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第10章 〜動き始めた歯車〜
第四百十九話 私の想いは… アイリside
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「…行きましたか」
アイリはそう言うと、街へ歩き始める、今頃ルクス達は自分が言った街外れの遺跡の所にいるだろう。
(これでDDの足止めは出来た筈…)
しかも相手は「幹部」相手にとっては大分痛手を負う事になっただろう。
「私はそちらには行けませんが、ルクス…どうか無事でいてください」
そう言って過去の婚約者の無事を祈る、決して叶わない想いを込めて…
「…醜いものですね、私が彼を裏切り、追い詰め、挙げ句の果てに殺そうとして…それでもこうして生かされている」
ヤーヴァイ村で自分は生まれた、幼馴染みのルクスは心の底から好きだった…けど、あの頃の私は彼の気持ちに気づく事はなく、彼の心を苦しめていた。
それでも婚約者でいてくれたのは、自分が変わってくれる事を願っていたのだろう、例え途中から完全にその想いが消えたとしても、その事実は無くならない。
「勇者様も妹の幸せの為に、自ら汚名を被った」
勇者リムル、生まれついての魅了の眼により、自分の父親からは拒絶され、母親は過労で死に、妹は傷つき、男からは嫌われ、悲惨な人生を送っていた、
それを救ってくれた魔法使いのアマギ、私の元婚約者のルクス、その恩に報いる為に、私を含む3人のクズを自分の嫁にしようとしていた。
「なのに今はオワイコット王国のメラナ姫と結婚…報われてほしいわね」
他の2人も、自分も、殺される事はなく、人生をやり直すチャンスを貰った…なのに
「まさか記憶が戻るなんてね…ルクスとアカギの能力は魔王にも匹敵するのに…」
つまり相手はその魔王すら超える者と言う事だ、そして
「クリュエルの言っていた"あの方"…私の記憶が戻る程の力、私に関係する者…まさか」
アイリはとある者を思い浮かべるが、即座に否定する、可能性は0ではないが、普通に性質を考えて不可能だ。
「あり得ない…"奴"にそこまでの力はないはず…でも隠していたら?」
ルクスとアカギの使った技、あれだってあの世界では使えない技だ、いや正確に言えば使えるが、制御が難しい上級の魔法だ。
でもあれはあの世界に存在しなかった技、となると…
「奴が?…いや、もう考えるのはやめましょう」
アイリは考えるのやめて、歩みを進める。
確かに考える価値はあるが、考え過ぎても答えは出てこない、
兎に角今分かった事は、自分の「記憶が戻った原因」はDDが関係していると言う事だ。
だからこそクリュエルは記憶を取り戻した自分をDDに入る様に誘って来たし、
ルクス達じゃわからない事を知り得る存在である自分を消そうともして来た。
「とりあえず今は、ルクス達が帰ってくるのを待つしかないですね」
自分の中ではある程度話しの内容はまとまった、後はルクス達と合流した時に話せばいい。
「ルクス…許してくれとは思ってないし、欲しいとも思ってないわ」
けど、
「貴方の事を想うこの気持ちは、どうか許して欲しいわ」
もし、私がもう少し本音を話せていたら、
もう少し勇気を出していたら、
今の様な結末にはならなかったのかな?
叶うはずのない、もう一つの物語があったのかもしれない
私は分岐点を間違えた、
私の隣にではなく、彼の隣に立てる様にしなきゃ行けなかったんだ。
魔法を拒絶するんじゃなくて、新たな道として取り組めば良かったんだ、
弱いからと言って一方的に痛めつけるは絶対にしてはならなかった。
彼の為に守り、彼の隣で強くなり、彼の気持ちを理解する、これが出来なかった、だからこそそれが出来るアカギはルクスの妻として幸せな生活を送っている。
「その幸せを私はもう奪いたくない、ルクス、もう何を言っても無駄かもしれないけど、これだけは言わせて…」
「愛してる、これからも貴方を心の中で応援しているわ」
もう自分の出る幕はないのだから
——————————————————————
「剣聖」アイリ
何故か記憶が戻り、DDに勧誘されたルクスの幼馴染み
今は「オワイコット騎士団」として活動している。
ルクスとアカギの事を心から祝福しており、昔の行いを後悔している。
アイリはそう言うと、街へ歩き始める、今頃ルクス達は自分が言った街外れの遺跡の所にいるだろう。
(これでDDの足止めは出来た筈…)
しかも相手は「幹部」相手にとっては大分痛手を負う事になっただろう。
「私はそちらには行けませんが、ルクス…どうか無事でいてください」
そう言って過去の婚約者の無事を祈る、決して叶わない想いを込めて…
「…醜いものですね、私が彼を裏切り、追い詰め、挙げ句の果てに殺そうとして…それでもこうして生かされている」
ヤーヴァイ村で自分は生まれた、幼馴染みのルクスは心の底から好きだった…けど、あの頃の私は彼の気持ちに気づく事はなく、彼の心を苦しめていた。
それでも婚約者でいてくれたのは、自分が変わってくれる事を願っていたのだろう、例え途中から完全にその想いが消えたとしても、その事実は無くならない。
「勇者様も妹の幸せの為に、自ら汚名を被った」
勇者リムル、生まれついての魅了の眼により、自分の父親からは拒絶され、母親は過労で死に、妹は傷つき、男からは嫌われ、悲惨な人生を送っていた、
それを救ってくれた魔法使いのアマギ、私の元婚約者のルクス、その恩に報いる為に、私を含む3人のクズを自分の嫁にしようとしていた。
「なのに今はオワイコット王国のメラナ姫と結婚…報われてほしいわね」
他の2人も、自分も、殺される事はなく、人生をやり直すチャンスを貰った…なのに
「まさか記憶が戻るなんてね…ルクスとアカギの能力は魔王にも匹敵するのに…」
つまり相手はその魔王すら超える者と言う事だ、そして
「クリュエルの言っていた"あの方"…私の記憶が戻る程の力、私に関係する者…まさか」
アイリはとある者を思い浮かべるが、即座に否定する、可能性は0ではないが、普通に性質を考えて不可能だ。
「あり得ない…"奴"にそこまでの力はないはず…でも隠していたら?」
ルクスとアカギの使った技、あれだってあの世界では使えない技だ、いや正確に言えば使えるが、制御が難しい上級の魔法だ。
でもあれはあの世界に存在しなかった技、となると…
「奴が?…いや、もう考えるのはやめましょう」
アイリは考えるのやめて、歩みを進める。
確かに考える価値はあるが、考え過ぎても答えは出てこない、
兎に角今分かった事は、自分の「記憶が戻った原因」はDDが関係していると言う事だ。
だからこそクリュエルは記憶を取り戻した自分をDDに入る様に誘って来たし、
ルクス達じゃわからない事を知り得る存在である自分を消そうともして来た。
「とりあえず今は、ルクス達が帰ってくるのを待つしかないですね」
自分の中ではある程度話しの内容はまとまった、後はルクス達と合流した時に話せばいい。
「ルクス…許してくれとは思ってないし、欲しいとも思ってないわ」
けど、
「貴方の事を想うこの気持ちは、どうか許して欲しいわ」
もし、私がもう少し本音を話せていたら、
もう少し勇気を出していたら、
今の様な結末にはならなかったのかな?
叶うはずのない、もう一つの物語があったのかもしれない
私は分岐点を間違えた、
私の隣にではなく、彼の隣に立てる様にしなきゃ行けなかったんだ。
魔法を拒絶するんじゃなくて、新たな道として取り組めば良かったんだ、
弱いからと言って一方的に痛めつけるは絶対にしてはならなかった。
彼の為に守り、彼の隣で強くなり、彼の気持ちを理解する、これが出来なかった、だからこそそれが出来るアカギはルクスの妻として幸せな生活を送っている。
「その幸せを私はもう奪いたくない、ルクス、もう何を言っても無駄かもしれないけど、これだけは言わせて…」
「愛してる、これからも貴方を心の中で応援しているわ」
もう自分の出る幕はないのだから
——————————————————————
「剣聖」アイリ
何故か記憶が戻り、DDに勧誘されたルクスの幼馴染み
今は「オワイコット騎士団」として活動している。
ルクスとアカギの事を心から祝福しており、昔の行いを後悔している。
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