほしい

自分の事を殺そうとし、完全に拒絶した相手を本当に許せるのだろうか?

それで許せるのは本当のお人好しか、超絶的な人格者か、それでも彼女達の事が好きな変な人くらいだ

エイトは英雄ヒーローに憧れを持っていたが、そこまで許せる程の人間にはなれなかった

「いや、気にする必要はないエイトにとっては義理の姉妹だろうが家族だろうが、許してはいけない事を娘達はしたんだ」

「それにやっと掴み取ったんでしょ?今はただその事を喜びなさい」

「…ありがとう、父さん、母さん」

本当はエイトの事も100%許した訳ではないだろう、例え正当防衛とは言え自分の娘を殺されたのだ

何とも言えない状況になっているだろうが、それでもエイトの事を(完全にではないが)許したのだ、その思いは慈悲は素直に受け取ろう

「行こう、みんな」

「うん」

「はい」

「では、失礼します」

「ご冥福を祈るのじゃ」

エイト達はそう言うと墓場から去る、この後はミュウの実家に帰って無事に公爵の爵位を叙爵した事を伝えにいかなければならない

教会の中に入って、いつもの街に戻る
別に教会を経由して通らなくてもいいのだが、神父に改めてお礼を言う為だ

「その神父様はいなかったけどな」

「仕方ないじゃない神父様だって忙しいのよ」

まぁ天国に行く為とか、人々の幸福の為とか言う素数を数えるヤベェ奴よりかはマシだろうが、せめてもう一度お礼は言いたかった

「しかし、今回はおかしかったですよね」

「ん?何が?」

「いえ、好感度アップの性能ですよ」

シルフィはそう言ってエイトに自分が感じた疑問を話す

「普通死んだ相手の能力は無くなると思うんですよ、ですがカイトが死んでもその性能は残っていました」

「そうだな」

「Reset前の世界での性能は知りませんが、Reset後は消えませんでした、これが気がかりで」

と、シルフィは疑問になった事を話す
確かに考えてみればそうだ、Reset前のカイト達のその後は知らない、知る前に死んでしまったからだ

しかし今は生きているし、彼女達が襲って来た、その事を考えると能力は死後も残ると言う仮説が出来る

仮説と言うか多分それが答えだと思うが、能力と言うのは使用者が死ねば普通は消える
だからこそシルフィが疑問に思っているのだ

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