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第9章 外伝2 〜英雄〜

第三百十二話 本当の仲間に

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「やれやれ、やっと終わったの?」

「ミュウ!?」

宿屋の庭にやって来たのは、クリーム色の髪を靡かせた、公爵家の1人娘、ミュウ

「全く、私達を差し置いて抜け駆けとは…アリアも中々やりますね?」

「こら!主様を独り占めは駄目じゃぞ!」

そしてそのメイドのシルフィとシルフィに抱っこされているエルちゃんだ。

エルちゃんはシルフィからピョンと離れて、とてて、と小走りでエイトに向かって行く。

「うぉ!?」

「エルちゃん!?」

「ワシも主様とイチャイチャしたいのじゃあ!!」

そしてエルちゃんもエイトに抱きついて甘えてくる、ケモ耳がふわふわしていて気持ちいい。

「ちょっと!汗かいてるから臭いって!」

「嫌じゃ!主様は汗かいても良い匂いだから良いのじゃぁ!」

ひしっとしがみつき、エイトは仕方なく立ち上がって離そうとするが、アリアもエルちゃんも足も使ってエイトに抱きついて離れようとしない。

「ちょ!せめてシャワー浴びたいんだけど!」

「でしたらあたしも入ります!」

「ワシもじゃ!」

「ええ…」

エイトは汗が冷えて来て少し寒さを覚える、いくら太陽が昇り始めたとは言え、このままだと風邪を引いてしまう。

エイトは何とかして離れようとするが、2人は頑固で中々離れようとしない。

「なぁミュウ、シルフィ、見てないで助けてくれよ?」

エイトが諦めてミュウ達に助けを求めるとミュウ達はやれやれとした顔をしながらアリア達を引き剥がす。

「こらアリア、エル、エイトを困らせないの」

「そうですよ?それに

「「「…は?」」」

しかしシルフィの発言で雰囲気は悪くなる
ミュウは青筋をたてながらシルフィと話す。

「何を言っているの?"私が"エイトと一緒に入るのよ?」

「ちょっとミュウ?」

何で一緒に入る前提で話しているんだろう?そうエイトは不思議に思うが、

「何故ですか?やはりこれはメイドである私の役目ですから?」

「なぁシルフィ、そう言いながら俺の息子(意味深)を見ないでくれない?」

シルフィの意味深な発言でツッコミを入れる事が出来ない。

「お兄様は妹であるあたしと入るんです、家族ですから!」

「いつから妹になった?アリア?」

アリアも昨日初めて会ったばかりなのにグイグイと来る、「ふんす!」とやる姿は可愛いので頭は撫でる。

「主様はワシと入るのじゃ!もふもふ尻尾を綺麗にして欲しいのじゃ!」

「張り合わなくていいんだぞ?エル?」

尻尾をぶんぶん振っている姿は可愛くて、エイトとミュウの2人は頭を撫でる。

「てか、アリアとエルは良いのか?昨日は男の俺と一緒にお風呂なんて嫌だと思うから別々にしたのに。」

「はい!お兄様は他の男違ってあたし達を普通の人間として見てくれますから!」

「人種差別をしない主様は大好きなのじゃ!だからもっと仲良くなりたいのじゃ!」

それと一緒にお風呂に入るのはどうかと思うが、親睦を深める為に一緒に風呂に入るなんて、裸の付き合い…と言う事だろうか?
いや、それでもこれは……


「だったら一緒に入ろっか!」

「は?ミュウ、何言ってんの?」

「そうですね、ここで揉めても意味はありません…あちらでエイトさんを元気にすれば良いんですから。」

「だからシルフィ、下半身を見ながら言わないで。」

ミュウが一緒に入ろうと提案するとシルフィ、アリア、エルちゃんも同意して、エイトをガッチリと捕まえる。

「ちょっと…アリア、エル?」

「はい!お兄様!」

「主様もエルちゃんと呼ぶが良い!」

真っ直ぐで純粋な目だけど、その奥に潜む、ミュウやシルフィと同じ、ヤバいモノが見える。

「…父さん…一族の遺伝って…やっぱり凄いよ…」

そしてそのままエイトは連れて行かれ、宿屋の人は察したのか、ニヤニヤしながら女子風呂を貸し切りにした。

——————————————————————
そして3時間後
5人はのぼせながら風呂場から出て来た。






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