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第10章 〜動き始めた歯車〜

第四百二十七話 救いの聖女

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ゼルグに敗れてから4日後
(4ヶ月と28日目)

「雪原で倒れているのを見つけて、助けてから今日で4日目…大丈夫かなぁ?」

白い髪に青い目、
雪の様な白い肌をしていて、
頭には黒くて長いピン留めが1つついている、
首には白いマフラーを巻いており
首から胸までを覆うタートルネックと呼ばれる服みたいな軽装備をつけており
そこから下は黒く長いスカートを履いている
靴はこの雪の中でも動ける様にロングブーツを履いている

「遭難…な訳ないよね…あんなボロボロの姿でいたら凍死しちゃうわよ」

女性はそう言うと焚き火の近くでタオルを巻いて寝かせている男を見る、
中々のイケメンだ、昔の自分なら迷わず頂いただろう。

「それにしても、なんか気になるんだよなぁ…勇者様に似ている様な…そんな感じ」

勇者とは一時期婚約関係にあったが、自分の過去の行いが悪かった為、それは無くなった。

「…ん…こ…ここは?」

「あ、目が覚めた」

目が覚めるとそこは洞窟の中だった、外はまだ明るいのか洞窟の中も明るく、焚き火の音が響き渡る。

「…温かい」

「ん?まだ見えてないのかな?」

「え?…あ、」

「やっと気づいてくれた?」

4日間も気を失っていたのだ、視界がボヤけても仕方ないし、周りが見えなくても文句は言えない。

「あの…貴女は?」

「私?私はアミ、4日前に君が倒れているのを見つけて、ここに運んで、目が覚めるまで助けてたの」

「そうなんですか…助けてくださり、ありがとうございます」

そう言って頭を下げる、アミは「別に平気よ」と笑って許してくれた。

「所で君の名前は?」

「あ、すいません名乗るのを忘れてました、俺の名前はエイトです」

「エイト?(それって確か、勇者様が話していた…)」

アミは男の名前を聞くと、不意に考え込む、エイトは不思議そうにアミを見つめる。

(どうしたんだろう?なんか俺の事を知っている様な見方だな)

("希望を統べる者達"と言うパーティの英雄…だっけ?)

アミはこちらを見て、口を開く

「ねぇ、貴方ってもしかしてルクスの事を知っている?」

「え?ルクスですか?」

「知ってるの?」

「はい、DDダークデビルを倒す為に一時期一緒に旅をしていました」

エイトがそう言うとアミは「やっぱり」と頷く、どうやらエイトの予想通り、アミは自分の事を知っている様だ。

「あの、貴女はルクスと何か関係があるんですか?アミさん」

「アミでいいわ、敬語も不要よ」

「あ、では…アミ、もしかしてルクスの仲間か?」

アミは「うん」と頷く、運が良かった、まさかルクスの仲間に助けてもらえるなんて、「読心術コールドリーディング」でも嘘は言っていないとわかった為、彼女の事は信頼できる。

「改めて、自己紹介するわ、私はアミ、勇者リムルと一緒に魔王討伐の旅をしていた"聖女"よ」

「…え?」

驚くのも無理はない、つまり彼女はリムル達と一緒に旅をしていた「勇者パーティ」の1人と言う事になる。

「魔王を倒した後は、聖地に行って心と身体を清めて、今はDDダークデビルを倒す為に個人で活動しているわ」

そしてエイトの事を知っているとと言う事は何かしらの方法で連絡を取り合っているのだろう。

「君の事は勇者様から聞いてるよ、私達の世界とは違うクズの勇者の代わりに世界を救おうとしているんでしょ?」

「ええ…まぁ、一応」

そんな大それた事は考えていない、ミュウと結婚する為に動いているだけだ。
そんな邪な事をエイトは心の中で思う。

「…所で他の人達は見なかったか?俺の仲間なんだが…」

「いえ、見てないわ、あの時あそこにいたのはエイトだけよ?」

「そう…ですか」

嘘は言っていない、どうやらここには1人で吹き飛ばされたらしい。

——————————————————————
(ミュウは大丈夫か?アイツ相当なコミュ障だぞ?)
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