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第8章 因縁と因果 現れし外道
第二百九十九話 とある日記4
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ずっと…届かないと思っていた…
ずっと…無理だと思っていた…
ずっと…叶わないと思っていた。
初めて日記を書いた時、あたしは諦めていた。
それは世界を救う事…いや、彼を…エイトを…いいえ、兄様を救う事は無理だと思っていた。
兄様は「自分は英雄ではない、ありたいと思っているだけ」と常々言っていた。
世界を救う英雄はたった1人の人間では出来ないからだ。
空を飛び、大空をかけて、どんな所も一瞬で行ける、そんな人間であれば、世界を救うなんて簡単だろう。
でも兄様は違う、空は飛べないし、足も速くないし、最強でもない。
でも、「自分の手の届く人達を守りたい」と言う思いは誰にも負けなかった。
あたしや、エルちゃんがそうだ。
あたし達はいわゆる"化け物"だ。
あたしは厄災、世界を滅ぼす存在
存在そのものが悪で害悪で命を狙われる者
エルちゃんは暗黒神エルガウルの「 」
遥か昔、女神アマスよりも前の女神によって作られた存在
勇者、剣聖、聖女、賢者
の4人によって倒された。
そして今DDと呼ばれるあたし達も知らない敵によって「 」は復活しようとしている。
どちらも命を狙われ、死ぬ事を望まれている。……けれど兄様は違った。
「必ず君達を救う、命をかけてでも、幸せにする。」
遠い遥か昔の記憶
けれど、暖かく、昨日の様に覚えている大切な思い出。
初めて言われた言葉だった。
その瞬間、胸が締め付けられる様に苦しく
涙は滝の様に流れて、そして初めて温もりを教えてもらった。
兄様の仲間の姉様方も優しく、暖かく、あたしを抱きしめてくれた。
「2人でよく頑張ったね。」
「その苦しみを私達にも背負わせて下さい。」
否定され続けて来た日々に、
拒絶され続けて来た日々に、
…終止符を打たれた。
あの日々は辛く大変な時もあったけど、なによりも楽しかった。
温かいご飯、暖かい布団
優しい声に、楽しい時間
兄様達はあたし達に生きる意味を
共に歩く意味を
支え合う大切さを教えてくれた。
だからこそあたし達は兄様達の為に戦う事を選んだ。
例え世界の全てを敵に回してでも、あたし達の事を選んでくれた人達の為に、この命を捧げると誓った。
故にこそ…邪魔する者は…全て敵
兄様の命を狙う者
姉様の命を狙う者
それが例え、義理の姉妹でも、幼馴染みでも
婚約者(妄想)でも、兄様に近寄るメスは…姉様を困らせるオスは…殺す。
嫌われても良い、許されなくても良い
アイツらに兄様の良さはわからない
アイツらに姉様の素晴らしはわからない
兄様はあたし達の生きる希望、存在する理由、好きで大好きで愛していて、愛おしくて、狂ってしまう程…兄様が好き。
姉様達は恋敵かもしれないけど、共にいられる道を探せば良い。
貴族の壁?王族が許さない?平民だから?
そんな事知らない。
一緒に居たいと願うのなら、貴族なんて辞めればいい、王族なんて無視して手の届かない所まで逃げればいい、平民だからこそ、冒険者として自由に生きればいい。
ミュウ姉様は公爵家の娘だからと言うが、兄様を愛しているなら、その名を捨てればいい、フローラと言う名を捨て兄様の名を名乗ればいいのだ。
シルフィ姉様はメイドだ、メイドをやめて兄様達のメイドになればいい。
兄様は冒険者として稼いで、いつかは何処かの村でひっそりと家を建てて、そこで皆と暮らせばいい。
あたし達は為さねばならない事を終わらせて、兄様の元へ行けばいい。
兄様は待ってくれる、いつまでも…
こんな世界なんてどうでもいい
人間なんて自己中で利己的で、我儘で欲望塗れの存在だ、兄様も言っていた
「俺達の元いた世界もいずれ人間の発明した物で世界を滅ぼすよ、それは歴史が物語っているから。」
と、ならばそんな人間の為に戦う意味なんてない。
だからこそ、あたし達は兄様達の為に…兄様達と死ぬまでずっと一緒に…永遠に…死んでも…離れない為に…
例え神だろうと、殺す
——————————————————————
新章に入る前の最後の日記です。
次回から新章に入ります。
ずっと…無理だと思っていた…
ずっと…叶わないと思っていた。
初めて日記を書いた時、あたしは諦めていた。
それは世界を救う事…いや、彼を…エイトを…いいえ、兄様を救う事は無理だと思っていた。
兄様は「自分は英雄ではない、ありたいと思っているだけ」と常々言っていた。
世界を救う英雄はたった1人の人間では出来ないからだ。
空を飛び、大空をかけて、どんな所も一瞬で行ける、そんな人間であれば、世界を救うなんて簡単だろう。
でも兄様は違う、空は飛べないし、足も速くないし、最強でもない。
でも、「自分の手の届く人達を守りたい」と言う思いは誰にも負けなかった。
あたしや、エルちゃんがそうだ。
あたし達はいわゆる"化け物"だ。
あたしは厄災、世界を滅ぼす存在
存在そのものが悪で害悪で命を狙われる者
エルちゃんは暗黒神エルガウルの「 」
遥か昔、女神アマスよりも前の女神によって作られた存在
勇者、剣聖、聖女、賢者
の4人によって倒された。
そして今DDと呼ばれるあたし達も知らない敵によって「 」は復活しようとしている。
どちらも命を狙われ、死ぬ事を望まれている。……けれど兄様は違った。
「必ず君達を救う、命をかけてでも、幸せにする。」
遠い遥か昔の記憶
けれど、暖かく、昨日の様に覚えている大切な思い出。
初めて言われた言葉だった。
その瞬間、胸が締め付けられる様に苦しく
涙は滝の様に流れて、そして初めて温もりを教えてもらった。
兄様の仲間の姉様方も優しく、暖かく、あたしを抱きしめてくれた。
「2人でよく頑張ったね。」
「その苦しみを私達にも背負わせて下さい。」
否定され続けて来た日々に、
拒絶され続けて来た日々に、
…終止符を打たれた。
あの日々は辛く大変な時もあったけど、なによりも楽しかった。
温かいご飯、暖かい布団
優しい声に、楽しい時間
兄様達はあたし達に生きる意味を
共に歩く意味を
支え合う大切さを教えてくれた。
だからこそあたし達は兄様達の為に戦う事を選んだ。
例え世界の全てを敵に回してでも、あたし達の事を選んでくれた人達の為に、この命を捧げると誓った。
故にこそ…邪魔する者は…全て敵
兄様の命を狙う者
姉様の命を狙う者
それが例え、義理の姉妹でも、幼馴染みでも
婚約者(妄想)でも、兄様に近寄るメスは…姉様を困らせるオスは…殺す。
嫌われても良い、許されなくても良い
アイツらに兄様の良さはわからない
アイツらに姉様の素晴らしはわからない
兄様はあたし達の生きる希望、存在する理由、好きで大好きで愛していて、愛おしくて、狂ってしまう程…兄様が好き。
姉様達は恋敵かもしれないけど、共にいられる道を探せば良い。
貴族の壁?王族が許さない?平民だから?
そんな事知らない。
一緒に居たいと願うのなら、貴族なんて辞めればいい、王族なんて無視して手の届かない所まで逃げればいい、平民だからこそ、冒険者として自由に生きればいい。
ミュウ姉様は公爵家の娘だからと言うが、兄様を愛しているなら、その名を捨てればいい、フローラと言う名を捨て兄様の名を名乗ればいいのだ。
シルフィ姉様はメイドだ、メイドをやめて兄様達のメイドになればいい。
兄様は冒険者として稼いで、いつかは何処かの村でひっそりと家を建てて、そこで皆と暮らせばいい。
あたし達は為さねばならない事を終わらせて、兄様の元へ行けばいい。
兄様は待ってくれる、いつまでも…
こんな世界なんてどうでもいい
人間なんて自己中で利己的で、我儘で欲望塗れの存在だ、兄様も言っていた
「俺達の元いた世界もいずれ人間の発明した物で世界を滅ぼすよ、それは歴史が物語っているから。」
と、ならばそんな人間の為に戦う意味なんてない。
だからこそ、あたし達は兄様達の為に…兄様達と死ぬまでずっと一緒に…永遠に…死んでも…離れない為に…
例え神だろうと、殺す
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新章に入る前の最後の日記です。
次回から新章に入ります。
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