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第9章 外伝2 〜英雄〜
第三百二十八話 数ヶ月後、次の村へと
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~さらに数ヶ月後~
「厄災が出たと言われる場所からかなり近づいたな…」
「うん、魔物の強さはそんな大差はないけど、街や村は大分少なかったよね。」
エイトとミュウはそう言いながら、平原を歩く、この旅にもだいぶ慣れ、足腰が十分鍛えられた証拠にもなった。
「多分ですが、厄災が現れた事により、その近くの村や街は危険を感じて逃げたのではないかと…」
「シルフィ姉様の予想はあながち間違ってないかもしれませんね、現に廃村や誰もいない街とかもよく見る様になりましたからね。」
と、アリアは言う、この数ヶ月、街や村、国などを見つけては情報収集、食材調達、資金調達などをして旅をしていたが、その頻度が確実に減ってきているのだ。
「うむ…主様の言う通り、食材を残して置いて正解じゃったな、普通に使っていたら餓死しておったのぅ」
エルの言う通り、贅沢三昧とまではいかないが、あるだけ使っていたら、ここまで旅は出来ていなかっただろう。
「ま、普通に考えて、命の危険がある所にずっと住みたいなんて思う奴は殆どいないと思うしな。」
「残るとしてもその村や街にずっと住んでいた人達とか、思い入れがある人くらいかな?」
日本で言えばダム工事の時にダム池の場所を巡る争い等を言えば良いだろうか?
村がダムに沈むのを反対する為にずっと残り続ける、みたいな感じだ。
エイトとミュウはそう言って、厄災がいるとされる方向に眼を向ける。
「厄災…名前しか聞いた事がないが…」
「一体…どんな奴なのかしら…」
「………」
"厄災が現れた"、その情報だけでここまで来た、敵はどんな姿をしているのか、能力、技、力、その全てが謎のままなのである。
エイトとミュウが、心配するのも無理はない。
「どうしたましたか?アリア?」
「え!?」
「いえ、エイトさん達が話している時、ずっと暗い顔をしていましたから、何かあったのですか?」
シルフィはそう言ってアリアの顔を覗き込む、アリアは慌てながら質問に答える。
「い…いえ!そんな恐ろしい敵と戦おうと思っている兄様達が凄いなと思いまして!」
「?…そうですか?…まぁ普通の人は倒そうなんて思いませんからね。」
逃げるが勝ちと言う言葉がある様に、真正面から戦いに挑むなんてアホにも程がある。
たった3匹の蟻が恐竜に勝てると思うか?
と言う言葉通りの意味が厄災と一般人の差にはあるのだ。
「…とにかく、目的地までだいぶ進んだと言う証拠だから、気を抜かずに行こう。」
エイトの言う通りだ、目的地に近づいたとは言え、目的は厄災の討伐、観光ではないのだ、ここでの油断は命取りになる。
「そうね、アリア、エルちゃん、近くに人が住んでいる村や街はない?」
「…あ、はい!すぐに調べます!」
「うむ任せておれ!」
近くに集落があれば、多少は休めるし、近くに池や湖、川などがなければ身体も拭けないし、洗えない為、臭いも気になる。
「あ、近くに村がありますよ!」
「人も…一応いる様じゃの」
「良くやったアリア、エルちゃん」
アリアとエルの索敵範囲はエイトやミュウの「引き継ぎ」「ダウンロード」の力よりも遥かに性能が良く、この力によってエイト達はだいぶ助かっている。
エイトはアリアとエルの頭を撫でると、2人を抱き寄せる。
「兄様!?」
「主様!?」
「いつもありがとうな、2人のおかげで旅も随分と楽になったよ、これからもずっと一緒にいてくれよな?」
エイトの心の底からの想いに、2人は笑顔で抱き返す。
「エイト?たまには私達にも構ってよね?」
「抜け駆けは許しませんからね?」
「わかってるよ、ミュウ、シルフィ、2人も改めてよろしく頼むよ?」
厄災との決戦が近いからだろう、エイトは気持ちの整理と共に、仲間に面と向かって話す。
「勿論よ、私達はいつまでもずっと側にいるからね?」
「ミュウ様の言う通りです、何のためにここまで貴方について来たと思っているんですか?」
と、ミュウとシルフィは笑いながら答える
エイト、アリア、エルもその姿を見てクスクスと笑い
「よし!早速次の村へ行こう!」
とエイトの掛け声と共に次の村へと足を進めた。
——————————————————————
AIイラストで描いてもらいました、女神アダマスです!
ヤム様本当にありがとうございます😭
「厄災が出たと言われる場所からかなり近づいたな…」
「うん、魔物の強さはそんな大差はないけど、街や村は大分少なかったよね。」
エイトとミュウはそう言いながら、平原を歩く、この旅にもだいぶ慣れ、足腰が十分鍛えられた証拠にもなった。
「多分ですが、厄災が現れた事により、その近くの村や街は危険を感じて逃げたのではないかと…」
「シルフィ姉様の予想はあながち間違ってないかもしれませんね、現に廃村や誰もいない街とかもよく見る様になりましたからね。」
と、アリアは言う、この数ヶ月、街や村、国などを見つけては情報収集、食材調達、資金調達などをして旅をしていたが、その頻度が確実に減ってきているのだ。
「うむ…主様の言う通り、食材を残して置いて正解じゃったな、普通に使っていたら餓死しておったのぅ」
エルの言う通り、贅沢三昧とまではいかないが、あるだけ使っていたら、ここまで旅は出来ていなかっただろう。
「ま、普通に考えて、命の危険がある所にずっと住みたいなんて思う奴は殆どいないと思うしな。」
「残るとしてもその村や街にずっと住んでいた人達とか、思い入れがある人くらいかな?」
日本で言えばダム工事の時にダム池の場所を巡る争い等を言えば良いだろうか?
村がダムに沈むのを反対する為にずっと残り続ける、みたいな感じだ。
エイトとミュウはそう言って、厄災がいるとされる方向に眼を向ける。
「厄災…名前しか聞いた事がないが…」
「一体…どんな奴なのかしら…」
「………」
"厄災が現れた"、その情報だけでここまで来た、敵はどんな姿をしているのか、能力、技、力、その全てが謎のままなのである。
エイトとミュウが、心配するのも無理はない。
「どうしたましたか?アリア?」
「え!?」
「いえ、エイトさん達が話している時、ずっと暗い顔をしていましたから、何かあったのですか?」
シルフィはそう言ってアリアの顔を覗き込む、アリアは慌てながら質問に答える。
「い…いえ!そんな恐ろしい敵と戦おうと思っている兄様達が凄いなと思いまして!」
「?…そうですか?…まぁ普通の人は倒そうなんて思いませんからね。」
逃げるが勝ちと言う言葉がある様に、真正面から戦いに挑むなんてアホにも程がある。
たった3匹の蟻が恐竜に勝てると思うか?
と言う言葉通りの意味が厄災と一般人の差にはあるのだ。
「…とにかく、目的地までだいぶ進んだと言う証拠だから、気を抜かずに行こう。」
エイトの言う通りだ、目的地に近づいたとは言え、目的は厄災の討伐、観光ではないのだ、ここでの油断は命取りになる。
「そうね、アリア、エルちゃん、近くに人が住んでいる村や街はない?」
「…あ、はい!すぐに調べます!」
「うむ任せておれ!」
近くに集落があれば、多少は休めるし、近くに池や湖、川などがなければ身体も拭けないし、洗えない為、臭いも気になる。
「あ、近くに村がありますよ!」
「人も…一応いる様じゃの」
「良くやったアリア、エルちゃん」
アリアとエルの索敵範囲はエイトやミュウの「引き継ぎ」「ダウンロード」の力よりも遥かに性能が良く、この力によってエイト達はだいぶ助かっている。
エイトはアリアとエルの頭を撫でると、2人を抱き寄せる。
「兄様!?」
「主様!?」
「いつもありがとうな、2人のおかげで旅も随分と楽になったよ、これからもずっと一緒にいてくれよな?」
エイトの心の底からの想いに、2人は笑顔で抱き返す。
「エイト?たまには私達にも構ってよね?」
「抜け駆けは許しませんからね?」
「わかってるよ、ミュウ、シルフィ、2人も改めてよろしく頼むよ?」
厄災との決戦が近いからだろう、エイトは気持ちの整理と共に、仲間に面と向かって話す。
「勿論よ、私達はいつまでもずっと側にいるからね?」
「ミュウ様の言う通りです、何のためにここまで貴方について来たと思っているんですか?」
と、ミュウとシルフィは笑いながら答える
エイト、アリア、エルもその姿を見てクスクスと笑い
「よし!早速次の村へ行こう!」
とエイトの掛け声と共に次の村へと足を進めた。
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ヤム様本当にありがとうございます😭
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