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第9章 外伝2 〜英雄〜
第三百三十二話 薬(危険な物ではない)
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~その日の夜~
「シルフィ…睡眠薬くれ」
「かしこまりました。」
エイトはいつも通り寝る前に睡眠薬の錠剤を貰う、アリアはそれを見てふと疑問に思う。
「そう言えば兄様は何故睡眠薬を毎日飲んでいるんですか?」
「それに"じょうざい"ってなんじゃ?粉じゃないのか?」
アリアとエルにとって錠剤と言うのは未知の物だろう、この世界でも基本的に薬と言えば粉状の苦い物だ。
「一応あの中には粉が入っているの、お腹の中で溶けるから効果は同じよ?」
と、ミュウは優しく説明する
「では兄様が毎日飲む理由はなんですか?」
「んー、ただ単に眠れないだけだよ。」
アリアの質問にエイトはそう答える、続けてエイトは苦笑いしながらその理由を答える。
「厄災の討伐、勇者カイトとの決着、幼馴染みと義理の姉妹との決別、貴族との結婚、…それが思った以上に負担が大き過ぎて、俺自身がやられちゃったんだよ。」
幼馴染みや義理の姉妹は最早どうでも良いが、それでも心の隅に残っている思い出がエイトを蝕んでいる事は自分自身でも理解出来ている。
「私が公爵家の娘と言う理由で、結婚を反対する人もいる、だからこそ厄災を倒し、その恩賞として一代男爵の爵位をもらって、エイトを貴族にする、そうすればエイトとの結婚も誰も文句は言わない筈よ。」
貴族と言う身分を捨てて結婚する手もあるが、世の中そう上手くはいかない、その事は貴族社会で生きてきたミュウが1番よく理解している。
だからこそこうやって言えるのだ。
「しかし、勇者カイトとアイ、メグミの姉妹と幼馴染みのサユリ、彼らもミュウ様を狙っていますので、それとの決着も必要です。」
シルフィはそう言ってとても嫌な顔をする、それもそうだカイトはシルフィも狙っているからだ。
「やっぱり俺は異世界転生の主人公の様にはいかないなぁ。」
と、エイトは愚痴をこぼす。
漫画や小説、アニメの世界では世界を救う為に主人公がひたむきに頑張るが、普通に考えてみてほしい、じゃあ今読んでいる貴方は、そんな事出来ますか?
自分の命を狙ってくる、勇者と小さい頃から一緒にいた姉妹と幼馴染が命を狙って来て、外には危険な魔物達がウヨウヨいて、厄災は世界を滅ぼせる程の力を持つと言われている。
更に好きな人と結婚する為には貴族にならないといけなく、貴族社会にも順応しなければならないのだ、辛いに決まっている。
「でも、それでも兄様は頑張っています、ミュウ姉様とシルフィ姉様の為に、本当に凄いです!」
「うむ、いせかいてんせいのしゅじんこう と言うのは分からんのじゃが、兎に角、主様がとてつもなく凄いのは確かなのじゃ!」
アリアとエルはそう言ってエイトを励ます。エイトはその姿を見て、頭を撫でる。
「ありがとう、アリア、エルちゃん」
エイトはそう言って薬を飲む
最近は体に抗体が出来てしまって大変らしいが、それでもプラシーボ効果と言うのだろうか、これが無いと良く眠れなくなるらしい。
そして数分後、エイトはいつも通り寝息を立てながら深い眠りの中へと落ちていった。
「さ、私達も寝ましょ?」
「旅はまだまだ続きますからね、疲労は取れるうちに取りましょう。」
ミュウとシルフィの言葉にアリア達は頷く、そして久しぶりのベットの感触を味わいながら、小さい寝息を立てて夢の中に行く。
——————————————————————
「…起きてる?」
「…うん」
「シルフィ…睡眠薬くれ」
「かしこまりました。」
エイトはいつも通り寝る前に睡眠薬の錠剤を貰う、アリアはそれを見てふと疑問に思う。
「そう言えば兄様は何故睡眠薬を毎日飲んでいるんですか?」
「それに"じょうざい"ってなんじゃ?粉じゃないのか?」
アリアとエルにとって錠剤と言うのは未知の物だろう、この世界でも基本的に薬と言えば粉状の苦い物だ。
「一応あの中には粉が入っているの、お腹の中で溶けるから効果は同じよ?」
と、ミュウは優しく説明する
「では兄様が毎日飲む理由はなんですか?」
「んー、ただ単に眠れないだけだよ。」
アリアの質問にエイトはそう答える、続けてエイトは苦笑いしながらその理由を答える。
「厄災の討伐、勇者カイトとの決着、幼馴染みと義理の姉妹との決別、貴族との結婚、…それが思った以上に負担が大き過ぎて、俺自身がやられちゃったんだよ。」
幼馴染みや義理の姉妹は最早どうでも良いが、それでも心の隅に残っている思い出がエイトを蝕んでいる事は自分自身でも理解出来ている。
「私が公爵家の娘と言う理由で、結婚を反対する人もいる、だからこそ厄災を倒し、その恩賞として一代男爵の爵位をもらって、エイトを貴族にする、そうすればエイトとの結婚も誰も文句は言わない筈よ。」
貴族と言う身分を捨てて結婚する手もあるが、世の中そう上手くはいかない、その事は貴族社会で生きてきたミュウが1番よく理解している。
だからこそこうやって言えるのだ。
「しかし、勇者カイトとアイ、メグミの姉妹と幼馴染みのサユリ、彼らもミュウ様を狙っていますので、それとの決着も必要です。」
シルフィはそう言ってとても嫌な顔をする、それもそうだカイトはシルフィも狙っているからだ。
「やっぱり俺は異世界転生の主人公の様にはいかないなぁ。」
と、エイトは愚痴をこぼす。
漫画や小説、アニメの世界では世界を救う為に主人公がひたむきに頑張るが、普通に考えてみてほしい、じゃあ今読んでいる貴方は、そんな事出来ますか?
自分の命を狙ってくる、勇者と小さい頃から一緒にいた姉妹と幼馴染が命を狙って来て、外には危険な魔物達がウヨウヨいて、厄災は世界を滅ぼせる程の力を持つと言われている。
更に好きな人と結婚する為には貴族にならないといけなく、貴族社会にも順応しなければならないのだ、辛いに決まっている。
「でも、それでも兄様は頑張っています、ミュウ姉様とシルフィ姉様の為に、本当に凄いです!」
「うむ、いせかいてんせいのしゅじんこう と言うのは分からんのじゃが、兎に角、主様がとてつもなく凄いのは確かなのじゃ!」
アリアとエルはそう言ってエイトを励ます。エイトはその姿を見て、頭を撫でる。
「ありがとう、アリア、エルちゃん」
エイトはそう言って薬を飲む
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「さ、私達も寝ましょ?」
「旅はまだまだ続きますからね、疲労は取れるうちに取りましょう。」
ミュウとシルフィの言葉にアリア達は頷く、そして久しぶりのベットの感触を味わいながら、小さい寝息を立てて夢の中に行く。
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「…起きてる?」
「…うん」
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