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第9章 外伝2 〜英雄〜

第三百九十一話 ご都合展開

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「そんなの…断る訳ないですよ。」

「…そうか、そう言ってくれると助かる。」

エイトにとって、アリアとエルはこの世界オラクルで出会った新しい家族だ、本当なら一緒にいて欲しい所だが、女神アマスがいる限りそんな未来は叶わない。

「でも、あたし達はどうすればいいんですか?」

『そうじゃ、リセットされた所でワシ達2人だけじゃ勝ち目はないぞ?』

万全の状態でも、エイト達5人では歯が立たない相手だ、それなのに今度は魂が合わさり事実上1人のアリアが女神アマスに勝てる訳がない。

「それは大丈夫だ、女神アマスの奴、また同じ事をしてるからな。」

「?」

エイトの体はほぼ半透明となっており、後ろの白い背景がくっきりと見える。

「女神アマスは自身のミスによってアリアとエル、つまり君達が誕生した。」

正確には初代女神の引き継ぎ途中で女神アダマスが現れて中途半端になったせいで、バグが生まれてアリアとエルと言う厄災と暗黒神の片割れが生まれたのだが、女神アマスの責任でもある為、気にする必要はない。

「そのバグを利用してアリアとエルの力と俺の残る僅かな力で世界をResetする。」

「…は?」

「いや、そんなマジレストーンで言われるとこっちも困るんだけど…」

「いや、言いたくもなりますよ、世界をリセットって、あたし達に出来るわけないじゃあないですか。」

普通に考えればそうだ、いくら自分達がバグによって生まれた暗黒神と厄災の片割れと言っても、そんな力はない。

「いや、俺の命と引き換えに"引き継ぎ"を使ってResetを引き継いて、アリアとエルの魔力を使ってResetすれば、運が良ければ女神アマスを出し抜けるかなぁ…って。」

「アホですか?」

「ウグッ!?」

『馬鹿なのじゃ…そんなご都合展開があるわけないの…じゃ?』

エイトが考えた非現実的な話だが、エルはふと考える。

「…エルちゃん?」

「え?エルそこにいるの?」

エルの姿はエイトには見えないらしく、また声も聞こえない為、アリアがいきなり「エルちゃん」と言った為驚く。

「なんて言ってるの?」

「えっと…『主様の考えた案…意外にも使えるかもしれんぞ?』…だそうです。」

「本当か?」

「はい…どうやらこの時空の歪みの世界を利用して更にバグを起こして過去に遡る…文字通り出来る…と」

この白い空間は言わば世界が変わる間の世界、エイト達のいたオラクルと女神アマスが修正するResetの世界、その構築中の世界でエイト、アリア、エル、3人の力を使いこの改変途中の世界にResetバグを起こす。

文字通り、ご都合展開過ぎる展開だ、しかしそんな事が平気で起こり、女神アマスはそれを実現しようとしている。

なら、やってみる価値はある。

「アリア、エル、本当に俺がここにいられる時間は残り僅かだ、…ご都合展開でもなんでも良い!やってみるぞ!」

「はい!兄様がそう言うのなら!」

可能性は低いが何もしないよりはマシだと思う、僅かにチャンスがあるのならそれに賭けてみるのも悪くはない。

「アリア!、エル!全魔力を解放しろ!!!!!」

「はい!!!!!」

『なのじゃ!!!!!』

アリアはエルの魔力も含めて全魔力を解放した、その力は凄まじく、女神アマスには及ばないが、やはり英雄であるエイトですらギリギリの力がある。

「"引き継ぎ"Reset!!!!!」

エイトはそう叫ぶと同時に空間にヒビが入り、そこにアリアとエルの魔力が入る事により、不思議な事に時空の歪みが起きた。

いや、この世界も歪みそのものだが、それ以上の摩訶不思議が空間がそこにある。

「兄様!出来ました!」

直感的にわかる、これは間違いなく成功したのだと、その喜びを分かち合いたい、そう思ったアリアだったが…

「…兄様?」

そこにエイトの姿はなかった。

——————————————————————
Resetの空間

作中で使われていた
空白の世界
時空の歪みの世界は同じ意味で、

女神アマスがResetをして自分にとって都合の良い世界にする為に起きた言わば編集中の世界

その為、「プログラム」や「リセット」の力が最も影響しやすい世界となり、エイトの命と引き換えにほんの僅かな時間だけバグを起こす事が出来る亀裂が出来た。

エイト達が「ご都合展開」と言ったのはこの世界ではそんな事すら可能に成る程で
ゲームに例えると製品化しているのにバグだらけで、やりたい放題出来るから。


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