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第10章 〜動き始めた歯車〜

第三百九十七話 再出発

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「じゃあ行くか」

「どこに?」

「…ミュウ、それを本気で言っているんなら殴るよ?」

「…ごめんなさい」

ミュウは素直にエイトに謝る、シルフィ達はそれを見て「何やってんだが…」とため息をこぼす。

「それで、次の街はどうするんですか?」

「Reset前の記憶を辿ると、ここから街や村、王都なんかも人がいなくなっていく、目指す場所は決まっているから、後は野宿だな。」

幸いにも食糧は
エイトの「引き継ぎ」
ミュウの「ダウンロード」
アリアン…もといアリアとエルの「魔術」によって食糧の備蓄は相当ある。

無駄遣いをしなくて本当に良かったとエイト達は心底そう思った。

「と言う事は、いつもと変わらない、と言う事ですね?」

「そうだな、俺達は"情報"は手に入れた、けどそれだけだからな。」

と、シルフィの問いにエイトはそう答える。
夢を叶えてくれる像も言っていた、「座っているだけ」と、

これはその象の話を「聞いているだけ」でその気になっていると言う事だ。

本当はもっと細かい理由があるが、エイト達の話である為必要性はない。

「俺達は何も状況が変わっていない、寝て起きただけだ。」

補足を入れると問題の8つの内半分は終わっているが、アリアとエルの記憶を共有してから、と言う事だ。

「今の状況を変えるには動くしかない、目的地は分かっているんだ、例えどんなに時間がかかっても、進むしかないんだよ。」

「そうですね、兄様の言う通りです。」

「うむ、ワシ達の目的は口だけで解決する程簡単ではないからの。」

アリアとエルはエイトの言葉に頷く、つまりそう言う事なのだ、現状を打破する為には行動あるのみ。

「それじゃあ、気を取り直して、行きますか。」

「うん!」

「はい!」

「わかりました!」

「うむ!」

そう言って5人は湖のほとりから抜ける為に歩き始める、目的地は厄災のいる
「とあるほこら」、ネーミングセンスを今でも疑うが、そのうち慣れるだろう。

湖の外に出ると、ちょうど朝日が登り始める、一昨日の死闘がまるで数年ぶりに感じる程懐かしさと悔しさが押し寄せてくる。

「…やっぱり現実なんだな。」

「ええ…あの悲劇も、あの激戦も、あの光景も、夢じゃなくて現実よ。」

エイトとミュウは地面に残る水溜りが、太陽の光によって美しく輝く光景にどうしようもない罪悪感を覚える。

勇者カイト、彼が暗黒神エルガウルを蘇らせようと動くDDダークデビルの仲間になった事で、すぐ近くに見える街は滅んでしまった。

「…まだ煙が見えますね。」

「はい…一昨日は相当燃えていましたからね…」

昨日は朝から晩までアリアとエルの記憶を共有して、日が昇る前に目が覚めて、幹部シロガネ達との戦いから2日経過していた。

「ワシ達が来た頃には惨劇は起きておった、勇者カイト…酷い事をしよる。」

外道カイトの「ムカつくから」と言う理由であの街は滅んだ、多くの命が奪われ、女神アダマスはそれを容認していた。

DDダークデビルの手に堕ちたのは不味いが、これ以上被害が出ない事には安堵する。

「アイツらがカイトもアダマスを助けるとは思えない、また来るかもしれないから皆んな気をつけてくれ。」

あのストーカー男が簡単に諦めるとは思えない、何かあってもいい様に準備はしておいた方がいいだろう。

「敵は私達よりも強大…なら」

「旅をしながら強くなればいい…ですよね?」

シルフィの言葉にミュウは頷く。

「姉様達の言う通りですね!」

「ワシ達の記憶を使えば、敵の戦い方はなんとなく覚えておるじゃろ?」

その言葉にミュウ達は頷く、女神アマス、最も強大な敵であり、倒す為には「神殺しの矢エル•キール」をぶち込むしかない敵

「コイツをなんとかしないとな」

——————————————————————
ミュウの「ダウンロード」

ミュウの「ダウンロード」は1つ技をダウンロード中は他のものは出来ない。

逆に「してあるもの」は常に使える
エイトの「引き継ぎ」と違い身体への負荷は少ないが、土壇場で必要な技か使えない事もある為、敵と戦う時は頭を使う。

Reset前の世界でのミュウは数年間「神殺しの矢エル•キール」をダウンロード中だった為、使える技はReset後よりも少ない。

また「DDダークデビル」と言う敵組織もいなかった為、実力も劣る。
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