298 / 680
第8章 因縁と因果 現れし外道
第二百八十九話 一先ずの決着
しおりを挟む
エイト「勝った…のか?」
燃え盛る業火の中、エイトはそう呟く。
その言葉にミュウは呼応する
ミュウ「うん…勝ったんだよ…私達…」
全身傷だらけの身体でミュウはエイトの所へと向かう、フラフラっと足元がおぼつかない中、なんとかエイトの所へと行く。
シルフィ「DDと勇者の2人があそこまで強いなんて…想像以上です。」
アリアン「あたいも…ここまで追い詰められるなんて思わなかったよ…」
4人とも満身創痍の状態だ、しかも緊張の糸が切れて、意識が少し朦朧としている。
しかしここで倒れてはいけない、街の人達を助けなければならない。
エイト「早く…街の…人達を…助けないと。」
そう言ってエイトは足を動かすが「ウグッ」と声を上げて倒れそうになる。
ミュウ「エイト!?」
ミュウは咄嗟にエイトを抱き抱える、ミュウもエイトを支えるだけで相当な体力を使う。
エイト「悪りぃぃ…」
ミュウ「良いのよ…でも…不味いわね…」
ミュウの言葉はまさにその通りだ、街の人達を救うにしても、今の身体じゃあ逆に足でまといだ、これ以上の被害が出ないとは言え、これは本格的に不味い。
そんな事を思いつつも、エイト達の身体は言う事を聞かない、ミュウはエイトを支えきれず、エイトと共に倒れる。
シルフィ「ミュウ様…エイトさん…」
シルフィは慌ててエイト達の所へと向かうが、地面にあった穴に自身の足が当たり、そのまま転倒する。
シルフィ「身体に…力が…入らない…」
3人とも起き上がろうと力を入れるが、自身の体重を持ち上げることが出来ない。
エイト「このままじゃ…俺達も…」
何度も言うが今ここは燃え盛る業火の中だ、先程はアドレナリンがドバドバと分泌された事により周りの状況を気にせず戦えたが、ここは火の中、火は酸素を使って燃える。
人間は酸素がなければ生きていけない、そしては火はその酸素を使い、炭素と結合する。
それが二酸化炭素だ、そして不完全燃焼によって人間にとって有害な一酸化炭素も発生する。
一酸化炭素は人間の身体の中の血液、ヘモグロビンと結合しやすい。
そうなると人間は充分な酸素を取り込む事が出来なくなり、一酸化炭素中毒になりやすくなり、最悪の場合死に至る。
ミュウ「何とかして…脱出を…」
シルフィ「ここまで…死ぬなんて…いや…!!!」
既に街全体は火の海と化しており、更に時間もかなり経過している、大気中の酸素濃度も大分下がっており、エイト達は過呼吸に陥り始めている。
エイト(くそッ…何か…何か手はないのか!?)
エイトが心の中でそう叫んでいると、「ポツ」と何かが滴り落ちる感触が手の甲に当たる。
ミュウ「…何?」
ミュウも同じ様な感覚があったのだろう、小さな声でそう呟く。
そしてその感触は「ポツ…ポツポツ」と短い間隔で落ちて来て、それが地面に当たった時気づいた。
シルフィ「…雨?」
幸運と言うべきなのだろう、その雨は小雨ではなく、大雨となり、辺りの火は徐々に鎮火されていった(一酸化炭素の脅威は無くなっていないが)。
これなら被害はこれ以上悪化する事はないだろう、地面には水溜まりが出来始め、エイト達の服を汚す、しかし動けない状態のままなのは変わらないので、泥が纏わりつく。
エイト「でも…助かった…」
エイトはそう言うと力を振り絞って仰向けになる、ミュウもエイトの胸に顔を乗っけて空を見上げる。
服は泥だらけ、身体は傷だらけ、そんな中でも、気持ちは最高に良い。
強敵に勝った、自分達が強くなったと言う証が今あるのだ。
シルフィ「でも…街の…人達は…」
カイトの所為で、罪の無い多くの命が亡くなった、大人も子供も、家族を恋人を友人を親友を幼馴染みを…その人生をカイトは奪ったのだ。
もし生きているのなら、殺さないで罪を償って欲しい、殺したらそれで終わりだからだ、死ぬまで自分の犯した罪を償い続けて欲しい。
だからエイトは殺したくないのだ、殺して仕舞えば、その人はその苦しみだけ味わって死ぬ、そんなのは許されない、もっと苦しみ、過去の自分が犯した過ちに後悔しながら、生き続けて欲しい。
エイト(ま、殺したいと衝動的に動いた自分が言える事じゃないか…)
そう思いつつ、この恵みの雨を浴び続けた。
——————————————————————
疑問点は次回(?)明かされます。
燃え盛る業火の中、エイトはそう呟く。
その言葉にミュウは呼応する
ミュウ「うん…勝ったんだよ…私達…」
全身傷だらけの身体でミュウはエイトの所へと向かう、フラフラっと足元がおぼつかない中、なんとかエイトの所へと行く。
シルフィ「DDと勇者の2人があそこまで強いなんて…想像以上です。」
アリアン「あたいも…ここまで追い詰められるなんて思わなかったよ…」
4人とも満身創痍の状態だ、しかも緊張の糸が切れて、意識が少し朦朧としている。
しかしここで倒れてはいけない、街の人達を助けなければならない。
エイト「早く…街の…人達を…助けないと。」
そう言ってエイトは足を動かすが「ウグッ」と声を上げて倒れそうになる。
ミュウ「エイト!?」
ミュウは咄嗟にエイトを抱き抱える、ミュウもエイトを支えるだけで相当な体力を使う。
エイト「悪りぃぃ…」
ミュウ「良いのよ…でも…不味いわね…」
ミュウの言葉はまさにその通りだ、街の人達を救うにしても、今の身体じゃあ逆に足でまといだ、これ以上の被害が出ないとは言え、これは本格的に不味い。
そんな事を思いつつも、エイト達の身体は言う事を聞かない、ミュウはエイトを支えきれず、エイトと共に倒れる。
シルフィ「ミュウ様…エイトさん…」
シルフィは慌ててエイト達の所へと向かうが、地面にあった穴に自身の足が当たり、そのまま転倒する。
シルフィ「身体に…力が…入らない…」
3人とも起き上がろうと力を入れるが、自身の体重を持ち上げることが出来ない。
エイト「このままじゃ…俺達も…」
何度も言うが今ここは燃え盛る業火の中だ、先程はアドレナリンがドバドバと分泌された事により周りの状況を気にせず戦えたが、ここは火の中、火は酸素を使って燃える。
人間は酸素がなければ生きていけない、そしては火はその酸素を使い、炭素と結合する。
それが二酸化炭素だ、そして不完全燃焼によって人間にとって有害な一酸化炭素も発生する。
一酸化炭素は人間の身体の中の血液、ヘモグロビンと結合しやすい。
そうなると人間は充分な酸素を取り込む事が出来なくなり、一酸化炭素中毒になりやすくなり、最悪の場合死に至る。
ミュウ「何とかして…脱出を…」
シルフィ「ここまで…死ぬなんて…いや…!!!」
既に街全体は火の海と化しており、更に時間もかなり経過している、大気中の酸素濃度も大分下がっており、エイト達は過呼吸に陥り始めている。
エイト(くそッ…何か…何か手はないのか!?)
エイトが心の中でそう叫んでいると、「ポツ」と何かが滴り落ちる感触が手の甲に当たる。
ミュウ「…何?」
ミュウも同じ様な感覚があったのだろう、小さな声でそう呟く。
そしてその感触は「ポツ…ポツポツ」と短い間隔で落ちて来て、それが地面に当たった時気づいた。
シルフィ「…雨?」
幸運と言うべきなのだろう、その雨は小雨ではなく、大雨となり、辺りの火は徐々に鎮火されていった(一酸化炭素の脅威は無くなっていないが)。
これなら被害はこれ以上悪化する事はないだろう、地面には水溜まりが出来始め、エイト達の服を汚す、しかし動けない状態のままなのは変わらないので、泥が纏わりつく。
エイト「でも…助かった…」
エイトはそう言うと力を振り絞って仰向けになる、ミュウもエイトの胸に顔を乗っけて空を見上げる。
服は泥だらけ、身体は傷だらけ、そんな中でも、気持ちは最高に良い。
強敵に勝った、自分達が強くなったと言う証が今あるのだ。
シルフィ「でも…街の…人達は…」
カイトの所為で、罪の無い多くの命が亡くなった、大人も子供も、家族を恋人を友人を親友を幼馴染みを…その人生をカイトは奪ったのだ。
もし生きているのなら、殺さないで罪を償って欲しい、殺したらそれで終わりだからだ、死ぬまで自分の犯した罪を償い続けて欲しい。
だからエイトは殺したくないのだ、殺して仕舞えば、その人はその苦しみだけ味わって死ぬ、そんなのは許されない、もっと苦しみ、過去の自分が犯した過ちに後悔しながら、生き続けて欲しい。
エイト(ま、殺したいと衝動的に動いた自分が言える事じゃないか…)
そう思いつつ、この恵みの雨を浴び続けた。
——————————————————————
疑問点は次回(?)明かされます。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
879
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる