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第8章 因縁と因果 現れし外道

第二百八十五話 因縁の対決

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燃え盛る業火、辺り一面を火の海に変え、家は燃え、人々は焼け苦しみ、罪なき人々がその命を散らしている。

瓦礫の山、倒壊した建物が生き残った人々を押し潰し、助かる命を減らしていく、幼き子供を守る為に両親は潰れ、子供は泣き叫ぶ。

阿鼻叫喚、地獄絵図、この世の地獄はまさにここだ。

そして目の前にはその元凶が立っている
金色の髪をなびかせて、ほこりすすが白いコートについたのだろう、それを払い落とし
黒いブーツの下は赤い液体が付着している。

…街の住民を踏み潰したのだ。

そしてこちらを見つめながらニヤニヤしている、まるで愛しい人を見つけたかの様に。

ミュウ「…カイト•クルージー」

ミュウはエイトの隣に立ち、その者の名を呼ぶ、フルネームで呼んだのは、この地獄を作った張本人であるからだ。

カイト「久しぶりだね?ミュウ、君に会えて嬉しいよ♪」

その言葉には嘘はないのだろう、屈託のない笑顔をミュウに向けている、まるで周りに起きている惨劇は無いかの様に扱っている。

ミュウ「…私は嬉しくないわ。」

ミュウの言葉には棘が…いや、殺意、敵意、憎悪、嫌悪、軽蔑、あらゆる負の感情が込められており、『なんでこんな事をした?』と言う思いが痛いくらいにわかる

カイト「なんでだよ?愛しの婚約者が君を…いや、君達を助けに来たんだよ?」

ミュウ「…誰が愛しい人よ、誰が助けを求めたのよ…っ!」

しかしカイトにはそれが伝わらない、カイトにとって街の人達は人間として見ていないのだろう、だからこそ平気で人を殺せるのだ。

シルフィ「それにしても…とても酷い事をしますね?」

ミュウの怒りが臨界点を越える前にシルフィが前に出る。

カイト「おや?シルフィじゃないか?僕の所に来てくれるの?」

シルフィ「何故こんな事をした?答えろ!」

いつも敬語を使っているシルフィがタメ口を使うのはそう滅多にない、先程のシカバネ戦とは違い、明らかに怒りによる言動だ。

カイト「目的?そんなの簡単だよ?」

キョトンとした顔でカイトは答えを言う、その言葉は正気を疑うものだった

カイト「

シルフィ「………は?」

一言、シルフィはそれしか言えなかった、ムカついたから?それだけで?それだけの理由で、罪なき人々が苦しみ、死んでいったの?

カイト「僕はこの世界の勇者だよ?なのに異世界から来た勇者?とか言う偽物を本物の勇者とか言っているんだ、殺してもいいでしょ?」

ミュウ「何…を…言って……いる…の?」

カイト「え?だって偽物を本物って言うゴミに僕が本物の勇者だって伝えても『お前は勇者じゃない』って言うんだもん、殺されて当然じゃない?」

イカれている、正気じゃない、狂っている、おかしい、何を考えている?

思考が追いつかない、異世界の勇者と言うのはリムルの事だろう、彼は誠の勇者だ、ルクスとアカギと共に異世界の魔王を倒し世界を平和にした、真の勇者だ。

それに比べてカイトはどうだ?
己の欲望の為に、女を寝取り、婚約者と勘違いして、勘違いからの暴走をして、そして今人々を…罪なき人々が死んでいる。

アリアン「………もういい、もうたくさんだ。」

先程まで俯いて喋らなかったアリアンが前に出て、杖を出してカイトに向ける

アリアン「…アンタのせいで私達の人生は狂わされた、アンタさえいなければこんな事にはならなかった…っ!!!」

エイト「アリアン…お前…」

カイト「ふーむ、やっぱりエイトに洗脳されたまま…か、仕方ない、エイトを殺す前に君達にお仕置きしなくちゃね?」

カイトはそう言うとシカバネの隣に立ち、剣を構える

シカバネ「…話は終わったか?」

カイト「ああ、さぁ…」

「「第2ラウンドと行こうか…!!!」」

DDダークデビル幹部のシカバネと
勇者カイト、最悪の組み合わせが、エイト達に襲いかかる

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小説を読んでいると時間があっという間に過ぎていく。

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