幼馴染み達がハーレム勇者に行ったが別にどうでもいい

第9章 外伝2 〜英雄〜

第三百六十三話 崩壊 カイトside

勇者カイトが英雄エイトに敗れてから半年後
～その時の村～

「…………」

「大丈夫？カイト君？」

「…………」

カイトは仲間の女性の言葉を無視してベットの隣にある窓の外をずっと眺めている。

カイトの顔にはもう生気は無く、ただ無気力に生きている。

「…お腹空いたら食べてね？」

仲間の女性はそう言うとベットの隣にある机に食材を「コト」と置く。

それでもカイトはそれに目もくれず、まるで何も聞こえていないかのようにボーッとしている。

「……メグミもアイもサユリも可笑しくなっちゃったし…勇者パーティーはどうなるのよ…」

深いため息をこぼしながら仲間の女性はカイトの部屋から出ていく、「バタン」とドアを閉めると、他の仲間が目の前にいた。

「どう？」

「ううん、駄目、今日も変わらなかったわ。」

首を振って成果なしの事を伝える、もう1人の仲間も「やっぱりかぁ」とため息をこぼす。

「カイト君が負けてから私達もおかしくなっちゃったからなぁ…」

「あんなにいた仲間も負けた4人と、私達2人だけ、もうダメなのかなぁ？」

カイトの能力、もとい女神アダマスにより意図的に授かりし能力、「洗脳」

俗に思想改造のことで、
第二次大戦後の一時期、中国のそれを、揶揄やゆ的に表現した brainwashing の訳語から出ている。

簡単に言えば自分の都合の良い人間を作る能力と言う事だ。

「魅了」とは違う

魅了はすっかり相手の心を引きつけて夢中にさせてしまうこと。「観客を―する演技」とかに使われる。

簡単に言えば自分の事を好きになる能力と言う事だ。

カイトが使ったのは…使っていたのは「洗脳」カイトにとって都合の良いオモチャと言う事だ。

「本当に駄目かもね、見たでしょ？皆んなの姿」

「うん…いきなり皆んな"辞める"とか"騙された"とか、泣いてたり、怒ってたりしてたもんね。」

勇者カイトが負けただけではこの様な事にはならない、なった原因は女神アダマスが死んだ事による「洗脳」の解除が原因だ。

2人が冷静でいられるのは恋人等がいなかったからだ。

他の人達は彼氏、幼馴染み、夫、彼女、妻と言った恋人が元々いたのだ、それをカイトの「洗脳」により寝取られ、地獄の底に叩き落とされたのだ。

「あれを阿鼻叫喚あびきょうかんって言うのかな？中には自殺未遂した仲間もいたもんね。」

「あんなにいた仲間ももう私達だけ…動けるのも私達2人だけ…」

2人はカイトとアイ、メグミ、サユリの介護のせいで約半年間していない
毎日の様に抱かれていた2人にとってはもう耐えきれない程に

「ねぇ、私達も抜けない？」

「なんで？」

「なんでって…何かさぁカイト君の事が好きって気持ちはあるけど…なんだろう…あの頃の様な感じになれなくて。」

「…確かに、なんか全然ときめかないし、まるで小さい頃に憧れた王子様の様な…イケメン友達…って言うか…」

2人も「洗脳」の効果はないが、カイトの顔で判断していた為、その好感度は変わっていない。

「それに私、貴女とする方が…その…」

「…私も好きよ」

カイトいるの扉の前で、アイ達を除く最後の仲間の2人は指を絡め合い、唇を重ねる、唾液を交換してお互いの秘部を「クチュクチュ」といじり合う。

「じゃあ…一緒に…」

「うん…一緒に…イこう？」

２つの意味でいった2人はそのまま村を出てカイト達のパーティーから抜けた。

こうして、勇者カイトのパーティーは事実上壊滅した。

「………」

そんな事もつゆ知らず、カイトはただただ窓の外を見続けている。

現実逃避…それが今カイトのできる唯一の事だろう。

愛する人はもうこの世にはいない、全て奪われてしまった、自分の妄想していた偽りの真実が崩れ、愛する人ミュウから言われた聞きたくもない現実を突きつけられ、

その夢ミュウとの結婚は儚く終わった。

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噂によると、最後に抜けた女性2人はのちに6人の女だけのパーティを作り、女性冒険者達の憧れの的となったとか？
(キマシタワー)