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第9章 外伝2 〜英雄〜

第三百五十二話 真実

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「…まさか俺の出番がないまま終わるなんて…」

そう言ってエイトはボロボロになった勇者パーティの4人を見る。

顔の骨が砕けて、イケメンだった顔がブサイクになった勇者カイト

皮膚のほとんどを削がれて、止血の為に焼印されて全身血だらけの僧侶メグミと魔法使いのアイ

全身が斬られて大量出血の剣士サユリ

他のパーティ(カイトが新しく仲間にした女性達)が助けに入りヒールをかけたり、包帯を巻いたりと応急処置をしている。

「大丈夫よエイト、後遺症は残るかもしれないけど死ぬことはないわ。」

「けど、ミュウ、これ大丈夫なのか?」

またカイトの被害妄想が爆発して余計に面倒な事にならないのだろうか?

「大丈夫よ?だってエイトも見たでしょ?あれだけ心を折れば流石のカイトも立ち直れないでしょ?」

「まぁ…あんなカイトの姿、初めて見たよ。」

いつも自信満々で、ナルシストで、自己中で、唐変木で、朴念仁で、我儘で、妄想癖の激しい、(一応)イケメンのカイトだったが、

ミュウからの精神攻撃、身体攻撃で、その姿はなくなり、まさに「寝取られ主人公」の様な絶望の顔をしていた。

「エイトさん…まさかとか思ってませんよね?」

と、シルフィは言うがエイトは首を振る。
が、シルフィの言う通りな所も少しだけある。

「可哀想…同情…うーん…言葉でだとちょっと難しいけど、簡単に言うとカイトってこんなにも醜いんだなって。」

「醜い?」

シルフィの言葉にエイトは頷く。

「うん、カイトは日本にいた頃からずっとミュウを狙って来た、俺達は対処するのを面倒くさがってカイトの暴走を助長させた事によって、みんな死んでしまった。」

シルフィは仔猫の時にエイトと共にトラックにねられて死んだ。

ミュウはカイトを拒絶して殺された。

「そして今世でもカイトはミュウをしつこく付き纏い、それは今も続いている。」

学園時代のカイトはここまで酷くなかった、他の女の子をはべらす、まさにハーレム主人公だった。

しかし勇者になってからは性格が変わり始め、ミュウを手に入れる為に色々な事をして、妄想癖が酷くなって、本当の婚約者になる為にエイトと競っている。

「今のカイトは厄災を倒せるだけの力を持っていない、女神アダマスが何かするかもしれないけど、カイト本人の力では勝ち目はない。」

ミュウとの婚約条件、厄災の討伐は現状エイトの方が有利だ(もちろん女神アダマスの介入がなければの話だが。)

「だから、勇者と言う力に溺れた人間の末路って思うと…」

「ま、自業自得だけどね?」

エイトの言葉にミュウはそう言う。
100%カイトが全て悪いわけではない、エイト達にも非は数%はあるだろう、しかし、ミュウ達にはそんな事関係ない。

「好感度アップと言う力によってここまで被害が出てしまいましたけど…勇者の力がなくなれば元に戻るんですかね?」

「シルフィ姉様、その事で言いたい事があるんですけど…」

女神アマスから聞かされている勇者カイトの能力、確かカイト達と戦う前にアリア達は好感度アップではないと言っていた、それは一体どう言うことだろう?

「好感度アップと言うのはそう見えるだけであって、実際はの1つと言う事じゃよ?」

と、エルは言う。

「…は?つまりメグミ達は洗脳状態にあったと言うこと?」

「はい、そういう事です。」

エイトの質問にアリアはそう答える。
しかしとはどう言う事だろうか?

「え?アリア、今はって事は前は洗脳状態ではなかったと言う事?」

「はい、ミュウ姉様、その力が目覚めたのは勇者になってから…つまり」

「主様の義理の姉妹、メグミとアイ、そして幼馴染みのサユリは…

と、ミュウの言葉にアリアとエルは答える。
つまり…

「メグミ達は…

——————————————————————
それだとメグミ達が流した涙は?
それはきっと…





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